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2章
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「お疲れ様ー!」
「カンパーイ!」
いつも以上に忙しい日が終わり私達は家族で居間に集まりお互いをねぎらっていた。
「本当におじいちゃんに助かったよーあの騒ぎの中今日は終わりです。なんて言いずらいもんね」
「まぁな、みんな少し殺気立っていたからな」
お父さんもあれは怖かったと笑っている。
「今日は火がいい感じでな、止めるのには惜しかったんだよ」
おじいちゃんはなんでも無いとチビチビとお茶を飲んでいるが、その横顔は嬉しそうに笑っていた。
ボイラー室に立つ人とは別の人に見えるほどおだやかた。
「でもお客さんが来ないの勘違いでよかったね」
私は膝にのるふくを撫でながらあのお客さんがいない日を思い出してしみじみと言う。
「ジムさん達もすごく謝ってくれてたしね、まぁ何事も無くてよかったわ」
「何事もって…私はすんごい被害にあったわよ!」
お母さんが私に秘密にしてたせいでと言いたいのをグッと堪えた。
「だってジムさんの話を聞くなりなんか向こうがちょっかい出した方が良さそうだったからね、私やお父さんならそんなお客さん来ても上手くあしらっちゃうでしょ?」
「うっ…」
そう言われると言い返せない。
確かにお母さん達が番台にいて、揉め事など見た事がなかった。
「マキもまだまだだな」
おじいちゃんにもそう言われてしまう。
「私はこれからなの、そのうちにどんな問題も綺麗さっぱり流せるようになるから」
「ふくまるの湯もまだここにいて一月ちょっとだ、これから一緒に成長していけばいい」
「そうね、マキもここもこれからよねーその前にマキは恋人の一人でも作って欲しいわ」
「それは先でいい」
お母さんの言葉にお父さんがムスッとしてしまう。
でも私もお父さんの言葉に賛成だ!
「そうよ、別に恋人なんていつでもすぐにできるわ」
「あら、そんな人がいるってこと?」
お母さんが笑顔で乗り出してきた。
「なに!?」
お父さんまで真剣な顔でこちらを向く。
「居ないよー、ここにきたばっかりなのに…」
「さっきはすぐにできるって言ったのにねー」
お母さんはなんだと座り直してお菓子を食べだした。
「今は銭湯のお仕事の方が楽しいの!」
「そうだ、別に急いで作らなくていい。まだマキは若いんだから」
「だよねー」
私はお母さんのお菓子を奪うと上に投げてパクッと口でキャッチした。
「はぁ…こんなお転婆な娘に彼氏なんて無理ね」
「そりゃお母さんの娘だからね」
「まぁ!お母さんがマキぐらいの時はそりゃモテモテだったのよ!現にお父さんだって…」
「おっほん、もうこの話はいいんじゃないか?ほらマキは明日ジムさん達とブルード伯爵の家に行くんだろ?もう寝た方がいいだろ」
お父さんにそう言われてこの話はここで終わりとなった。
「そうね、ライリーさんが迎えに来るって言ってたから早めに用意しておかないとね、あの人すごい早く来るからね」
「真面目なんだろ」
おじいちゃんがボソッと呟いた。
「真面目すぎない?あたま固そうだよねー」
私は笑いながらおやすみと挨拶をして自分の部屋に向かった。
「はぁ…あの調子だとライリーさんの気持ちに気がついてなさそうね」
「ライリーさんがなんだって?」
お父さんはお母さんの呟きが気になり聞き返すがお母さんは笑ってお皿を洗うと台所に言ってしまった。
「親父、なんなんだろうな?」
「ここで新しい家族が出来るって事だろ」
「え?…え!?」
「さてと、わしも明日も仕事だから休むとするかな」
おじいちゃんは慌てる息子をそのままに自分の部屋へと向かう。
次の日からお父さんの監視が厳しくなることをふくとまるに絡まれて幸せに眠るマキは知る由もなかった。
「カンパーイ!」
いつも以上に忙しい日が終わり私達は家族で居間に集まりお互いをねぎらっていた。
「本当におじいちゃんに助かったよーあの騒ぎの中今日は終わりです。なんて言いずらいもんね」
「まぁな、みんな少し殺気立っていたからな」
お父さんもあれは怖かったと笑っている。
「今日は火がいい感じでな、止めるのには惜しかったんだよ」
おじいちゃんはなんでも無いとチビチビとお茶を飲んでいるが、その横顔は嬉しそうに笑っていた。
ボイラー室に立つ人とは別の人に見えるほどおだやかた。
「でもお客さんが来ないの勘違いでよかったね」
私は膝にのるふくを撫でながらあのお客さんがいない日を思い出してしみじみと言う。
「ジムさん達もすごく謝ってくれてたしね、まぁ何事も無くてよかったわ」
「何事もって…私はすんごい被害にあったわよ!」
お母さんが私に秘密にしてたせいでと言いたいのをグッと堪えた。
「だってジムさんの話を聞くなりなんか向こうがちょっかい出した方が良さそうだったからね、私やお父さんならそんなお客さん来ても上手くあしらっちゃうでしょ?」
「うっ…」
そう言われると言い返せない。
確かにお母さん達が番台にいて、揉め事など見た事がなかった。
「マキもまだまだだな」
おじいちゃんにもそう言われてしまう。
「私はこれからなの、そのうちにどんな問題も綺麗さっぱり流せるようになるから」
「ふくまるの湯もまだここにいて一月ちょっとだ、これから一緒に成長していけばいい」
「そうね、マキもここもこれからよねーその前にマキは恋人の一人でも作って欲しいわ」
「それは先でいい」
お母さんの言葉にお父さんがムスッとしてしまう。
でも私もお父さんの言葉に賛成だ!
「そうよ、別に恋人なんていつでもすぐにできるわ」
「あら、そんな人がいるってこと?」
お母さんが笑顔で乗り出してきた。
「なに!?」
お父さんまで真剣な顔でこちらを向く。
「居ないよー、ここにきたばっかりなのに…」
「さっきはすぐにできるって言ったのにねー」
お母さんはなんだと座り直してお菓子を食べだした。
「今は銭湯のお仕事の方が楽しいの!」
「そうだ、別に急いで作らなくていい。まだマキは若いんだから」
「だよねー」
私はお母さんのお菓子を奪うと上に投げてパクッと口でキャッチした。
「はぁ…こんなお転婆な娘に彼氏なんて無理ね」
「そりゃお母さんの娘だからね」
「まぁ!お母さんがマキぐらいの時はそりゃモテモテだったのよ!現にお父さんだって…」
「おっほん、もうこの話はいいんじゃないか?ほらマキは明日ジムさん達とブルード伯爵の家に行くんだろ?もう寝た方がいいだろ」
お父さんにそう言われてこの話はここで終わりとなった。
「そうね、ライリーさんが迎えに来るって言ってたから早めに用意しておかないとね、あの人すごい早く来るからね」
「真面目なんだろ」
おじいちゃんがボソッと呟いた。
「真面目すぎない?あたま固そうだよねー」
私は笑いながらおやすみと挨拶をして自分の部屋に向かった。
「はぁ…あの調子だとライリーさんの気持ちに気がついてなさそうね」
「ライリーさんがなんだって?」
お父さんはお母さんの呟きが気になり聞き返すがお母さんは笑ってお皿を洗うと台所に言ってしまった。
「親父、なんなんだろうな?」
「ここで新しい家族が出来るって事だろ」
「え?…え!?」
「さてと、わしも明日も仕事だから休むとするかな」
おじいちゃんは慌てる息子をそのままに自分の部屋へと向かう。
次の日からお父さんの監視が厳しくなることをふくとまるに絡まれて幸せに眠るマキは知る由もなかった。
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