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341.ライバル
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弟の芽生えた気持ちには気付かずにローズはキャシーと久しぶりの再会を楽しんでいた。
「キャシー王都はどう?みんな変わりないかな?」
「そうね…ローズが居なくなってみんな寂しそうかな」
「またまた~」
ローズがキャシーの冗談に笑うがキャシーは本当なのにと苦笑いする。
「私も寂しいわ…ローズが遠くに行っちゃって…」
「キャシー…」
寂しそうなキャシーの手をローズはギュッと握りしめた。
「ずっと会いたかった…」
「私も…」
二人が手を取り合っていると…
「おい!そこ!女同士で盛り上がるなよ!」
ロイが馬を横付けして声をかけた。
「王子…せっかくキャシーと再会を喜びあってたのに、邪魔しないでくださいよ」
「邪魔…いや今止めなきゃお前ら一線越えてたろ!」
「なんの事ですか?」
「さぁ?」
ローズとキャシーは顔を見合わせた。
「ローズ、あんまり王子をからかったら駄目だよ」
カイルがロイとは反対側から二人を窘めるように声をかけた。
「だってカイル様、二人がいつの間にかこんなに仲良くなってて…私のキャシーだったのに!」
ローズはキャシーを後ろから抱きしめた!
「キャシー!今日は一緒に寝ようね!」
ローズはキャシーを後ろから覗き込むと、キャシーは頬を赤らめて嬉しそうに頷いた。
「キャシー…まさか…まだ…」
ロイはキャシーの反応にライバルのローズを羨ましそうに見つめた。
騒がしい前の集団から少し離れてクリスとハルジオンは未だぎこちない会話をしていた…
「て、天気がいいね…」
「そうですね…」
「好きな食べ物とかあるのかな?」
「クレアさんのお菓子…でしょうか」
いまいち会話の盛り上がらない二人は相手に気が付かれないようにため息をついた。
ど、どうしよう!クリス様絶対に呆れてる!こんなまともに返事も返せないなんて…手紙ではあんなにたくさんかけたのに…
うー…なんだろ。上手く会話出来ない…仕事でこんな事一度もないのに…
「「あの!」」
「あっ…クリス様どうぞ…」
「いや、ハルジオンからいいよ。僕のは大した事じゃないからね」
「いえ!クリス様の方からお願いします」
「いやいや大丈夫…それで?何?」
どうぞどうぞとやり合っていると…
「クリス様からお願いします!男ならバシッと先に!」
「いや!レディファーストだよね!ハルジオン言うんだ!命令だよ!」
「あー!そういうところで命令とか酷いと思います!」
「ハルジオンこそ何意地になってるのかな?いい加減素直になりな」
「私は最初から素直です!変なのはクリス様です!」
「はぁ?僕の何処が変なのさ!?それを言うならハルジオンだろ!なんかいつもより可愛く見えて変だよ!」
「か、可愛く!?そ、そんな事ありません!い、いつも通りです…」
「そう?なんかいつもより心臓の音うるさいよ?」
クリスがハルジオンに顔を寄せると…
「や、や、やめてー!」
ハルジオンは恥ずかしさのあまりクリスをドンッと押してしまった!
「うわっ!」
クリスはバランスを崩して馬から落ちそうになるがサッと体制を整えて見事に着地した!
しかし馬は驚いてハルジオンを乗せたまま走り出してしまった。
「きゃあ!!」
「ハルジオン!」
ハルジオンは自分のした事にサーっと青くなりながら馬のたてがみにしがみつく。
「どうしたの!?」
「大丈夫か!?」
クリス達の声に先に進んでいたローズ達が戻ってきた。
「ハルジオンを乗せた馬が暴走してしまって…追いかけます!馬を貸して頂けますか!?」
「「わかった」」
カイルとロイは自分の馬にローズとキャシーを抱いて座らせた。
「え?」
「きゃ!」
あまりに見事な攫いっぷりに唖然としていると
「この馬を使え!」
「行けクリス!俺達もあとから追う!」
「はい!ありがとうございます!」
クリスはローズ達が乗っていた馬を借りてハルジオンのあとを追った!
「キャシー王都はどう?みんな変わりないかな?」
「そうね…ローズが居なくなってみんな寂しそうかな」
「またまた~」
ローズがキャシーの冗談に笑うがキャシーは本当なのにと苦笑いする。
「私も寂しいわ…ローズが遠くに行っちゃって…」
「キャシー…」
寂しそうなキャシーの手をローズはギュッと握りしめた。
「ずっと会いたかった…」
「私も…」
二人が手を取り合っていると…
「おい!そこ!女同士で盛り上がるなよ!」
ロイが馬を横付けして声をかけた。
「王子…せっかくキャシーと再会を喜びあってたのに、邪魔しないでくださいよ」
「邪魔…いや今止めなきゃお前ら一線越えてたろ!」
「なんの事ですか?」
「さぁ?」
ローズとキャシーは顔を見合わせた。
「ローズ、あんまり王子をからかったら駄目だよ」
カイルがロイとは反対側から二人を窘めるように声をかけた。
「だってカイル様、二人がいつの間にかこんなに仲良くなってて…私のキャシーだったのに!」
ローズはキャシーを後ろから抱きしめた!
「キャシー!今日は一緒に寝ようね!」
ローズはキャシーを後ろから覗き込むと、キャシーは頬を赤らめて嬉しそうに頷いた。
「キャシー…まさか…まだ…」
ロイはキャシーの反応にライバルのローズを羨ましそうに見つめた。
騒がしい前の集団から少し離れてクリスとハルジオンは未だぎこちない会話をしていた…
「て、天気がいいね…」
「そうですね…」
「好きな食べ物とかあるのかな?」
「クレアさんのお菓子…でしょうか」
いまいち会話の盛り上がらない二人は相手に気が付かれないようにため息をついた。
ど、どうしよう!クリス様絶対に呆れてる!こんなまともに返事も返せないなんて…手紙ではあんなにたくさんかけたのに…
うー…なんだろ。上手く会話出来ない…仕事でこんな事一度もないのに…
「「あの!」」
「あっ…クリス様どうぞ…」
「いや、ハルジオンからいいよ。僕のは大した事じゃないからね」
「いえ!クリス様の方からお願いします」
「いやいや大丈夫…それで?何?」
どうぞどうぞとやり合っていると…
「クリス様からお願いします!男ならバシッと先に!」
「いや!レディファーストだよね!ハルジオン言うんだ!命令だよ!」
「あー!そういうところで命令とか酷いと思います!」
「ハルジオンこそ何意地になってるのかな?いい加減素直になりな」
「私は最初から素直です!変なのはクリス様です!」
「はぁ?僕の何処が変なのさ!?それを言うならハルジオンだろ!なんかいつもより可愛く見えて変だよ!」
「か、可愛く!?そ、そんな事ありません!い、いつも通りです…」
「そう?なんかいつもより心臓の音うるさいよ?」
クリスがハルジオンに顔を寄せると…
「や、や、やめてー!」
ハルジオンは恥ずかしさのあまりクリスをドンッと押してしまった!
「うわっ!」
クリスはバランスを崩して馬から落ちそうになるがサッと体制を整えて見事に着地した!
しかし馬は驚いてハルジオンを乗せたまま走り出してしまった。
「きゃあ!!」
「ハルジオン!」
ハルジオンは自分のした事にサーっと青くなりながら馬のたてがみにしがみつく。
「どうしたの!?」
「大丈夫か!?」
クリス達の声に先に進んでいたローズ達が戻ってきた。
「ハルジオンを乗せた馬が暴走してしまって…追いかけます!馬を貸して頂けますか!?」
「「わかった」」
カイルとロイは自分の馬にローズとキャシーを抱いて座らせた。
「え?」
「きゃ!」
あまりに見事な攫いっぷりに唖然としていると
「この馬を使え!」
「行けクリス!俺達もあとから追う!」
「はい!ありがとうございます!」
クリスはローズ達が乗っていた馬を借りてハルジオンのあとを追った!
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