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321.リア充
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ロイは馬を一頭引いてくると…
「ロイ様…まさかそれで行くつもりですか?」
キャシーはさすがに無いですよねと冷ややかな目を向ける。
「駄目かな?これが一番早く着くし何かあっても回避しやすいと思うんだけど…」
「私、馬は操れません…乗って引いてもらう事ぐらいはできますが…」
「ああ、問題無いよ。キャシーが乗るのは僕の前だからね」
「えっ!」
「大丈夫、この子はタフで脚の速い子だから」
ロイ王子は自分の馬を優しく撫でた。
「い、いえ…そう言う事では…令嬢が馬に相乗りなど…」
キャシーが戸惑っていると
「誰かさんなら喜んで乗るでしょ?なんなら自分が馬を操るなんて言いそうだよね」
誰かさんがローズの事だとすぐにわかった。そして確かに…と、ちょっと想像して笑ってしまう。
「だから気にすること無いよ、それに俺はキャシーと早く向こうにつきたいと思ってるんだけど…君は違うの?」
「そんな事は…」
「良かった!じゃあ乗って」
ロイはキャシーの腰に手を当てるとピタリと停止する。
てっきり持ち上げてくれるのかと待っていたキャシーはどうしたのかとロイを見上げた。
「どうしましたか?やはり馬車で行きますか?」
「あっ…いや…」
何故か急に挙動不審な態度を取り出すロイに訝しげる。
「まさか…重くて持ち上がらないとか…」
キャシーが顔を青くすると…
「ち、違うよ!その逆だ!思いの外腰が細くて…折れてしまいそうだと思って…こんなに軽いなんて…ちゃんとご飯食べてる?」
「た、食べてます…」
いきなりそんな事を言われてキャシーはロイ王子の腰に当たる手が熱くなっていることに気が付き、その熱が伝わって自分の頬を熱くした。
「は、早く乗せて下さい」
キャシーが恥ずかしくなり慌てて頼むと
「ああ…」
ギクシャクしながらロイはキャシーを軽々と馬に乗せた。
そして自分も馬に跨り、キャシーの腰に回そうと恐る恐る手を伸ばした。
「あー!王子!まだここにいたんですか!!」
するとクリスが馬に乗ってこちらに向かいながら声をかけてきた。
ビクッ!!
クリスの声に二人で馬の上で肩をあげた。
ロイは思わず手を引っ込めてしまった…
「ク、クリス…待たせた…」
ロイ王子がクリスに振り返って笑いかける。
「早く行きましょう!今から出れば数日で着けます!…ってお二人共まさか馬で行くんですか?」
クリスはロイ王子の前にいるキャシー様に気がついた。
「ああ、この方が早いだろ?クリスを待たせるわけに行かないからね」
「本当にスピアさん達が了承したんですか!?」
クリスが怪しいとロイ王子をじっと見つめる。
「ああ、ほら判も貰ってるよ」
ロイは先程キャシーに見せた書面をクリスの方に向かって開いて見せた。
「……、サイン、判…ん?なんかあのサイン…」
クリスがじっくり見ようと近づいてくるとロイはサッと書類を閉まった。
「よし!確認も出来たし向かおう!クリス早くした方がいいんじゃないか?」
「あっ!そうですね!早くタウンゼントに戻らないと…」
クリスはまぁ大丈夫だろうと書面の事は忘れると…
「じゃあ僕が先導します。キャシー様疲れたらすぐに言ってくださいね!休憩はこまめに取りますが…」
クリスがキャシー様に声をかけると
「キャシーの事は大丈夫、何かあればすぐに言うよ」
ロイはクリスの視線にキャシーの腰をグイッと自分の方に引き寄せて落ちないように抱きしめた。
「ここもか…」
クリスは二人の顔をじろりと見つめると、その視線を王子の腰に回す手へと向けた。
「じゃあ行きます」
冷たい視線を送ってから前を向くとすぐさま馬を走らせた!
「ロイ様…まさかそれで行くつもりですか?」
キャシーはさすがに無いですよねと冷ややかな目を向ける。
「駄目かな?これが一番早く着くし何かあっても回避しやすいと思うんだけど…」
「私、馬は操れません…乗って引いてもらう事ぐらいはできますが…」
「ああ、問題無いよ。キャシーが乗るのは僕の前だからね」
「えっ!」
「大丈夫、この子はタフで脚の速い子だから」
ロイ王子は自分の馬を優しく撫でた。
「い、いえ…そう言う事では…令嬢が馬に相乗りなど…」
キャシーが戸惑っていると
「誰かさんなら喜んで乗るでしょ?なんなら自分が馬を操るなんて言いそうだよね」
誰かさんがローズの事だとすぐにわかった。そして確かに…と、ちょっと想像して笑ってしまう。
「だから気にすること無いよ、それに俺はキャシーと早く向こうにつきたいと思ってるんだけど…君は違うの?」
「そんな事は…」
「良かった!じゃあ乗って」
ロイはキャシーの腰に手を当てるとピタリと停止する。
てっきり持ち上げてくれるのかと待っていたキャシーはどうしたのかとロイを見上げた。
「どうしましたか?やはり馬車で行きますか?」
「あっ…いや…」
何故か急に挙動不審な態度を取り出すロイに訝しげる。
「まさか…重くて持ち上がらないとか…」
キャシーが顔を青くすると…
「ち、違うよ!その逆だ!思いの外腰が細くて…折れてしまいそうだと思って…こんなに軽いなんて…ちゃんとご飯食べてる?」
「た、食べてます…」
いきなりそんな事を言われてキャシーはロイ王子の腰に当たる手が熱くなっていることに気が付き、その熱が伝わって自分の頬を熱くした。
「は、早く乗せて下さい」
キャシーが恥ずかしくなり慌てて頼むと
「ああ…」
ギクシャクしながらロイはキャシーを軽々と馬に乗せた。
そして自分も馬に跨り、キャシーの腰に回そうと恐る恐る手を伸ばした。
「あー!王子!まだここにいたんですか!!」
するとクリスが馬に乗ってこちらに向かいながら声をかけてきた。
ビクッ!!
クリスの声に二人で馬の上で肩をあげた。
ロイは思わず手を引っ込めてしまった…
「ク、クリス…待たせた…」
ロイ王子がクリスに振り返って笑いかける。
「早く行きましょう!今から出れば数日で着けます!…ってお二人共まさか馬で行くんですか?」
クリスはロイ王子の前にいるキャシー様に気がついた。
「ああ、この方が早いだろ?クリスを待たせるわけに行かないからね」
「本当にスピアさん達が了承したんですか!?」
クリスが怪しいとロイ王子をじっと見つめる。
「ああ、ほら判も貰ってるよ」
ロイは先程キャシーに見せた書面をクリスの方に向かって開いて見せた。
「……、サイン、判…ん?なんかあのサイン…」
クリスがじっくり見ようと近づいてくるとロイはサッと書類を閉まった。
「よし!確認も出来たし向かおう!クリス早くした方がいいんじゃないか?」
「あっ!そうですね!早くタウンゼントに戻らないと…」
クリスはまぁ大丈夫だろうと書面の事は忘れると…
「じゃあ僕が先導します。キャシー様疲れたらすぐに言ってくださいね!休憩はこまめに取りますが…」
クリスがキャシー様に声をかけると
「キャシーの事は大丈夫、何かあればすぐに言うよ」
ロイはクリスの視線にキャシーの腰をグイッと自分の方に引き寄せて落ちないように抱きしめた。
「ここもか…」
クリスは二人の顔をじろりと見つめると、その視線を王子の腰に回す手へと向けた。
「じゃあ行きます」
冷たい視線を送ってから前を向くとすぐさま馬を走らせた!
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