貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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360. 人の目

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「え?人の目?あっ、あの人は!?」

ハルジオンは自分を落とそうとしたイブの事を今更ながら思い出した!

「ああ大丈夫、さっき逃げていく足音がしたけど町の人達が追ってく音もしたから今頃、捕縛されてるよ」

「え?町の人?」

「もうみんな出てきてよ!いるのわかってますよ」

クリス様が何も居ない森の中に向かって声をかけると…

「あーあ、クリス様はやっぱり騙せないか」

「せっかくあと少しだったのに!誰!音出した馬鹿は!」

お姉さん達がギロっと睨みをきかせながら町の人達が数名ゾロゾロと顔を出した。

「お、俺じゃねぇからな!」

誰のせいかと騒ぎ出すがハルジオンにはさっぱりなんの事かわからなかった、それよりも何処から見られていたのか気になり頬を染めてクリス様の背中に隠れようとすると逃がさないと言うように掴まれた。

「ちょっとみんなに話をしてたら駆けつけるのが遅くなっちゃったんだ…怖い目にあわせてごめん」

クリス様がイブに掴まれ赤くなった腕をさすってくれると、そのままそっと愛おしいそうに口をつけた。

痛かった腕にピリッと衝撃が走りポカポカと火照り出す。

「クリス様、あの娘と両親もこちらで拘束しておきました」

町の巡回に携わっているおじさんがクリスに声をかけてきた。

「お疲れ様です、その人達多分他所でも何かしでかしてそうなので先に調べて下さい。特にその娘、名前は…興味無さすぎて忘れたけど絶対に逃がさないで下さい」

「は、はい!」

クリス様の顔に町のおじさんの顔が引き締まった。

「クリス様…あの人ってどうなるんですか?」

ハルジオンは気になってクリス様の服を引っ張ると

「そうだね…ハルジオンの事を殺そうとしてたから極刑にしておく?」

「え!?い、いやそれってクリス様が決めていいんですか!?それに極刑って…私こうして無事でしたから」

「ハルジオンを傷つけたんだよ?許されないよね?」

クリス様の笑顔が怖い…

「で、でも私もこうして罪を犯したのになんの罰もなく幸せにしてもらっています」

「それとこれとでは全然罪の重さが違うよね?それにハルジオンはちゃんと姉さんからの罰を受けてるよね?」

「罰のうちに入りませんよ…」

「ふぅ…ハルジオンは優しすぎて困るね…まぁそういうところが好きなんだけど」

「え?なんですか?」

「ん、なんでもないよ。じゃあハルジオンに対する罪は軽めにしておくよ。それでどうかな?」

「はい、ありがとうございます」

ハルジオンはほっとしてクリス様に微笑んだ。

「そういう顔は良くないね」

「あっ!すみません…不謹慎でした」

ハルジオンはしゅんと縮こまると…クリスがため息をつく。

そしてハルジオンを前でだき抱えると…

「ク、クリス様!なにを!?」

いきなりお姫様抱っこをされてハルジオンが暴れると

「ハルジオン、暴れると可愛い下着また見えちゃうよ」

ハルジオンはバッと胸を隠した大人しくなる。

クリス様が満足そうに笑った。

「すみません皆さん、ハルジオンが怪我をしているので屋敷に一度連れて帰ります。手当てを終えたら戻って来ますのでそれまで頼めますか?」

クリスの言葉に町の人達は眉をひそめて顔を見合わせた。
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