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325.逃げた盗賊
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「ひっ…」
娘は盗賊達に睨まれてすくみ上がる。
ガタガタと震えて目に涙を溜める、逃げようとするが体が動かない…
そんな怯える娘の様子に盗賊達はニヤついた。
「これだよこれ!この反応を待ってたんだ…」
「へへへ…やっと俺達にも運が回ってきた…」
娘にじわじわと近づいて行くと…
「次から次へと…なんなんだ一体!」
馬のひづめの音と共にクリスが飛び出してきた!
そして盗賊を睨みつけると娘と盗賊の間に割り込んだ!
「こんなところに盗賊だと…お前ら何処からきた!」
クリスが剣を抜いて盗賊達に剣先を向けながら問いかける。
「何処から…だと…」
盗賊達は一瞬嫌な顔をすると…
「お、俺たちは隣国からだ…」
「そ、そうだ!変な町なんか行った事もないぞ!」
「ば、ばか!余計な事を言うな!」
ボソッと注意するがクリスにはバッチリと聞こえていた。
「隣国だと…そうするとタウンゼントを通らないと来れないはずだが?」
クリスの顔付きが変わった…
「ひっ…な、なんかこいつもおかしくないか」
盗賊の一人が顔色を悪くした。
「な、なにビビってる!こいつは一人だ!何も出来やしねえよ!」
「しかもよく見りゃ可愛い顔をしてるぞ…」
盗賊の1人がクリスをじっくりと見つめた。
その視線にクリスは背筋に悪寒が走る。
「僕は男だ!」
「見りゃわかるが…そんな綺麗な顔なら…男でも…」
ゴクリと盗賊が喉を鳴らした。
「周りは可愛くて綺麗な女の人と楽しくしてるのに…僕に向けられるのはこんな汚い盗賊達の熱い視線……やってられるか!!」
クリスは盗賊達を睨みつけた!
「この鬱憤…お前らで晴らさせてもらおうかな…」
「一人で何ができる!こっちは五人もいるんだぞ!」
「それが?五人程度でやられるようじゃ僕の村なら町民にどやされるよ」
「ちょ、町民!!」
盗賊達がビクッと硬直する。
「ま、待て…俺達何もしてない…なぁ?」
盗賊達が頷き合うと…
「今目の前でこの人達を襲おうとしてたのは誰かな?」
後ろで怯えている人達を指さすと…
「だからまだしてねぇぞ!」
「そうだ!手を出す前だった!」
開き直る盗賊達…クリスは呆れて思わずため息が漏れる。
「もういいや…早く王…いやロイさんのところに戻らないとだし、さっさと寝てもらおうかな?」
クリスは盗賊達にゾクッとするようないい笑顔で微笑んだ。
「ありがとうございました!」
助けられた親子の父親がクリスに深々と頭を下げる。
その後ろには腕や足が変な方向に曲がり呻き声をあげる盗賊達が縄で縛られていた。
「いえ、怪我はないですか?」
クリスが三人を見るが特段怪我などないように見える。
「はい。ですが馬車が…」
聞けば家族で町に物を売りに行こうとするところ盗賊に襲われてしまったらしい…
「隣町と言うと…」
「タウンゼントですね、最近あの町は潤ってるらしいので!領主に新しくできる側近が付いたとか何とか…」
父さん…
クリスが自分の不甲斐なさに肩を落とす…
スチュアートさんのおかげで普通の町として機能するようになったんだな…
「でもタウンゼントは前からいい話しか聞きませんからいつかは行きたいと思ってました」
「そ、そうですか!えっと…私もそこに向かってて…でも、どうしよう」
王子達と行くのに一般人を同行させるのはよくない…しかしまた盗賊が出たりしたら…
「とりあえずこの近くにも町がありますからそこまで送ります」
「何から何までありがとうございます!」
三人はクリスに揃って頭を下げた。
娘は盗賊達に睨まれてすくみ上がる。
ガタガタと震えて目に涙を溜める、逃げようとするが体が動かない…
そんな怯える娘の様子に盗賊達はニヤついた。
「これだよこれ!この反応を待ってたんだ…」
「へへへ…やっと俺達にも運が回ってきた…」
娘にじわじわと近づいて行くと…
「次から次へと…なんなんだ一体!」
馬のひづめの音と共にクリスが飛び出してきた!
そして盗賊を睨みつけると娘と盗賊の間に割り込んだ!
「こんなところに盗賊だと…お前ら何処からきた!」
クリスが剣を抜いて盗賊達に剣先を向けながら問いかける。
「何処から…だと…」
盗賊達は一瞬嫌な顔をすると…
「お、俺たちは隣国からだ…」
「そ、そうだ!変な町なんか行った事もないぞ!」
「ば、ばか!余計な事を言うな!」
ボソッと注意するがクリスにはバッチリと聞こえていた。
「隣国だと…そうするとタウンゼントを通らないと来れないはずだが?」
クリスの顔付きが変わった…
「ひっ…な、なんかこいつもおかしくないか」
盗賊の一人が顔色を悪くした。
「な、なにビビってる!こいつは一人だ!何も出来やしねえよ!」
「しかもよく見りゃ可愛い顔をしてるぞ…」
盗賊の1人がクリスをじっくりと見つめた。
その視線にクリスは背筋に悪寒が走る。
「僕は男だ!」
「見りゃわかるが…そんな綺麗な顔なら…男でも…」
ゴクリと盗賊が喉を鳴らした。
「周りは可愛くて綺麗な女の人と楽しくしてるのに…僕に向けられるのはこんな汚い盗賊達の熱い視線……やってられるか!!」
クリスは盗賊達を睨みつけた!
「この鬱憤…お前らで晴らさせてもらおうかな…」
「一人で何ができる!こっちは五人もいるんだぞ!」
「それが?五人程度でやられるようじゃ僕の村なら町民にどやされるよ」
「ちょ、町民!!」
盗賊達がビクッと硬直する。
「ま、待て…俺達何もしてない…なぁ?」
盗賊達が頷き合うと…
「今目の前でこの人達を襲おうとしてたのは誰かな?」
後ろで怯えている人達を指さすと…
「だからまだしてねぇぞ!」
「そうだ!手を出す前だった!」
開き直る盗賊達…クリスは呆れて思わずため息が漏れる。
「もういいや…早く王…いやロイさんのところに戻らないとだし、さっさと寝てもらおうかな?」
クリスは盗賊達にゾクッとするようないい笑顔で微笑んだ。
「ありがとうございました!」
助けられた親子の父親がクリスに深々と頭を下げる。
その後ろには腕や足が変な方向に曲がり呻き声をあげる盗賊達が縄で縛られていた。
「いえ、怪我はないですか?」
クリスが三人を見るが特段怪我などないように見える。
「はい。ですが馬車が…」
聞けば家族で町に物を売りに行こうとするところ盗賊に襲われてしまったらしい…
「隣町と言うと…」
「タウンゼントですね、最近あの町は潤ってるらしいので!領主に新しくできる側近が付いたとか何とか…」
父さん…
クリスが自分の不甲斐なさに肩を落とす…
スチュアートさんのおかげで普通の町として機能するようになったんだな…
「でもタウンゼントは前からいい話しか聞きませんからいつかは行きたいと思ってました」
「そ、そうですか!えっと…私もそこに向かってて…でも、どうしよう」
王子達と行くのに一般人を同行させるのはよくない…しかしまた盗賊が出たりしたら…
「とりあえずこの近くにも町がありますからそこまで送ります」
「何から何までありがとうございます!」
三人はクリスに揃って頭を下げた。
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