上 下
308 / 318
連載

369.

しおりを挟む
ドサッ…

クリスはイブがこと切れる寸前でその手を離した。

「ふぅ…こんな簡単に死ねると思うなよ…」

クリスはやっと離せた震える手を握りしめて気絶する二人を見下ろした。

「スミス先生にいいお土産が出来たな…ちょうど実験に使える人体が欲しいって言ってたし…」

クリスは二人に良かったねと笑いかけた。



クリスが小屋から出てくると…

「すみません、一人は勢いあまって首を跳ねてしまいました…あまりに酷かったもので、あとの二人は王都に連れて帰ります。そこで尋問した後スミス先生に任せることにします」

「「えっ!スミス先生に!」」

ロイ王子とカイルが顔を顰めた。

「あの方に…まぁしょうがありませんね。ご愁傷さまです」

スチュアートさんも納得している。

「ではそのように手配しておきます。もう少しすれば王都から使者も来る頃でしょう」

「えー!な、なんでだ!?」

ロイ王子が聞いていないと大声をあげると、クリスが王子を睨みつけた。

「私が報告しておきました。いつまでも王都に王子不在でいられるわけないでしょう!キャシー様の事もありますし…使者が着き次第帰りますからね!」

「クソ…自由な時間もあと少しか…ハッ!こうしちゃいられない!おい!早くキャシー達のところに帰ろう!一緒に居られるのもあとわずかになるぞ!」

ロイ王子はクリスを急かした!

「俺はお前達が帰ればローズとずっと一緒にいられるからな…ここはしょうがない任せておけ、後処理はしておく」

カイルが行けと二人の背中を押してくれた。

「に、兄さん…」

クリスは初めてカイルを心から兄と 呼んだ!

「ありがとうございます!」

「カイル!恩に着る!」

二人は急いで愛しい彼女のいる屋敷に向かった!


       ◆

少しさかのぼってクリス達の去ったあとの屋敷では…

「ローズ、ハルジオン。私よキャシー…入ってもいいかしら?」

キャシーが二人に声をかけた。

「キャシー様?も、もちろんです!」

衝立のベッドからはハルジオンの慌てた声が聞こえてきた。

キャシーは中に入ると立ち上がろうとするハルジオンをローズと共にベッドに寝かせた。

「ほら、ハルジオンは寝てて」

キャシーは優しくハルジオンの手をとると落ち着かせるようにベッドに腰掛けた。

「お二人共…ありがとう」

ハルジオンはいつも通り接してくれるローズ様とキャシー様にお礼を言うと

「未来の妹だもの!当たり前でしょ」

「そ、そんな妹だなんて…私はクリス様の相手に相応しくないのに…」

悲しそうに顔を伏せた。

「あら、そんな事を言った人はどこにいるの?是非とも話を聞いてみたいわ。まさかクリス…なんてことはないわよね?」

「い、いえ!クリス様はそんな事気にしないと笑って下さいましたが…私が私を許せないのです」

ハルジオンの頬を悲しそうな顔にローズは何とかしてあげたいと思っていた。
しおりを挟む
感想 1,399

あなたにおすすめの小説

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです 無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す! 無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

メイドから家庭教師にジョブチェンジ~特殊能力持ち貧乏伯爵令嬢の話~

Na20
恋愛
ローガン公爵家でメイドとして働いているイリア。今日も洗濯物を干しに行こうと歩いていると茂みからこどもの泣き声が聞こえてきた。なんだかんだでほっとけないイリアによる秘密の特訓が始まるのだった。そしてそれが公爵様にバレてメイドをクビになりそうになったが… ※恋愛要素ほぼないです。続きが書ければ恋愛要素があるはずなので恋愛ジャンルになっています。 ※設定はふんわり、ご都合主義です 小説家になろう様でも掲載しています

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。