貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
263 / 318
連載

324.ロイ王子

しおりを挟む
「今、町ではこんな服を着ているのか?」

ロイ王子の声と共に扉が動き出した!

きた!

クリスはニヤッと笑う。

コレでキャシー様に笑われて少しは自重すればいい!

クリスは王子が出てくるのを楽しみに待っていると…

「どうかな?」

ロイ王子が笑って出てきた…しかし付いていたはずのチェーンは外され上からは着ていた上着を軽く羽織っている…思ってたのと違うと唖然としていると

「お、お似合いです…」

キャシー様の頬が赤く染まった。

確かに似合っている…あの時は凄く変な服に見えたのに王子が着たことでそれなりにいい物に見てしまった。

「本当に?クリスの見立てが良かったのかな!ありがとうなクリス」

「い、いえ…なんかすみません…」

ロイ王子から感謝を述べられてクリスは思わず顔を逸らした。

「コレで僕らは普通の旅人っぽく見えるかな?」

なんだが楽しくなってきたのかロイ王子が笑っている。

「キャシーも凄く似合ってるよ…ちょっと似合いすぎて心配だけどね」

「そうでしょうか?」

自分の服を見下ろして、二人でまたイチャイチャしだした…クリスはため息をつくとはっと顔をあげた!

今遠くで人の声が聞こえた。

クリスに微かに届く程度だったのでかなり遠いのかもしれない…

「王子!キャシー様!少しここでお待ちを!何か音がしたので様子を伺ってきます」

「わかった」

ロイは顔を引き締めるとキャシーを抱き寄せて小屋の中へと誘導する。

「キャシーはここから出ないように、俺はこの前にいるからね、何があっても出てこない様に!」

そう言って扉を閉めようとすると

「それは駄目です!王子の身に何かあったら大変です!私の代わりは居ても王子の代わりなどいないのですから!」

キャシーは扉から出ようとするとロイが怒ったようにキャシーの手を掴んだ。

「君の代わりだって居ないからね…」

ロイの表情にキャシーが戸惑っていると…

「はい、はい!お二人共代わりは居ません!ですからここに大人しく入ってて下さい!外から入り口隠しておくので…あっ王子…」

クリスはロイ王子にだけそっと耳打ちすると…

「キャシー様に間違っても手を出さないで下さいね!こんなところで!」

ぐっと念を押す!

ロイはびっくりした顔をした後…ニヤリと笑って…

「わかってるよ」

いい笑顔で笑った…

クリスは王子の笑顔に不安になりながらも二人を小屋に押し込めると荷物や木の葉で入り口を塞ぐ。

すると中からキャシー様の戸惑う声が聞こえたが、クリスは無視して叫び声のある方へと向かった。

「なんだこれ!こんなんなら一人で帰った方が早かったし絶対に楽だった!!」

クリスはやけになりながら大きくなる叫び声を目指しながら愚痴をこぼした。



「いやぁー!」

盗賊はある村から逃亡した先で一台の馬車を襲っていた…

「普通の悲鳴だ…やっぱりこれが普通だよな…」

「うん」

襲った娘の普通の怯える様子に感激を受けていた。

「た、助けて下さい…荷物もお金も全て差し上げます…だから妻と娘には…手を出さないで下さい」

父親らしき男が荷物を盗賊に差し出して命乞いをすると、盗賊達はニヤリと笑った。

「これだよこれ!」

「いやぁ悪いな!両方貰ってくわ!」

「だなぁ!ちょっと前に…」

盗賊達は怯える娘に視線を向けた…
しおりを挟む
感想 1,399

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。