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297.日常
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「はぁ…ローズ様が羨ましいです…カイル様にあんなに愛されてて…」
ハルジオンはローズのサラサラの髪を洗いながらため息混じりに声をかける。
「で、でもカイル様やりすぎじゃない?私…このままだと結婚する事には心臓が破裂して死んじゃう気がするわ」
「ふふ…それでもやっぱり羨ましい…」
ハルジオンの笑い声にローズは後ろを振り返ると
「ハルジオンは大丈夫?ここにきて嫌じゃなかった?幸せ?」
「はい!もちろんです!ローズ様をはじめ皆さん優しいし…クレアさんはたまに怖いけど私が困らないようにって怒ったあともちゃんと説明してくれてフォローして下さいます!それに…クリス様もたまに帰ってきますから…」
「うん、ならよかった」
ローズは頷くと
「クリスも王都での暮らしもいつかはこっちに戻ってくるって言ってたからね!そしたらタウンゼントを継いでハルジオンもいよいよね!」
「そ、それですが…私はただのメイドですし…こうやって皆さんのお世話をさせていただけるだけで幸せです」
「そんなこと言ったらカイル様は?庶民から領地を任されるようになって私の婚約者よ」
「カイル様は元は侯爵家の方です!私とは違います」
うーん…ハルジオンも結構頑固そう…
ローズは悩むが
まぁそこはクリスに頑張ってもらおう!
「まぁなるようになるよね」
「は、はい?」
ローズの言葉にハルジオンは首に傾げた。
「さぁ早く支度しちゃいましょう!もうお腹ペコペコ!」
ローズは泡の付いた体のままお風呂から飛び出した。
「はぁ…カイル様に見てもらいたいです。このお姿」
ハルジオンが呆れると
「カイル様に!?それは…ちょっと困る」
「ならもう少しお淑やかに出てくださいね」
「うう…はい…」
ローズはハルジオンに怒られて小さく縮こまった。
支度を終えてダイニングに向かうと既に父のチャートとカイルは座って談笑していた。
仲の良さそうな二人にローズは嬉しくなり声をかけた。
「二人とも…最初の頃が嘘のように仲良しですね」
ローズの声にカイルは顔を輝かせると席を立ってローズをエスコートする。
自分の席の隣に座らせると
「うーん…いい香りだ」
深く息を吸う…
「うん、今日の朝食はなんだろ!凄くいい匂い!」
ローズが同意すると
「違うよ…いい香りは君からだ」
カイルはローズの髪をそっとひと房掴むと顔を近づけた。
「君と同じローズの香りだ」
「カイル様…あの…みんな見てますから…」
ローズはじっとこちらを見つめるみんなに居心地が悪くなる。
「ああ、ごめんついね。ローズと居られる事が嬉しくて…」
カイルはようやく髪から手を離してくれた。
「カイル様って…本当に女性が苦手だったんですか?そうは見えませんけど…」
ハルジオンが配膳の支度をしながら疑問に思って呟くと
「ええ、ローズ様に会う前はニコリと笑うこともありませんでした」
スチュアートさんが教えてくれると信じられないと目をまん丸にしている。
そこにはニコニコと笑ってローズを見つめるいつものカイル様がいた。
「あの顔をするのはローズ様の前だけですからね」
「そうなのですか!?」
「いつもローズ様といるハルジオン様には信じられないかもしれませんね…」
クスクスと笑うと
「スチュアートさんまで私を様なんて呼ばないで下さい…」
「いえ、時期当主の婚約者候補ですからね…私から見ればお仕えする方になりますから」
スチュアートさんが笑うと
「ほら、ハルジオンもスチュアートさんもクレアさんも早く座って一緒に食べましょう!お腹空きすぎてもうダメです!」
ローズがお腹をさする姿に二人は苦笑して席につく。
「全く…使用人と食事をする貴族などいませんよ」
クレアさんが呆れながらもいつものように席に着くと
「よそはよそうちはうちです」
ローズはみんなが席に着くのを嬉しそうに見つめた。
ハルジオンはローズのサラサラの髪を洗いながらため息混じりに声をかける。
「で、でもカイル様やりすぎじゃない?私…このままだと結婚する事には心臓が破裂して死んじゃう気がするわ」
「ふふ…それでもやっぱり羨ましい…」
ハルジオンの笑い声にローズは後ろを振り返ると
「ハルジオンは大丈夫?ここにきて嫌じゃなかった?幸せ?」
「はい!もちろんです!ローズ様をはじめ皆さん優しいし…クレアさんはたまに怖いけど私が困らないようにって怒ったあともちゃんと説明してくれてフォローして下さいます!それに…クリス様もたまに帰ってきますから…」
「うん、ならよかった」
ローズは頷くと
「クリスも王都での暮らしもいつかはこっちに戻ってくるって言ってたからね!そしたらタウンゼントを継いでハルジオンもいよいよね!」
「そ、それですが…私はただのメイドですし…こうやって皆さんのお世話をさせていただけるだけで幸せです」
「そんなこと言ったらカイル様は?庶民から領地を任されるようになって私の婚約者よ」
「カイル様は元は侯爵家の方です!私とは違います」
うーん…ハルジオンも結構頑固そう…
ローズは悩むが
まぁそこはクリスに頑張ってもらおう!
「まぁなるようになるよね」
「は、はい?」
ローズの言葉にハルジオンは首に傾げた。
「さぁ早く支度しちゃいましょう!もうお腹ペコペコ!」
ローズは泡の付いた体のままお風呂から飛び出した。
「はぁ…カイル様に見てもらいたいです。このお姿」
ハルジオンが呆れると
「カイル様に!?それは…ちょっと困る」
「ならもう少しお淑やかに出てくださいね」
「うう…はい…」
ローズはハルジオンに怒られて小さく縮こまった。
支度を終えてダイニングに向かうと既に父のチャートとカイルは座って談笑していた。
仲の良さそうな二人にローズは嬉しくなり声をかけた。
「二人とも…最初の頃が嘘のように仲良しですね」
ローズの声にカイルは顔を輝かせると席を立ってローズをエスコートする。
自分の席の隣に座らせると
「うーん…いい香りだ」
深く息を吸う…
「うん、今日の朝食はなんだろ!凄くいい匂い!」
ローズが同意すると
「違うよ…いい香りは君からだ」
カイルはローズの髪をそっとひと房掴むと顔を近づけた。
「君と同じローズの香りだ」
「カイル様…あの…みんな見てますから…」
ローズはじっとこちらを見つめるみんなに居心地が悪くなる。
「ああ、ごめんついね。ローズと居られる事が嬉しくて…」
カイルはようやく髪から手を離してくれた。
「カイル様って…本当に女性が苦手だったんですか?そうは見えませんけど…」
ハルジオンが配膳の支度をしながら疑問に思って呟くと
「ええ、ローズ様に会う前はニコリと笑うこともありませんでした」
スチュアートさんが教えてくれると信じられないと目をまん丸にしている。
そこにはニコニコと笑ってローズを見つめるいつものカイル様がいた。
「あの顔をするのはローズ様の前だけですからね」
「そうなのですか!?」
「いつもローズ様といるハルジオン様には信じられないかもしれませんね…」
クスクスと笑うと
「スチュアートさんまで私を様なんて呼ばないで下さい…」
「いえ、時期当主の婚約者候補ですからね…私から見ればお仕えする方になりますから」
スチュアートさんが笑うと
「ほら、ハルジオンもスチュアートさんもクレアさんも早く座って一緒に食べましょう!お腹空きすぎてもうダメです!」
ローズがお腹をさする姿に二人は苦笑して席につく。
「全く…使用人と食事をする貴族などいませんよ」
クレアさんが呆れながらもいつものように席に着くと
「よそはよそうちはうちです」
ローズはみんなが席に着くのを嬉しそうに見つめた。
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