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311.不穏な空気

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イチャイチャするローズ様とカイル様を丘の上に残して出歯亀集団はホクホク顔で町に戻って来ると…

「た、大変だ!町の外れに盗賊の集団が現れた!カイル様とローズ様は!?」

町の見回りを担当していた町民が慌てた様子で戻ってきた!

「えっ!盗賊?」

「そんなの久しぶりね、ここにはあんまり寄り付かないのに…」

町の人達が顔を曇らせる。

「どうも隣の国から入ったようだ…あまりみない装いだった!それで?カイル様は?」

男の言葉に町民は顔を見合わせる。

「カイル様は…丘の上にローズ様と…」

ハルジオンが弱々しく答えた。

せっかくの二人の時間も盗賊の為にもう終わりなんて…

そう思いガッカリと肩をおとす。すると見回りの男達は丘に向かって走り出した。

「わかった!知らせてくる!」

「待ちなさい!」

すると出歯亀集団が男を止める。

「その盗賊は何人いるの?」

「えっ?えっと…多分二、三十人はいるかと…」

男が出歯亀お姉様方の表情にたじろぎながら答える…その口は笑っているが目が笑ってない…

怖すぎると男は震えた。

「その程度なら町のみんなでどうにかなるわよね?」

「ええ問題ないです」

「私も行きます!ローズ様とカイル様にはあのままゆっくりしてて頂きたいですから」

女達は頷きあった。

「しかし…カイル様は国境の警備を任されているんだ。知らせない訳には…」

「ええ、もちろん知らせますよ…私達が先に偵察してから…」

そういうと女達は武器を取り出した。

あるものは鞭を…あるものは短剣を斧や弓…各々が得意な武器を隠し持っていた。

「じゃあ行きましょう!ハルジオンさんはここでカイル様達の様子を…危ないですからね」

ハルジオンは唖然とみんなの様子を見ていた…

「はぁ…こうなったら仕方ないか…まぁチャート様が留守の時も俺達でどうにかなったしな…」

男は諦めると女性達の後をついて行った。

「た、大変…どうしよう町民のみんなで盗賊相手なんて…でもなんでみんな武器を持ってたのかしら?」

ハルジオンは不思議に思いながらとりあえずスチュアートさんとクレアさんにだけはと報告に走った。


「た、大変ですー!」

ハルジオンはバタバタとかけてクレアさんの元に向かうと…

「ハルジオンさん…」

クレアさんが足音に呆れて部屋から出てきた。

「ローズ様といい勝負ですね」

スチュアートさんも笑って出てくると…

「そ、それより大変なんです!盗賊が領地の外れに出たと!」

「本当ですか…」

スチュアートさんの顔色が変わった。

「は、はい…町の見回りの方がそう報告に…」

「カイル様とローズ様は?今日はお二人でお出かけのはずですよね?」

「は、はい…それで町の皆さんが一度確認に行ってからカイル様に報告すると武器を手に行ってしまわれて…」

不安そうに説明すると

「あっ、皆さんが向かわれたんですか?」

スチュアートさんの様子が変わった…怖い顔が収まりいつもの感じに戻っている。

「は、はい…町のお姉様達は凄く怒ってて…でも盗賊相手なんて危ないですよね…」

ハルジオンの心配する顔にスチュアートさんはにっこりと笑った。

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