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323.調達

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「これください」 

クリスはにっこりと笑うと茶色い服を指さした。

「コレでいいのかい?まぁうちとしちゃ助かるけど…」

服屋のおばちゃんが確認しくる。

「はい!それで大丈夫です!それを着せれば少しは落ち着いた行動を取ってくれるだろうし…」

クリスはそっと呟くと金を払って意気揚々と店を出て行った。

クリスは耳を頼りに王子達の場所を探る。

目を瞑って音に集中する…少し遠いところで馬の鳴き声と生地の擦れ合う音がした。

居た…

クリスは音のした方へと向かった。

するとそこには古ぼけた小屋がありその影に王子は馬を寄らせて身を潜めていた。

「王子!」

クリスが声をかけると

「この場所がよくわかったな」

王子がニヤリと笑うと

「馬はこの近くにはあまりいませんから…」

「それで?服は手に入ったかい?」

「はい…それがキャシー様のはいい物がありましたがなにぶん田舎なので王子のが…」

クリスが顔を顰めると

「ああ、着れれば問題ない。じゃあキャシーから小屋を使って着替えておいで、クリスが覗かないように見ておくからね」

「どっちかと言うと王子の方が覗くのでは…」

クリスは王子の言葉に納得出来ずに頬をふくらませた。

「ふふ、お二人共見張りよろしくお願い致します」

キャシーは笑うと服を受け取って小屋へと入っていった。

扉を背に立っていると中から服を脱ぐ音が聞こえてきた…

クリスは思わず顔を赤くする…別に見るわけでもないのになんだが背徳感があった。

そんなクリスの様子に…

「クリス…耳を塞ごうか?」

ロイ王子が睨みつけながらクリスに言った。

クリスはさすがに素直に頷くと少し離れて耳を塞ぐ。

しばらくするとキャシー様が町娘の様な装いで小屋から出てきた。

「こんな感じでしょうか?」

自信なさげに着た服を見せると、ロイ王子はニコニコと笑って頷く。

「ああ、可愛いよ」

「か、可愛いとかではなく…ちゃんと着れてるかと…」

急に褒められてキャシー様が赤くなると

「何を来ても可愛いからなぁ…しょうがない。じゃあ次は俺が…」

ロイが服が入った袋を掴むと小屋へと入っていく…が一度出てくると

「クリス…襲うなよ」

「襲うわけないでしょうが!早く着替えて来てください!」

ロイ王子のからかうような様子にクリスはきっと睨みつけた。

王子は笑って小屋に逃げるように入っていくと…

「ふふふ…」

クリスが笑い出す。

「クリスさんどうしたの?」

キャシーがその様子に声をかけると

「いえ…王子が服なんて着れるのかなと…キャシー様、王子がどんな服でも笑ってあげて下さいね!」

「笑う?」

キャシーはクリスが楽しそうにする様子になんの事だろうと首を傾げた。


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