40 / 50
2章
40
しおりを挟む
ブルード伯爵が服を脱ぐと兵士達も数人鎧を脱いで裸になった。
そして剣だけ腰に巻くと浴室に向かおうとする。
「ちょ、ちょっと!浴室に武器は禁止よ!」
慌ててそれを見て止めた。
「なんだと…もし賊でも現れたらどうやってブルード様を守るんだ!」
「知らないわよ、それがルールなの。そんなに危険なら銭湯は諦めて帰ったら?」
私がそう言うと兵士達は顔を真っ赤にして怒り出した。
「ブルード様、こんなところは出ましょう。もっと素晴らしいところがありますよ」
兵士は私の態度に怒りブルード伯爵に帰るように言い出した。
帰ってもらうのは構わないが、銭湯を否定されるのはなんか腹立たしい。
いや、でもこれ以上の揉め事はごめんだ。
私は判断を伯爵に任せることにして、視線を向けた。
「どうします?まだ入ってないしお金なら返しますよ」
「いや、ここまで来たんだ。私は入る、お前達は外で待っていても構わんぞ。ルークは来るんだ」
伯爵は従者らしき人の名前を呼んだ。
「こんな奴では何かあっても守れません。しかたない私がブルード様のそばにいる。お前達は誰か入らないようにここで見張っていろ」
「ちょっと、お客さん来たら入って貰いますからね」
「なんだと!貸し切りにしただろ!」
「そんな事は了承してません。今お客さんがいないだけです」
「ふん、どうせ誰も来やしなさ」
兵士は意味深に笑うとブルード伯爵と浴室に入って行った。
他の兵士達は鎧をまた着て入り口を守るように立っている。
「はぁこんなんじゃお客さん来ても逃げ出しそう…」
私はこの人達が飽きて早く帰ってくれと手を合わせて祈っていた。
「すみません、中の物の使い方を教えて頂けませんか?」
すると浴室に入っていたルークと言う従者が顔を覗かせた。
そして兵士達が一斉にこちらを見つめてくる。
「え?私?」
「ここで使い方を知ってるのはお前しかいないだろ」
あのうるさい兵士も出てきて早くしろと急かしてくる。
「そこは男湯なのよ!女の私が入れるわけないでしょ」
「俺達は気にしない、ブルード様も風呂に入る時はメイドが体を洗うから慣れていらっしゃる」
「私はメイドじゃないわよ!」
「同じようなものだろ」
兵士は早くしろとすぐに浴室に戻ってしまった。
「お父さんを読んで来ようかしら…いや今は火を見てるから無理よね、お母さん…にあんなやつの相手をさせられないし」
仕方ない。
私は番台から出ると浴室に向かった。
「遅いぞ!」
兵士から早くしろと言われるがわざとゆっくりと歩いて向かう。
「じゃあ説明しますね。体は洗いました?」
「いや、まだです」
ルークという人が答えた。
この人は兵士よりは言葉遣いもよく話が出来そうだ。
「じゃあまずはそこのシャンプーと書かれたので頭を洗ってください。その後にリンスを使って、洗い流す。ボディーソープは体を洗うものです。はい以上」
私は伝えたと納得して帰ろうとした。
「す、すみません。もう少しいてもらってもいいですか?」
「えーもうそれだけですよ、あとはゆっくりと湯船に使って好きな時に出てください」
「わかりました…」
ルークさんは不安そうに頷き恐る恐るシャンプーを手にした。
そして剣だけ腰に巻くと浴室に向かおうとする。
「ちょ、ちょっと!浴室に武器は禁止よ!」
慌ててそれを見て止めた。
「なんだと…もし賊でも現れたらどうやってブルード様を守るんだ!」
「知らないわよ、それがルールなの。そんなに危険なら銭湯は諦めて帰ったら?」
私がそう言うと兵士達は顔を真っ赤にして怒り出した。
「ブルード様、こんなところは出ましょう。もっと素晴らしいところがありますよ」
兵士は私の態度に怒りブルード伯爵に帰るように言い出した。
帰ってもらうのは構わないが、銭湯を否定されるのはなんか腹立たしい。
いや、でもこれ以上の揉め事はごめんだ。
私は判断を伯爵に任せることにして、視線を向けた。
「どうします?まだ入ってないしお金なら返しますよ」
「いや、ここまで来たんだ。私は入る、お前達は外で待っていても構わんぞ。ルークは来るんだ」
伯爵は従者らしき人の名前を呼んだ。
「こんな奴では何かあっても守れません。しかたない私がブルード様のそばにいる。お前達は誰か入らないようにここで見張っていろ」
「ちょっと、お客さん来たら入って貰いますからね」
「なんだと!貸し切りにしただろ!」
「そんな事は了承してません。今お客さんがいないだけです」
「ふん、どうせ誰も来やしなさ」
兵士は意味深に笑うとブルード伯爵と浴室に入って行った。
他の兵士達は鎧をまた着て入り口を守るように立っている。
「はぁこんなんじゃお客さん来ても逃げ出しそう…」
私はこの人達が飽きて早く帰ってくれと手を合わせて祈っていた。
「すみません、中の物の使い方を教えて頂けませんか?」
すると浴室に入っていたルークと言う従者が顔を覗かせた。
そして兵士達が一斉にこちらを見つめてくる。
「え?私?」
「ここで使い方を知ってるのはお前しかいないだろ」
あのうるさい兵士も出てきて早くしろと急かしてくる。
「そこは男湯なのよ!女の私が入れるわけないでしょ」
「俺達は気にしない、ブルード様も風呂に入る時はメイドが体を洗うから慣れていらっしゃる」
「私はメイドじゃないわよ!」
「同じようなものだろ」
兵士は早くしろとすぐに浴室に戻ってしまった。
「お父さんを読んで来ようかしら…いや今は火を見てるから無理よね、お母さん…にあんなやつの相手をさせられないし」
仕方ない。
私は番台から出ると浴室に向かった。
「遅いぞ!」
兵士から早くしろと言われるがわざとゆっくりと歩いて向かう。
「じゃあ説明しますね。体は洗いました?」
「いや、まだです」
ルークという人が答えた。
この人は兵士よりは言葉遣いもよく話が出来そうだ。
「じゃあまずはそこのシャンプーと書かれたので頭を洗ってください。その後にリンスを使って、洗い流す。ボディーソープは体を洗うものです。はい以上」
私は伝えたと納得して帰ろうとした。
「す、すみません。もう少しいてもらってもいいですか?」
「えーもうそれだけですよ、あとはゆっくりと湯船に使って好きな時に出てください」
「わかりました…」
ルークさんは不安そうに頷き恐る恐るシャンプーを手にした。
0
お気に入りに追加
410
あなたにおすすめの小説
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
群青の軌跡
花影
ファンタジー
ルークとオリガを主人公とした「群青の空の下で」の外伝。2人の過去や本編のその後……基本ほのぼのとした日常プラスちょっとした事件を描いていきます。
『第1章ルークの物語』後にタランテラの悪夢と呼ばれる内乱が終結し、ルークは恋人のオリガを伴い故郷のアジュガで10日間の休暇を過ごすことになった。家族や幼馴染に歓迎されるも、町長のクラインにはあからさまな敵意を向けられる。軋轢の発端となったルークの過去の物語。
『第2章オリガの物語』即位式を半月後に控え、忙しくも充実した毎日を送っていたオリガは2カ月ぶりに恋人のルークと再会する。小さな恋を育みだしたコリンシアとティムに複雑な思いを抱いていたが、ルークの一言で見守っていこうと決意する。
『第3章2人の物語』内乱終結から2年。平和を謳歌する中、カルネイロ商会の残党による陰謀が発覚する。狙われたゲオルグの身代わりで敵地に乗り込んだルークはそこで思わぬ再会をする。
『第4章夫婦の物語』ルークとオリガが結婚して1年。忙しいながらも公私共に充実した生活を送っていた2人がアジュガに帰郷すると驚きの事実が判明する。一方、ルークの領主就任で発展していくアジュガとミステル。それを羨む者により、喜びに沸くビレア家に思いがけない不幸が降りかかる。
『第5章家族の物語』皇子誕生の祝賀に沸く皇都で開催された夏至祭でティムが華々しく活躍した一方で、そんな彼に嫉妬したレオナルトが事件を起こしてミムラス家から勘当さる。そんな彼を雷光隊で預かることになったが、激化したミムラス家でのお家騒動にルーク達も否応なしに巻き込まれていく。「小さな恋の行方」のネタバレを含みますので、未読の方はご注意下さい。
『第6章親子の物語』エルニアの内乱鎮圧に助力して無事に帰国したルークは、穏やかな生活を取り戻していた。しかし、ミムラス家からあらぬ疑いで訴えられてしまう。
小説家になろう、カクヨムでも掲載
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
ちょっと神様!私もうステータス調整されてるんですが!!
べちてん
ファンタジー
アニメ、マンガ、ラノベに小説好きの典型的な陰キャ高校生の西園千成はある日河川敷に花見に来ていた。人混みに酔い、体調が悪くなったので少し離れた路地で休憩していたらいつの間にか神域に迷い込んでしまっていた!!もう元居た世界には戻れないとのことなので魔法の世界へ転移することに。申し訳ないとか何とかでステータスを古龍の半分にしてもらったのだが、別の神様がそれを知らずに私のステータスをそこからさらに2倍にしてしまった!ちょっと神様!もうステータス調整されてるんですが!!
異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜
スクールH
ファンタジー
家柄こそ全て!
名家生まれの主人公は、絶望しながら死んだ。
そんな彼が生まれ変わったのがとある成り上がりラノベ小説の世界。しかも悪役貴族。
名家生まれの彼の心を占めていたのは『家柄こそ全て!』という考え。
新しい人生では絶望せず、ついでにウザい成り上がり共(元々身分が低い奴)を蹴落とそうと決心する。
別作品の執筆の箸休めに書いた作品ですので一話一話の文章量は少ないです。
軽い感じで呼んでください!
※不快な表現が多いです。
なろうとカクヨムに先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる