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313.不運

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盗賊達は森の中を荒らしながら町の方を目指していた…

「しかしなんだこのザルのような警備は!入りたい放題だな!」

笑いながら木を傷つけ動物を無闇に狩りながら進んでいた。

「あの噂は嘘だったようだな、何が国を抜たら最後戻ってこられないだ、みんなこっちが楽で移り住んだだけじゃねぇのか?」

「有り得るな!食材も豊富だし飯になる獣もわんさかいるぞ!」

「おいおい、そんなに殺しても食えんだろ!それくらいにしておけよ!」

陽気に笑いながら町の方へと歩を進めた。

「しかし町なんて久しぶりだ…女はいるかな?」

ヨダレを垂らす。

「こっちの女はどんな味か楽しみだ…やべぇ想像したら股間が…」

「汚ねえな!女共見つかるまでは隠しとけ!」

「わりぃわりぃ…しかしここの領地には偉く美人な娘がいるって聞いたぜ…まずはそいつからだよな!」

男はニヤニヤと下品に笑うと…

「馬鹿野郎!そういうのは最後のメインに取っとくもんだろ!」

「いや!飽きる前に最初の方がいいと思うぞ!そうだ、領主の目の前で…なんてどうだ?」

「げへへ…そりゃいいな!」

男達が不快感しかわかない顔をしていると…ストンッ!何か風を切ったような音がすると下半身に痛みが走った。

「えっ…」

見ると反り勃った股間に一本の矢が刺さっている。

「い、痛てぇ…」

よく分からない状況に声がボロっと零れた。

「なんだそりゃ!!!」

矢が刺さった男は股間を押さえてうずくまった。

「痛てぇ…痛てぇ…誰か抜いてくれ…」

男が泣きながら仲間に手を差し出すがそれを誰も見ようとしない…

それよりもこれを放った奴がいるはずと周りを警戒していると…

ザクッザクッ…

枯葉を踏む音が森の奥から聞こえてきた…

盗賊達が警戒してそちらを見ると…

ピョン!

可愛いうさぎが飛び出してきた!

「うさぎかよ!」

「巫山戯るな!」

「おい!気を抜くな何処かにまだいるはずだ!」

盗賊の一人が怒りにうさぎを蹴飛ばそうと近づくと…

うさぎの前に立った瞬間足を何かに取られた!

グルンと世界が一周する。

男の足は罠の縄に取られ宙にぶら下がっていた…

「だ、誰か!下ろしてくれ!」

罠の縄は木に括られていてかなり高いところで吊らされている。

「ふふ…じゃあ下ろしてあげようかな…」

ボソッと声がすると弓矢が飛んできて男の足首に付いた縄を貫いた。

「ぎゃあああ!」

男は足首を射抜かれ縄が切れる、そしてそのまま下へと落とされた。

ドスンッ!と頭から落ちて鈍い音がすると男は動かなくなった。

「だ、誰だ!」

盗賊は矢が飛んできた方を睨みつけると…

「はーい!あなた達が探してるこの領地の町民です」

町のお姉さんが手を上げて声をかけた。

「この先に行かれると困るんで引き帰らせようと思ってたんですが…聞き捨てならない事が聞こえてきたので…」

お姉さん達が盗賊を睨みつけた。

町のお姉様方と警護の男達が数名が盗賊の前に姿を現した。

「うっほ…結構な粒ぞろいだぜ…こりゃ味見が楽しみだ…使い終わったら高く売るぞ!」

「後ろには男共がいるぜ!あれは全部殺そう!」

盗賊達はただの町民達の姿にニヤニヤと笑って余裕の算段をしだした。

「あらあら…このお馬鹿さん達自分たちの立場がわかってないみたいですね」

「俺達は殺すって…馬鹿だなぁ…その前に母ちゃん達にどんな目にあうのかもわからんで…」

町民達は盗賊の舐めきった様子にため息をついた。

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