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322.仕返し
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クリスはヤケになりながら森の道を駆けた!
チラッと後ろをたまに見るとキャシー様のうっすらと色付く頬が見え、その後ろにはロイ王子の満足そうな笑顔が見えた。
クソ…なんだこの気持ち!なんか叫び出したい!
世界中の幸せな奴らなんか爆ぜればいいのに…
いや…こんな事を思ってはいけない…
クリスはフーっと息を吐くと…ローズ姉さんや領地のみんなの顔を思い出す…それにハルジオン…すると少し気持ちが落ち着いた。
「お二人共大丈夫ですか?近くに他の馬の足音などはありませんので問題なければこのまま進みますが…」
クリスが少しスピードを落としてロイ王子に聞くと
「ああ、問題無いよ。ねぇキャシー?」
「は、はぃ…」
キャシー様は顔を赤く下を向いた…どうしたのかと気になりその視線の先を見ると…
キャシー様の腰にはガッチリとロイ王子の腕が絡まっていた。
「……まぁ問題無いならいいです…僕は少し先を見てきますね!!」
クリスは先の様子を伺いに二人から少し離れた。
「クリスは何を怒ってるのかな?」
「さぁ?」
クリスの不機嫌そうな顔に二人は首をかしげる。
「あー…ローズ達にしばらく会えなかったから怒ってるのかもなぁ」
「そうですね、クリスさんローズの事が大好きですから…」
ふふとキャシーが笑うと
「良かった…」
ロイが安堵した表情をみせた。
「どうかしましたか?」
キャシーがその様子に何に対してだろうかとロイを見ると
「やっといつもの笑顔が出たね」
「えっ!」
キャシーは慌てて両手を離して顔を押さえる。
「危ない!」
急に手を離したキャシーをロイが落ちないように抱きしめた。
「す、すみません…はしたない事を…」
キャシーはそっとロイの腕を押しやった…
「いや…」
二人の間になんともいえない歯がゆい空気が流れると…
「何してるんですか?」
クリスがじっとこちらを睨みつけていた。
「ク、クリスさん!いえ!何かありましたか?」
「クリス…いい所で…」
ロイがボソッと呟くと、キャシーがえっ?と振り返る。
「なんでもないよ。それで?何かあったのか?」
「……いえ…この先に町がありますが、服を調達してきましょうか?お二人共お忍びとは思えない服装ですし…誰かに見られたらすぐにバレますよ」
「ああ、そうだね!じゃあ僕の服とキャシーの分を…いやキャシーのは僕が選ぼうかな」
ロイが顎に手を当てて真剣に悩みだした。
「僕が適当に選んで来ます。王子達は目立たない場所に居てくださいね」
クリスはロイの返事も待たずに町の方へと駆け出した。
クリスは町の服屋に行くと…
「いらっしゃい!」
服屋のおばちゃんが元気に声をかけてきた。
「男性と女性の服を適当に一組ずつ持ってきてくれる?」
「はい!はい!」
おばちゃんはにっこり笑うと目立つ場所に置いてあった二組の服を持ってきた。
「これなんてどうだい?お兄ちゃんかっこいいから似合うと思うよ」
シックな黒でまとめた男性用の服と淡い優しい色に女性用の服を見せてきた。
「うーん…女性のはそれでいいです。男性用のはもう少し変なのってありますか?」
「へ、変なの?」
「はい、こう…角が生えてるとか穴が空いてるとか…変な匂い…は姉さんが嫌いだから…」
何やらブツブツと考えだした。
「変な服を買うなんてお兄ちゃん変わってるね…うちで変なのっていや…この売れ残りかね?」
ゴワゴワの茶色い毛羽立つ布にチェーンの巻かれた服を持ってきた。
クリスはそれを見るとニコッと笑った。
チラッと後ろをたまに見るとキャシー様のうっすらと色付く頬が見え、その後ろにはロイ王子の満足そうな笑顔が見えた。
クソ…なんだこの気持ち!なんか叫び出したい!
世界中の幸せな奴らなんか爆ぜればいいのに…
いや…こんな事を思ってはいけない…
クリスはフーっと息を吐くと…ローズ姉さんや領地のみんなの顔を思い出す…それにハルジオン…すると少し気持ちが落ち着いた。
「お二人共大丈夫ですか?近くに他の馬の足音などはありませんので問題なければこのまま進みますが…」
クリスが少しスピードを落としてロイ王子に聞くと
「ああ、問題無いよ。ねぇキャシー?」
「は、はぃ…」
キャシー様は顔を赤く下を向いた…どうしたのかと気になりその視線の先を見ると…
キャシー様の腰にはガッチリとロイ王子の腕が絡まっていた。
「……まぁ問題無いならいいです…僕は少し先を見てきますね!!」
クリスは先の様子を伺いに二人から少し離れた。
「クリスは何を怒ってるのかな?」
「さぁ?」
クリスの不機嫌そうな顔に二人は首をかしげる。
「あー…ローズ達にしばらく会えなかったから怒ってるのかもなぁ」
「そうですね、クリスさんローズの事が大好きですから…」
ふふとキャシーが笑うと
「良かった…」
ロイが安堵した表情をみせた。
「どうかしましたか?」
キャシーがその様子に何に対してだろうかとロイを見ると
「やっといつもの笑顔が出たね」
「えっ!」
キャシーは慌てて両手を離して顔を押さえる。
「危ない!」
急に手を離したキャシーをロイが落ちないように抱きしめた。
「す、すみません…はしたない事を…」
キャシーはそっとロイの腕を押しやった…
「いや…」
二人の間になんともいえない歯がゆい空気が流れると…
「何してるんですか?」
クリスがじっとこちらを睨みつけていた。
「ク、クリスさん!いえ!何かありましたか?」
「クリス…いい所で…」
ロイがボソッと呟くと、キャシーがえっ?と振り返る。
「なんでもないよ。それで?何かあったのか?」
「……いえ…この先に町がありますが、服を調達してきましょうか?お二人共お忍びとは思えない服装ですし…誰かに見られたらすぐにバレますよ」
「ああ、そうだね!じゃあ僕の服とキャシーの分を…いやキャシーのは僕が選ぼうかな」
ロイが顎に手を当てて真剣に悩みだした。
「僕が適当に選んで来ます。王子達は目立たない場所に居てくださいね」
クリスはロイの返事も待たずに町の方へと駆け出した。
クリスは町の服屋に行くと…
「いらっしゃい!」
服屋のおばちゃんが元気に声をかけてきた。
「男性と女性の服を適当に一組ずつ持ってきてくれる?」
「はい!はい!」
おばちゃんはにっこり笑うと目立つ場所に置いてあった二組の服を持ってきた。
「これなんてどうだい?お兄ちゃんかっこいいから似合うと思うよ」
シックな黒でまとめた男性用の服と淡い優しい色に女性用の服を見せてきた。
「うーん…女性のはそれでいいです。男性用のはもう少し変なのってありますか?」
「へ、変なの?」
「はい、こう…角が生えてるとか穴が空いてるとか…変な匂い…は姉さんが嫌いだから…」
何やらブツブツと考えだした。
「変な服を買うなんてお兄ちゃん変わってるね…うちで変なのっていや…この売れ残りかね?」
ゴワゴワの茶色い毛羽立つ布にチェーンの巻かれた服を持ってきた。
クリスはそれを見るとニコッと笑った。
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