298 / 318
連載
359.通じ合う気持ち
しおりを挟む
「クリス様…あの重いでしょうから離して下さい、退きますから」
抱きしめたまま何も言わないクリス様にトントンと体を叩いて話しかける。
「すまない…無事で…本当によかった」
ようやくクリス様の力が緩むとハルジオンも体の震えは止まっていた。
ゆっくりとクリス様から離れて起き上がると
!!!
クリス様の顔が真っ赤になって目線が胸の辺りを見つめている。
自分もクリス様の視線に自分の体を見ると…
「きゃあ!」
先程イブに破かれたせいで胸元が大きくはだけていた。
慌てて胸元を両手で隠すと…
「み、見ました…?」
身を捩り恥ずかしさのあまりに涙目になりながらクリス様を見つめる。
クリス様は慌てて立ち上がり上着を脱ぐとハルジオンの肩にそっとかけた。
「い、いや…そんなに見てない…」
「そんなに!?じゃあ見たんですね」
「ち、違う!全然見てないよ」
「本当ですか…」
「う、うん!大丈夫」
「何が大丈夫なんですか…あーならもっと可愛い下着にしとけばよかった…」
ぼそっと呟くと
「え?そんな事ない!すごい可愛かったよ」
クリス様にバッチリと聞かれて返答される。
「!!やっぱり見てるじゃないですか!あーもうお嫁にいけない!」
もうこのまま誰にも見られないように穴に引きこもりたい!
クリス様のいい匂いのする上着をギュッと掴み自分を隠すように覆った。
「なら…僕のところにお嫁に来ればいいんじゃない…かな…」
「え?」
ハルジオンはクリス様の言葉に籠ろうとした殻からあっさりと顔を出した。
今なんて…?
心の声が顔に出ていたのだろう、クリス様が私をじっと見つめると
「何処かに嫁になんて行かなくていい、ハルジオンはずっと僕のそばに居ればいいよ」
「そ、それって…」
クリス様がそっとハルジオンの手を掴むと
「ごめん…僕こういうの慣れてなくて、ハルジオンが今、居なくなるかもしれないって思ってやっと自分の本当の気持ちがわかった。ハルジオンの事ずっと可愛い…見ていたいって思っていたけどそれは家族としての感情と勘違いしてた…だけど違う。この気持ちはそうじゃないんだ」
クリス様は頬を染めながら慣れない気持ちを一生懸命伝えようとしてくれていた。
「う、嬉しいです…私もクリス様に助けていただいた時から…ずっと、ずっと…好きでした。さっき死ぬかもしれないと思った時この気持ちだけは伝えればよかったと後悔してたんです」
クリス様は私の言葉に驚くわけでもなく嬉しそうに頷くと…そっと顔を近づけてくる。
ハルジオンはキスをされると思い目をギュッと閉じた。
すると口の端に触れるだけの優しいキスをされると、直ぐに離れてしまった。
「あっ」
思わず物足りなく寂しそうな声を出してしまうと…
「ここは人が多すぎるから…続きは後でね」
クリス様が眉を下げて困った様に笑うとまた開いていたハルジオンの胸元を見られないようにギュッと隠した。
抱きしめたまま何も言わないクリス様にトントンと体を叩いて話しかける。
「すまない…無事で…本当によかった」
ようやくクリス様の力が緩むとハルジオンも体の震えは止まっていた。
ゆっくりとクリス様から離れて起き上がると
!!!
クリス様の顔が真っ赤になって目線が胸の辺りを見つめている。
自分もクリス様の視線に自分の体を見ると…
「きゃあ!」
先程イブに破かれたせいで胸元が大きくはだけていた。
慌てて胸元を両手で隠すと…
「み、見ました…?」
身を捩り恥ずかしさのあまりに涙目になりながらクリス様を見つめる。
クリス様は慌てて立ち上がり上着を脱ぐとハルジオンの肩にそっとかけた。
「い、いや…そんなに見てない…」
「そんなに!?じゃあ見たんですね」
「ち、違う!全然見てないよ」
「本当ですか…」
「う、うん!大丈夫」
「何が大丈夫なんですか…あーならもっと可愛い下着にしとけばよかった…」
ぼそっと呟くと
「え?そんな事ない!すごい可愛かったよ」
クリス様にバッチリと聞かれて返答される。
「!!やっぱり見てるじゃないですか!あーもうお嫁にいけない!」
もうこのまま誰にも見られないように穴に引きこもりたい!
クリス様のいい匂いのする上着をギュッと掴み自分を隠すように覆った。
「なら…僕のところにお嫁に来ればいいんじゃない…かな…」
「え?」
ハルジオンはクリス様の言葉に籠ろうとした殻からあっさりと顔を出した。
今なんて…?
心の声が顔に出ていたのだろう、クリス様が私をじっと見つめると
「何処かに嫁になんて行かなくていい、ハルジオンはずっと僕のそばに居ればいいよ」
「そ、それって…」
クリス様がそっとハルジオンの手を掴むと
「ごめん…僕こういうの慣れてなくて、ハルジオンが今、居なくなるかもしれないって思ってやっと自分の本当の気持ちがわかった。ハルジオンの事ずっと可愛い…見ていたいって思っていたけどそれは家族としての感情と勘違いしてた…だけど違う。この気持ちはそうじゃないんだ」
クリス様は頬を染めながら慣れない気持ちを一生懸命伝えようとしてくれていた。
「う、嬉しいです…私もクリス様に助けていただいた時から…ずっと、ずっと…好きでした。さっき死ぬかもしれないと思った時この気持ちだけは伝えればよかったと後悔してたんです」
クリス様は私の言葉に驚くわけでもなく嬉しそうに頷くと…そっと顔を近づけてくる。
ハルジオンはキスをされると思い目をギュッと閉じた。
すると口の端に触れるだけの優しいキスをされると、直ぐに離れてしまった。
「あっ」
思わず物足りなく寂しそうな声を出してしまうと…
「ここは人が多すぎるから…続きは後でね」
クリス様が眉を下げて困った様に笑うとまた開いていたハルジオンの胸元を見られないようにギュッと隠した。
193
お気に入りに追加
8,938
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される
雪野ゆきの
ファンタジー
記憶を失った少女は森に倒れていたところをを拾われ、特殊部隊の隊長ブレイクの娘になった。
スペックは高いけどポンコツ気味の幼女と、娘を溺愛するチートパパの話。
※誤字報告、感想などありがとうございます!
書籍はレジーナブックス様より2021年12月1日に発売されました!
電子書籍も出ました。
文庫版が2024年7月5日に発売されました!
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。