上 下
316 / 318
番外編

〇年後

しおりを挟む
「おはよう…」

目が覚めて一番最初に入ってきたのはカイルの柔らかい笑顔だった。

「おはよう…」

まだ眠いけどカイルの笑顔を見たら自然と笑みがこぼれる。

カイルは微笑み私に近づくと唇に軽くキスをする。

幸せな日々

カイルが横になりながら優しく髪をすいてると…

「ママおはょ!」

隣で寝ていた最愛の我が子…セトが間に割り込んだ。

「「セト、おはよう」」

私とカイルがセトの頭にキスをする。

「パパはダメ!ママはぼくの!」

セトはカイルを押すがビクともしない、カイルは笑いながらセトを抱き寄せた。

「あはは、セトは俺と一緒でママが好きだな。でもいくら可愛いセトでもママはあげないぞ」

からかうようにセトを撫でている。

「もう、カイルったら。ママはセトもパパも大好きなんだ…二人とも好きじゃダメ?」

セトのおでこにキスをしながら困り顔で聞いてみる。

するとセトはむーっと眉間にシワを寄せてしょうがないと頷いた。

「ありがとう~セトは優しいから大好き」

可愛い我が子をぎゅっと抱きしめた。

「じゃあパパとセトは先に行っててくれる?」

セトの着替えを済ませるとカイルも着替えを終えていた。

本来ならメイド達が手伝ってくれるものだがうちでは自分で出来ることは自分でやる方針にしている。

カイルも私の意見を尊重してくれて今では着替えも自分で済ますようになっていた。

セトをカイルが抱き上げると寂しそうにこちらを見つめる。

「ふふ、用意が終わったらすぐに行くからね」

セトの頭を撫でるとその手をカイルに掴まれた。

「俺も待ってるんだけど…」

手を引き寄せられそっと指先にキスされ、熱い瞳で見つめられた。

「ママ!パパ!はやく~」

カイルと見つめ合っているとセトがお腹が空いたと声をあげる。

「はいはい、セト様の仰せのままに…」

カイルは笑うと手にもう一度キスをしてそっと離した。

熱くなった指先を掴んで私は幸せな気持ちで自分の支度を始めた。

支度を終えて部屋を出るとスチュアートさんが待っていた。

「ローズ様、セト様とカイル様がお待ちです」

苦笑しながら部屋へと誘導してくれる。

「ありがとうございます。すみませんおまたせしちゃいました」

「いえ、言ってくだされば何時でもメイドが支度をお手伝いしますからね」

「はい、でも普段の支度くらいは自分でできますから。その分みんなには休んで貰いたいです」

「ありがとうございます。ローズ様達におかげで他の仕事を優先できますのでその分仕事が早く終わります」

スチュアートさんが笑顔で頷く。

「早く終わればみんなも家族との時間が増えますからね」

スチュアートさんの今日の予定など聞きながらリビングに向かうとセトがお座りして朝食が出るのを待っていた。

「ママ!ここ!ここ!」

自分の隣を指さして座ってと促される。

「ごめんね、おまたせ」

いつもの自分の席に座るとメイド達がサッと食事を持ってきてくれた。

「じゃあ頂こうか?」

カイルが私とセトを見ると、セトは元気に挨拶をして食べ始めた。

「いただきます!」

セトの美味しそうに食べる姿を少し見て自分も食べ始める。

いつも美味しい料理を堪能して、セトのお口を吹いてやる。

食事を終えるとカイルが仕事に向かうのでそれを見送る為にセトと一緒に外に出た。

抱っこしてカイルに手を振らせると…

「やだ…」

手を振りたくないとぎゅっと胸に抱きついた。

「どうしたの?」

「なんだセト…今日は手を振ってくれないのか?」

カイルが寂しそうにセトの頭を撫でていると…

「だって…手を振ったら…パパお仕事行っちゃうもん…」

しょぼんとしながら目に涙をためる。

「ローズ…今日仕事行かなくていいかな?」

カイルが真剣な顔で聞いてきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。