貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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349.ハルジオン

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ハルジオンはボーッとしながら今の状況を確認する…

えっと…私、確かクリス様と馬に…それで…

「あっ!死んだ!?」

顔をパシパシと叩いて確認する。

「痛い…死んでない…って事は…」

あの時クリス様が助けに来てくれたのは夢でなくて!?

ハルジオンはドサッと布団に突っ伏した。

「やだ!どうしよう!私あの時変な事言った?言ってないよね?」

自分で何を喋ったか覚えてないが、クリス様が懸命に手を伸ばしてくれた事は覚えてる…

それに…

ハルジオンは自分の体を包み込むと…

「なんか…ずっといてくれたような…さっき部屋を出ていったのもクリス様だよね?」

ハルジオンはなんか胸の中がモヤモヤしてきた。

「よし!」

ガバッと起き上がると

「ちゃんとクリス様に聞いてみよう!そして助けてくれたお礼も言わないと…」

そうと決まれば!

ハルジオンは勢いよく部屋を飛び出した!


屋敷の中を組まなく探したがクリス様の姿がどこにもない…

何処に言ったんだろうとフラフラしていると…

「ああ、ハルジオン様 具合は良くなりましたか?」

スチュアートさんがチャート様と廊下を歩いてきた。

何処かに行っていた用で二人ともうっすらと汗をかいていた。

「あっ!チャート様にスチュアートさんお帰りなさいませ。て…何故私が具合悪かった事を?」

「それは…クリス様が運んで来ましたから、それはそれは大事そうに」

スチュアートさんがニコニコ笑いながら教えてくれる。

「だ、大事そうって…クリス様はみんなに優しいお方ですから…」

ハルジオンは最初は顔を赤らめたが思い直し少し寂しそうに笑った。

「そうかな?あの子は結構はっきりしてると思うよ。興味無い事には本当に適当だから…俺に対してなんて…本当にそんな感じだし…」

チャート様が昔は可愛かったのに…と涙を流していると

「そ、そうでしょうか…」

二人の言葉に胸が熱くなる…

「ええ」

「本人に聞いてみたらいい」

二人が微笑ましそうにハルジオンに笑いかけると…

「それが…お礼も言いたくて探しているのですがクリス様お屋敷にいないらしく見当たらないのです」

「そうなの?」

「ああ、先程クリス様に女性が訪ねて来ましたね」

「女性…」

ハルジオンの顔が曇ると

「あっ!別にクリス様と何かある訳では…何かお礼に来たとか言っておりましたが」

「もしかしてその方と何処かに」

ハルジオンが不安そうに手を握りしめた。

「クリスもけしからんな!好き…いや…可愛い女の子をこんなにも不安にさせて」

「チャート様…まぁそうですね。しかしクリス様がそんな事を自分からするとは思えません。これには何か事情があるのでは?」

「事情…クリス様大丈夫でしょうか?」

「心配なら見に行ってみればいい」

「で、でも…」

「それともお茶でも飲んで待ってるかい?」

チャートがニヤッと笑いかけると

「行ってきます!」

ハルジオンはキリッと力強く目を向けた!

「それでこそタウンゼントの女だ!」

チャートは行ってこい!とハルジオンの背中を叩いた!


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