[完]異世界銭湯

三園 七詩

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2章

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「それってどういう事?」

ライリーさんに恐る恐る聞く。
まさかライリーさんもロータスの仲間…って事はないな。

浮かんだ考えに自分でないないと笑ってしまう。

「それは私からの命令で彼を泳がせるように言ったんだよ」

ジムさんが間に入って説明してくれた。

「ライリーがそばにいない時はブルード伯爵の部下のグリフィスがその役目を担っていたんだ…しかしあそこまで愚かなやつだと思わなかった。怖い思いをさせて本当にすまなかったね」

ジムさんも申し訳なさそうに謝ってくれる。

「なんだ、そんなことかー。ちゃんといざと言う時は守ってくれる気でいたんでしょ?」

「もちろんだ!何度あいつを殴ってやろうかと…」

ライリーさんが拳を握る。

「それを何度止めたか…」

ジムさんがはぁと隣でため息をついた。

どうも見えないところで彼らも戦っていてくれたようだ。

「ふふ、大丈夫ですよぉ。そんなにヤワじゃないですから、強くなきゃ下町で銭湯なんてできませんからね」

私の言葉に少しホッとしながらもライリーさんはまだ気にしているようだった。

「あっならひとつお願い聞いてもらえません?それでこの件はチャラにしましょう」

「お願い?」

「ええ、さっきからずっと我慢してた事なんです…」

私はライリーさんとジムさんにお願いを耳打ちした。

「「ええ!」」

二人は私のお願いを聞くなり大きな声を出して驚いている。

「ダメですか?」

「いや、ダメじゃないが…」

「やめた方がいいんじゃ」

二人は私のお願いにあまり賛同したくないようだった。

「えー、じゃあ私の事を騙してた事、一生根に持ちますよ」

本当はそんな気ないが軽く脅してみる。

「うっ…」

ライリーさんの渋そうな顔に思わず笑ってしまった。

「わかった、その代わり俺が必ず一緒に行くからな」

「やった!」

私は思わずガッツポーズをしてしまう。

「一体何を頼んだの?」

お母さん達が気になったようで聞いてきた。

「そりゃあの男に一発食らわせてくれって!」

私は拳を前に突き出して殴るふりをした。

「まぁマキったら」

「なにーお母さんは反対するつもり?」

「しないわよ!やるなら思いっきりやってきなさいよ」

「任せて!」

「はぁ…ほどほどにしなさいよ。全くジムさん娘が迷惑をおかけしてすみません」

「いや、そのくらい大丈夫ですよ。ただ怪我や危険が無いとも言いきれないので…」

「そこは本人に責任を取らせますのでお気になさらずに」

お父さんはジムさんにペコッと頭を下げていた。

「よーし!そうとなったら今日の掃除もさっさと片付けちゃおう!」

私は腕まくりをすると銭湯に向かおうとして、くるっと振り返った。

「ジムさん達入って行きます?」

「いいんですか?」

「是非!」

「お父さんいいよね、今日はもうお客さんも来ないでしょ」

「そうだな…」

お父さんと頷きあっているとなんだか外が少し騒がしく感じる。

私達は顔を見合わせてみんなで外に出ることにした。
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