30 / 50
30
しおりを挟む
「コーヒーですか?ありますよ。でも高級で王都にしか売ってませんね」
「へ?」
私は今ライリーさんも交えて居間で昼ご飯を食べていた。
そして先程の話をお母さんとライリーさんに話していたところ、話を聞いていたライリーさんの答えに口に入れたご飯がポロッと落ちた。
「こら、マキお行儀悪い」
お母さんにテッシュを貰って慌てて落ちたご飯と口を拭いた。
「待って!コーヒーがあるの?この世界に?」
ライリーさんに詰め寄ると冷静な顔で頷かれる。
「はい、高くて少量しか作れないらしく田舎の方には出回って来ませんね。だから牛乳と混ぜるなんて初めてみましたよ」
ライリーさんはコーヒー牛乳の味を思い出しているのかゴクッと唾を飲んだ。
「あるところにはあるんだ…ならコーヒー牛乳も何とかなるかな?」
「そうねー、でも無理しなくてもいいんじゃない?高級なら高くなっちゃうでしょ。なら麦茶出してあげる方がお母さんはいいな」
「うっ、確かに…」
いくら美味しくっても高いならみんな飲めないしな…
「値段の交渉などは領主様に相談されてはどうですか?」
「そうね、今度聞いてみるわ」
それまでしばらくは家の在庫でどうにかしよう。
「でも異世界っていってもそんなに変わんないのね」
お母さんは貰ったおかずを食べながらしみじみと言う。
頂いたおかずはどれも美味しかった。
少し濃いめの味付けでどちらかと言うと外国の料理のように感じる。
「これだとご飯とか恋しくなるわね」
「そうだ!お米はあるの!」
私はライリーさんを睨みつける。
これはかなり重要な案件だ!
「米…もありますよ、それも王都ですが…」
「なんでもかんでも王都なのね」
なかなか手に入らなそうなのでガックリと肩を落とした。
近所で手に入るなら楽なのに…
「んー、じゃあマキ落ち着いたら王都ってところに行ってみてよ」
「行ってみてよ…って私だけ!?」
「だっておじいちゃんとお父さんは離れられないでしょ、お母さんは二人のご飯とかお世話しないといけないし」
「そうだけど…私だって掃除とか…」
「それは他の人でもどうにかなるでしょ」
「はい、なんなら部下を貸しましょうか?」
ライリーさんの言葉にお母さんが目を細めた。
「そんなー悪いわ兵士さんを掃除に借りるなんて」
「いえ、皆掃除洗濯は自分でやっているので得意ですよ。それに領主様からも手を貸すように言われてます」
「そう?ならお願いしちゃおうか、ライリーさんおかわりいる?」
お母さんはニコニコと笑うとライリーさんにご飯をよそってあげた。
「いただきます」
「どうせ私の意見は通らないのよね…まぁでも王都か、ちょっと興味あるな」
「いつでもいってください。案内しますよ」
「そこってどのくらい遠いのかな?」
「馬で一日程の距離ですから近いですよ」
うーん、馬で言われても距離がわからない。
でも移動に一日って言うのは結構大変な気がする。
「馬って…また馬車に乗る感じ?」
「いえ、馬に乗ります。馬車だともう少しかかりますよ」
「それって、乗馬って事?」
「はい」
ライリーさんは当たり前のように頷いた。
「無理無理!私馬に乗ったことないもん」
「そうですか…なら歩くとなると三日程かかりますね」
「三日…お母さん王都は諦めよう。さぁ仕事しよー」
私は食べ終わったお皿を持って立ち上がった。
「シンクに置いといて。まぁお母さんは歩きでも馬でも馬車でもマキの好きでいいと思うよ」
「えっ?」
「頑張ってね」
お母さんにニコッと笑われる…私に拒否権は無いらしい。
ガクッと肩を落としているとお皿を片付けたライリーさんがポンっと肩を叩いた。
「私で良ければ馬を教えますから」
「よろしく…」
ライリーさんに深々頭を下げた。
「へ?」
私は今ライリーさんも交えて居間で昼ご飯を食べていた。
そして先程の話をお母さんとライリーさんに話していたところ、話を聞いていたライリーさんの答えに口に入れたご飯がポロッと落ちた。
「こら、マキお行儀悪い」
お母さんにテッシュを貰って慌てて落ちたご飯と口を拭いた。
「待って!コーヒーがあるの?この世界に?」
ライリーさんに詰め寄ると冷静な顔で頷かれる。
「はい、高くて少量しか作れないらしく田舎の方には出回って来ませんね。だから牛乳と混ぜるなんて初めてみましたよ」
ライリーさんはコーヒー牛乳の味を思い出しているのかゴクッと唾を飲んだ。
「あるところにはあるんだ…ならコーヒー牛乳も何とかなるかな?」
「そうねー、でも無理しなくてもいいんじゃない?高級なら高くなっちゃうでしょ。なら麦茶出してあげる方がお母さんはいいな」
「うっ、確かに…」
いくら美味しくっても高いならみんな飲めないしな…
「値段の交渉などは領主様に相談されてはどうですか?」
「そうね、今度聞いてみるわ」
それまでしばらくは家の在庫でどうにかしよう。
「でも異世界っていってもそんなに変わんないのね」
お母さんは貰ったおかずを食べながらしみじみと言う。
頂いたおかずはどれも美味しかった。
少し濃いめの味付けでどちらかと言うと外国の料理のように感じる。
「これだとご飯とか恋しくなるわね」
「そうだ!お米はあるの!」
私はライリーさんを睨みつける。
これはかなり重要な案件だ!
「米…もありますよ、それも王都ですが…」
「なんでもかんでも王都なのね」
なかなか手に入らなそうなのでガックリと肩を落とした。
近所で手に入るなら楽なのに…
「んー、じゃあマキ落ち着いたら王都ってところに行ってみてよ」
「行ってみてよ…って私だけ!?」
「だっておじいちゃんとお父さんは離れられないでしょ、お母さんは二人のご飯とかお世話しないといけないし」
「そうだけど…私だって掃除とか…」
「それは他の人でもどうにかなるでしょ」
「はい、なんなら部下を貸しましょうか?」
ライリーさんの言葉にお母さんが目を細めた。
「そんなー悪いわ兵士さんを掃除に借りるなんて」
「いえ、皆掃除洗濯は自分でやっているので得意ですよ。それに領主様からも手を貸すように言われてます」
「そう?ならお願いしちゃおうか、ライリーさんおかわりいる?」
お母さんはニコニコと笑うとライリーさんにご飯をよそってあげた。
「いただきます」
「どうせ私の意見は通らないのよね…まぁでも王都か、ちょっと興味あるな」
「いつでもいってください。案内しますよ」
「そこってどのくらい遠いのかな?」
「馬で一日程の距離ですから近いですよ」
うーん、馬で言われても距離がわからない。
でも移動に一日って言うのは結構大変な気がする。
「馬って…また馬車に乗る感じ?」
「いえ、馬に乗ります。馬車だともう少しかかりますよ」
「それって、乗馬って事?」
「はい」
ライリーさんは当たり前のように頷いた。
「無理無理!私馬に乗ったことないもん」
「そうですか…なら歩くとなると三日程かかりますね」
「三日…お母さん王都は諦めよう。さぁ仕事しよー」
私は食べ終わったお皿を持って立ち上がった。
「シンクに置いといて。まぁお母さんは歩きでも馬でも馬車でもマキの好きでいいと思うよ」
「えっ?」
「頑張ってね」
お母さんにニコッと笑われる…私に拒否権は無いらしい。
ガクッと肩を落としているとお皿を片付けたライリーさんがポンっと肩を叩いた。
「私で良ければ馬を教えますから」
「よろしく…」
ライリーさんに深々頭を下げた。
0
お気に入りに追加
410
あなたにおすすめの小説
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!
カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地!
恋に仕事に事件に忙しい!
カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
夜明けの続唱歌
hidden
ファンタジー
炎に包まれた故郷。
背を灼かれるように、男は歩き続けていた。
辺境では賊徒が跋扈し、都では覇権や領土の奪い合いが繰り返されていた。
怯えながら、それでも慎ましく生きようとする民。
彼らに追い打ちをかけるように、不浄な土地に姿を現す、不吉な妖魔の影。
戦火の絶えない人の世。
闘いに身を投じる者が見据える彼方に、夜明けの空はあるのだろうか。
>Website
『夜明けの続唱歌』https://hidden1212.wixsite.com/moon-phase
>投稿先
『小説家になろう』https://ncode.syosetu.com/n7405fz/
『カクヨム』https://kakuyomu.jp/works/1177354054893903735
『アルファポリス』https://www.alphapolis.co.jp/novel/42558793/886340020
異世界で俺はチーター
田中 歩
ファンタジー
とある高校に通う普通の高校生だが、クラスメイトからはバイトなどもせずゲームやアニメばかり見て学校以外ではあまり家から出ないため「ヒキニート」呼ばわりされている。
そんな彼が子供のころ入ったことがあるはずなのに思い出せない祖父の家の蔵に友達に話したのを機にもう一度入ってみることを決意する。
蔵に入って気がつくとそこは異世界だった?!
しかも、おじさんや爺ちゃんも異世界に行ったことがあるらしい?
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
群青の軌跡
花影
ファンタジー
ルークとオリガを主人公とした「群青の空の下で」の外伝。2人の過去や本編のその後……基本ほのぼのとした日常プラスちょっとした事件を描いていきます。
『第1章ルークの物語』後にタランテラの悪夢と呼ばれる内乱が終結し、ルークは恋人のオリガを伴い故郷のアジュガで10日間の休暇を過ごすことになった。家族や幼馴染に歓迎されるも、町長のクラインにはあからさまな敵意を向けられる。軋轢の発端となったルークの過去の物語。
『第2章オリガの物語』即位式を半月後に控え、忙しくも充実した毎日を送っていたオリガは2カ月ぶりに恋人のルークと再会する。小さな恋を育みだしたコリンシアとティムに複雑な思いを抱いていたが、ルークの一言で見守っていこうと決意する。
『第3章2人の物語』内乱終結から2年。平和を謳歌する中、カルネイロ商会の残党による陰謀が発覚する。狙われたゲオルグの身代わりで敵地に乗り込んだルークはそこで思わぬ再会をする。
『第4章夫婦の物語』ルークとオリガが結婚して1年。忙しいながらも公私共に充実した生活を送っていた2人がアジュガに帰郷すると驚きの事実が判明する。一方、ルークの領主就任で発展していくアジュガとミステル。それを羨む者により、喜びに沸くビレア家に思いがけない不幸が降りかかる。
『第5章家族の物語』皇子誕生の祝賀に沸く皇都で開催された夏至祭でティムが華々しく活躍した一方で、そんな彼に嫉妬したレオナルトが事件を起こしてミムラス家から勘当さる。そんな彼を雷光隊で預かることになったが、激化したミムラス家でのお家騒動にルーク達も否応なしに巻き込まれていく。「小さな恋の行方」のネタバレを含みますので、未読の方はご注意下さい。
『第6章親子の物語』エルニアの内乱鎮圧に助力して無事に帰国したルークは、穏やかな生活を取り戻していた。しかし、ミムラス家からあらぬ疑いで訴えられてしまう。
小説家になろう、カクヨムでも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる