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343.恋しちゃったんだ
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「あはっ、ハルジオン可愛い…クリスにしがみついてる」
ローズはその様子に思わず微笑んで覗き込んだ。
「ね、姉さん…どうしよう…」
「大丈夫よそのままで、よっぽどクリスに信頼を寄せてるのかしら?」
「まぁクリス頑張れ」
カイルは苦笑するとガチガチに固まったクリスを見送った。
「大丈夫かな?」
ローズも心配そうにクリスの背中をずっと見ていると…
「ねぇ…」
後ろからカイルの呼ぶ声に振り返った。
「なんで…す…んっ…」
振り返った瞬間にその唇を塞がれた。
「んっ…ふ…う…んっ」
ガッツリと食べられるようなキスにローズはくたっと力が抜けた。
「おっと、大丈夫?」
カイルが笑顔で倒れ込むローズを抱きしめると…
「もう…なんでこんなところで…」
顔を真っ赤にしながらカイルを上目遣いに睨みつけた。
「はは、ローズそんな顔したら逆効果だよ?ただでさえクリス達が来て二人の時間が減らされたんだ…こんなチャンス逃すわけないでしょ?」
カイルはニコッと笑うとローズの顎に手を当てて顔を上向けさせる。
そして嬉しそうに顔を近づけた…
「ローズとカイル様遅いですね…」
キャシーはなかなか帰ってこない二人を心配して向かった先を見つめた。
ローズ達からはキャシーが乗っているので危ないからと、ここで待つように言われていたのだ。
「キャシー、またローズの事を考えて…やっぱり忘れられないのかい?」
ロイはずっと気になっていた事をキャシーに聞いた。
「は?えっと…」
キャシーの戸惑う様子にロイは自分で聞いおきながら続きが聞きたくないと話を遮った。
「わかっていたけどね…キャシーはローズが好きだって…だけど負けるつもりはないよ、こんなに好きになったのは君だけなんだよ」
ロイはギュッとキャシーの手を握りしめた…しかしその顔は自信なさげに下を向いている。
「ロイ様…」
キャシーが下を向くロイの頬に手を伸ばそうとすると…
「大丈夫、キャシーの気持ちがちゃんとこっちに向くまで待つつもりだからそこは安心して…」
そう言って顔をあげた…しかしその顔は寂しそうに無理して笑っているようだった…
キャシーはそんなロイ王子の様子にグッと腹に力を込めると…
えい!
目をつぶって勢いよくロイの頬にキスをした!
「え?」
ロイは突然の事にキスされた頬を押さえて唖然としながらキャシーを見つめる。
「な、何か勘違いをされているみたいなので…こ、これが私からの精一杯の返事です…」
キャシーは顔を真っ赤にしながらそう言うとクルッと前を向いた。
本当は走り去ってしまいたかったが今は馬の上…逃げる事も出来ない。
ただ少しでも離れようと前にズレると…
ギュッ!!
後ろから抱きつかれた!
「ロ、ロ、ロ……」
「ありがとう…お願いだから少しだけこうさせて」
ロイの声が耳元で囁かれる。
その弱々しい声にキャシーは前に回ったロイの腕にそっと手をあてた…
ローズはその様子に思わず微笑んで覗き込んだ。
「ね、姉さん…どうしよう…」
「大丈夫よそのままで、よっぽどクリスに信頼を寄せてるのかしら?」
「まぁクリス頑張れ」
カイルは苦笑するとガチガチに固まったクリスを見送った。
「大丈夫かな?」
ローズも心配そうにクリスの背中をずっと見ていると…
「ねぇ…」
後ろからカイルの呼ぶ声に振り返った。
「なんで…す…んっ…」
振り返った瞬間にその唇を塞がれた。
「んっ…ふ…う…んっ」
ガッツリと食べられるようなキスにローズはくたっと力が抜けた。
「おっと、大丈夫?」
カイルが笑顔で倒れ込むローズを抱きしめると…
「もう…なんでこんなところで…」
顔を真っ赤にしながらカイルを上目遣いに睨みつけた。
「はは、ローズそんな顔したら逆効果だよ?ただでさえクリス達が来て二人の時間が減らされたんだ…こんなチャンス逃すわけないでしょ?」
カイルはニコッと笑うとローズの顎に手を当てて顔を上向けさせる。
そして嬉しそうに顔を近づけた…
「ローズとカイル様遅いですね…」
キャシーはなかなか帰ってこない二人を心配して向かった先を見つめた。
ローズ達からはキャシーが乗っているので危ないからと、ここで待つように言われていたのだ。
「キャシー、またローズの事を考えて…やっぱり忘れられないのかい?」
ロイはずっと気になっていた事をキャシーに聞いた。
「は?えっと…」
キャシーの戸惑う様子にロイは自分で聞いおきながら続きが聞きたくないと話を遮った。
「わかっていたけどね…キャシーはローズが好きだって…だけど負けるつもりはないよ、こんなに好きになったのは君だけなんだよ」
ロイはギュッとキャシーの手を握りしめた…しかしその顔は自信なさげに下を向いている。
「ロイ様…」
キャシーが下を向くロイの頬に手を伸ばそうとすると…
「大丈夫、キャシーの気持ちがちゃんとこっちに向くまで待つつもりだからそこは安心して…」
そう言って顔をあげた…しかしその顔は寂しそうに無理して笑っているようだった…
キャシーはそんなロイ王子の様子にグッと腹に力を込めると…
えい!
目をつぶって勢いよくロイの頬にキスをした!
「え?」
ロイは突然の事にキスされた頬を押さえて唖然としながらキャシーを見つめる。
「な、何か勘違いをされているみたいなので…こ、これが私からの精一杯の返事です…」
キャシーは顔を真っ赤にしながらそう言うとクルッと前を向いた。
本当は走り去ってしまいたかったが今は馬の上…逃げる事も出来ない。
ただ少しでも離れようと前にズレると…
ギュッ!!
後ろから抱きつかれた!
「ロ、ロ、ロ……」
「ありがとう…お願いだから少しだけこうさせて」
ロイの声が耳元で囁かれる。
その弱々しい声にキャシーは前に回ったロイの腕にそっと手をあてた…
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