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2章
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「ええ、お願いします」
「まずはここのふくまるの湯ですが名物のコーヒー牛乳が無くなりそうだと相談を受けていました」
そこは知ってると私は頷く。
「そこで私の知ってる中でコーヒーを取り扱っているブルード伯爵に声をかけたのです」
「なるほど、それはわかりますが…ブルード伯爵って銭湯の嫌がらせしませんでしたか?」
なんでコーヒーを頼むのに嫌がらせをしてくるのかわからなかった。
「こちらとしても商売ですからね、ここがどういうところかきちんと把握したかったのです。領主様にお声をかけられたからと言ってなんでもお受けする訳にはいきませんから」
「そりゃそうですね、わかります。でも自分のところの従業員に圧力をかけるのはどうかと思いますけど…」
ジロっとブルード伯爵を見つめた。
「それはすまなかった。あれはあの男が勝手にやった事とはいえ、それを利用させてしまったのは私も同罪だ。お客が遠のいた分の費用は私が負担しよう」
「嫌がらせはあの男だったんだ」
あいつならやりそうだと思い、やっぱり一発殴っておけば良かったと後悔した。
「従業員にも説明して明日にでもすぐに自由にするように言っておこう」
「ありがとうございます。こちらとしてはお客さんが自由に来れるようになるなら問題ないです」
別にお金を払ってもらおうとまでは思っていなかった。
「でもその利用したって言うのはどういう意味ですか?」
「ゆっくりとこの店を見たかったのは本当だ、しかしあの男がいると他の客に迷惑になり、まともに店を見れないと思ったのでこのまま貸し切らせて貰う事にした」
「あの男って一体なんなんですか?」
ブルード伯爵はため息をついて頭が痛そうに話し出した。
「あの男は友人の息子でどうか雇って欲しいと無理やり押し付けられてな、私の前では媚びへつらった振りをして影では商会などで好き勝手にしていたらしく、最近帳簿の改ざんがわかった」
うわ…どこの世界でもそんな奴がいるんだ。
話を聞いて思わず引いてしまう。
「中々私の前ではしっぽを出してくれなくてな、そこで領主様にマキさんと会わせて見てはどうかと言われたのだ」
「なんで私?」
ジムさんを見るとニコリと笑っている。
「それはマキさんだからかな、君なら伯爵や領主、兵士など関係なく平等に接してくれると思ったからね」
「そりゃお客さんはみな同じですけど…それなら言ってくれればいいのに」
みんな知ってたのかとジムさんとライリーさんを睨んだ。
「いや、イズミさんには話をしたんだよ。そしたらマキさんには伝えないでいいと言われて…」
困った顔で笑っている。
「お母さんが!なんで!」
思わず大声を出してしまう。
「だってあんたに言ったら顔に出しちゃうでしょ?」
「お母さん!」
お母さんがお盆にお茶を乗せてやってきた。
「らしいぞ」
後ろからお父さんもついてきている。
「お父さんも知ってたの!?」
「いや、さっき聞いたところだ。俺とマキは顔に出やすいからな」
あははと笑っている。
「だからロータスを追い出すのにちょうどいいと思ってね」
「何がちょうどいいんですか!こんな銭湯の娘に嫌がらせしたくらいじゃ大した罪にならないでしょ?」
「君達、自分達が妖精のイタズラの客人だって事は覚えているかな?」
ジムさんにそう言われるまで私はすっかりとその事を忘れていた。
「まずはここのふくまるの湯ですが名物のコーヒー牛乳が無くなりそうだと相談を受けていました」
そこは知ってると私は頷く。
「そこで私の知ってる中でコーヒーを取り扱っているブルード伯爵に声をかけたのです」
「なるほど、それはわかりますが…ブルード伯爵って銭湯の嫌がらせしませんでしたか?」
なんでコーヒーを頼むのに嫌がらせをしてくるのかわからなかった。
「こちらとしても商売ですからね、ここがどういうところかきちんと把握したかったのです。領主様にお声をかけられたからと言ってなんでもお受けする訳にはいきませんから」
「そりゃそうですね、わかります。でも自分のところの従業員に圧力をかけるのはどうかと思いますけど…」
ジロっとブルード伯爵を見つめた。
「それはすまなかった。あれはあの男が勝手にやった事とはいえ、それを利用させてしまったのは私も同罪だ。お客が遠のいた分の費用は私が負担しよう」
「嫌がらせはあの男だったんだ」
あいつならやりそうだと思い、やっぱり一発殴っておけば良かったと後悔した。
「従業員にも説明して明日にでもすぐに自由にするように言っておこう」
「ありがとうございます。こちらとしてはお客さんが自由に来れるようになるなら問題ないです」
別にお金を払ってもらおうとまでは思っていなかった。
「でもその利用したって言うのはどういう意味ですか?」
「ゆっくりとこの店を見たかったのは本当だ、しかしあの男がいると他の客に迷惑になり、まともに店を見れないと思ったのでこのまま貸し切らせて貰う事にした」
「あの男って一体なんなんですか?」
ブルード伯爵はため息をついて頭が痛そうに話し出した。
「あの男は友人の息子でどうか雇って欲しいと無理やり押し付けられてな、私の前では媚びへつらった振りをして影では商会などで好き勝手にしていたらしく、最近帳簿の改ざんがわかった」
うわ…どこの世界でもそんな奴がいるんだ。
話を聞いて思わず引いてしまう。
「中々私の前ではしっぽを出してくれなくてな、そこで領主様にマキさんと会わせて見てはどうかと言われたのだ」
「なんで私?」
ジムさんを見るとニコリと笑っている。
「それはマキさんだからかな、君なら伯爵や領主、兵士など関係なく平等に接してくれると思ったからね」
「そりゃお客さんはみな同じですけど…それなら言ってくれればいいのに」
みんな知ってたのかとジムさんとライリーさんを睨んだ。
「いや、イズミさんには話をしたんだよ。そしたらマキさんには伝えないでいいと言われて…」
困った顔で笑っている。
「お母さんが!なんで!」
思わず大声を出してしまう。
「だってあんたに言ったら顔に出しちゃうでしょ?」
「お母さん!」
お母さんがお盆にお茶を乗せてやってきた。
「らしいぞ」
後ろからお父さんもついてきている。
「お父さんも知ってたの!?」
「いや、さっき聞いたところだ。俺とマキは顔に出やすいからな」
あははと笑っている。
「だからロータスを追い出すのにちょうどいいと思ってね」
「何がちょうどいいんですか!こんな銭湯の娘に嫌がらせしたくらいじゃ大した罪にならないでしょ?」
「君達、自分達が妖精のイタズラの客人だって事は覚えているかな?」
ジムさんにそう言われるまで私はすっかりとその事を忘れていた。
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