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どうも真剣になると反抗していた事を忘れてしまうのか素直に頷いた事が微笑ましく思う。
「じゃあ服を全部脱いで入ろうか」
私がサッと脱ぐとリザちゃんはじっと私の裸を見つめている。
「ん?なに」
視線を見ると胸に向かっていた。
「別に…」
何も言わずに服を脱ぎ出す、私のささやかな胸に何か言いたくなったのかもしれない。
小さくてすまない。
ズーンと沈みながらも切り替えて浴室に向かった。
「床が濡れてると滑りやすいから気をつけてね」
「わぁ、広い!」
リザちゃんは広い洗い場をキョロキョロと見つめる。
「好きなところに座ってね」
「じゃあここ」
一番近くの鏡の前を指さした。
私は椅子と桶をふたつ持つとそこに置いてあげた。
「ここに座ってね、今使い方教えるよ」
「お風呂に椅子があるの!」
「そうだよ、桶にお湯を出すにはここを押すんだよ」
グッと蛇口の栓を押すと桶にお湯がでた。
「ここを押すのね!」
しかしリザちゃんが押しても固くてなかなか最後まで押せないでいた。
なので少し手伝って上から一緒に押してあげる。
「ちょっと固いから今度入る時はお母さんと押してね」
「お母様と?」
「そうだよ、銭湯は子供だけは入れないからね。必ずお母さんかお父さんと来てね」
「わかったわ」
リザちゃんはお母さんと一緒と聞いて嬉しそうに頷いた。
なんか反抗期と言うよりもお母さんやお父さんに構って欲しくてわがままを言っているのかもしれない。
本当は素直ないい子な気がしてきた。
「じゃあ体洗おっか、リザちゃんは一人で洗える?」
「1人で!?体って自分で洗うの?お手伝いの人は?」
キョロキョロと他に人がいないか確認しているがここにいるのは私とリザちゃんだけだった。
「自分で洗えないなら私が洗ってあげようか?」
私は自分専用のネットを取り出して石鹸を付けて泡立てて見せた。
「な、なにそれ!」
リザちゃんはモコモコと増える泡に夢中になる。
「よかったら1個あげるよ、まだあるからね」
「い、いいの?」
「うん、その代わりお願いがあるんだけど…」
「な、なに?ここを開けって言うならいらないわ。だってそれはちゃんと確認しないとだもの…」
そういいながらもチラチラと恨めしそうに泡立ちネットを見ていた。
「ふふ、そんな事じゃないよ。それはリザちゃんがちゃんと体験して決めていいよ。だって絶対に気に入る自信があるもの」
私は余裕をもって笑った。
それだけここの銭湯に誇りをもっている。
「ならお願いって何?」
「私の事、マキお姉ちゃんって呼んで!」
「お姉ちゃん?」
「そう!だってリザちゃんこんなに可愛いし妹欲しかったんだよねー」
「そ、そんな事でいいなら…お姉ちゃん、それくれる?」
リザちゃんはそっと手を差し出してネットを指さした。
「もちろん!」
私は喜んでそれをプレゼントした。
「あ、ありがとう」
「ちゃんとお礼を言えて偉いね」
私が頭を撫でるとびっくりしてサッと頭を逸らした。
「私を撫でたわね!」
「あれ、ダメだった?」
「私は領主の娘よ!そんな無礼は許されないんだから!」
「あぁ、なら大丈夫だよ。だってここは銭湯だもの、ここでは領主とか王様とかそんなの関係ないの裸になればみんな同じここでは平等なのよ」
「平等、それってなんかいいね」
リザちゃんはボソッとつぶやいた。
「じゃあ服を全部脱いで入ろうか」
私がサッと脱ぐとリザちゃんはじっと私の裸を見つめている。
「ん?なに」
視線を見ると胸に向かっていた。
「別に…」
何も言わずに服を脱ぎ出す、私のささやかな胸に何か言いたくなったのかもしれない。
小さくてすまない。
ズーンと沈みながらも切り替えて浴室に向かった。
「床が濡れてると滑りやすいから気をつけてね」
「わぁ、広い!」
リザちゃんは広い洗い場をキョロキョロと見つめる。
「好きなところに座ってね」
「じゃあここ」
一番近くの鏡の前を指さした。
私は椅子と桶をふたつ持つとそこに置いてあげた。
「ここに座ってね、今使い方教えるよ」
「お風呂に椅子があるの!」
「そうだよ、桶にお湯を出すにはここを押すんだよ」
グッと蛇口の栓を押すと桶にお湯がでた。
「ここを押すのね!」
しかしリザちゃんが押しても固くてなかなか最後まで押せないでいた。
なので少し手伝って上から一緒に押してあげる。
「ちょっと固いから今度入る時はお母さんと押してね」
「お母様と?」
「そうだよ、銭湯は子供だけは入れないからね。必ずお母さんかお父さんと来てね」
「わかったわ」
リザちゃんはお母さんと一緒と聞いて嬉しそうに頷いた。
なんか反抗期と言うよりもお母さんやお父さんに構って欲しくてわがままを言っているのかもしれない。
本当は素直ないい子な気がしてきた。
「じゃあ体洗おっか、リザちゃんは一人で洗える?」
「1人で!?体って自分で洗うの?お手伝いの人は?」
キョロキョロと他に人がいないか確認しているがここにいるのは私とリザちゃんだけだった。
「自分で洗えないなら私が洗ってあげようか?」
私は自分専用のネットを取り出して石鹸を付けて泡立てて見せた。
「な、なにそれ!」
リザちゃんはモコモコと増える泡に夢中になる。
「よかったら1個あげるよ、まだあるからね」
「い、いいの?」
「うん、その代わりお願いがあるんだけど…」
「な、なに?ここを開けって言うならいらないわ。だってそれはちゃんと確認しないとだもの…」
そういいながらもチラチラと恨めしそうに泡立ちネットを見ていた。
「ふふ、そんな事じゃないよ。それはリザちゃんがちゃんと体験して決めていいよ。だって絶対に気に入る自信があるもの」
私は余裕をもって笑った。
それだけここの銭湯に誇りをもっている。
「ならお願いって何?」
「私の事、マキお姉ちゃんって呼んで!」
「お姉ちゃん?」
「そう!だってリザちゃんこんなに可愛いし妹欲しかったんだよねー」
「そ、そんな事でいいなら…お姉ちゃん、それくれる?」
リザちゃんはそっと手を差し出してネットを指さした。
「もちろん!」
私は喜んでそれをプレゼントした。
「あ、ありがとう」
「ちゃんとお礼を言えて偉いね」
私が頭を撫でるとびっくりしてサッと頭を逸らした。
「私を撫でたわね!」
「あれ、ダメだった?」
「私は領主の娘よ!そんな無礼は許されないんだから!」
「あぁ、なら大丈夫だよ。だってここは銭湯だもの、ここでは領主とか王様とかそんなの関係ないの裸になればみんな同じここでは平等なのよ」
「平等、それってなんかいいね」
リザちゃんはボソッとつぶやいた。
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