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ローズ達は荷物も積んでいよいよ王都を発つ為に馬車に乗り込んだ。
チャートとスチュアートは単身馬に乗り馬車の護衛と誘導をする。
「じゃあ行こうか…」
御者が鞭で馬を動かそうとすると…
「ローズ!」
キャシーがロイと共に見送りに来た!
「もう!勝手出てって!なんで起こしてくれなかったの!」
キャシーには珍しく大きな声で怒っていた。
「ごめん!あんまり気持ちよさそうに寝てたから!でも最後じゃないもの…キャシーまたね!」
ローズは馬車から身を乗り出してキャシーに手を振ると…
「ロイ王子!ありがとうございました!キャシーを幸せにしてくださいね!」
「言われなくてもそうするつもりだ」
ロイが手をあげる!
ローズは二人を見つめると…そのまわりに誰かいないかと探した。
しかしいるのはキャシーのメイドやロイ王子の護衛の兵士達だけ…みんなも手を振ってくれるのでローズはそれに答えて手を振り返した。
「見送りに…来るわけないか…」
ローズは何を馬鹿な期待を…と自分を責める。
自分が付け放し振った癖に…自分の事ながら呆れた。
ストン…と椅子に座り込むとクレアさんが心配そうに声をかけてきた。
「ローズ様…大丈夫ですか?」
「大丈夫です!久しぶりにタウンゼントに帰れて嬉しいです」
当たり前の様に付いてきた隣に座るバルトを撫でると
「そんな泣きそうなツラして嬉しいもないだろ…」
ボソッと呟いた…
「行っちゃいましたね…」
キャシーが寂しそうにローズの乗った馬車を見つめるとロイはその手をそっと掴んだ。
「そうだな…」
「ロイ王子なんて親友も行ってしまいましたね…寂しくないですか?」
「うーん…まぁ寂しいけどそれよりも嬉しい方が強いかな。それに今は君がそばにいてくれるだろ?」
ロイはキャシーの手を掴んだままその手を口に近づける。
「しばらくはそばにいてくれるか?」
じっとキャシーを見つめると…
「あなたがそう望むなら…」
キャシーは嬉しそうに頬を染めた。
ローズ達の馬車は順調にタウンゼントへと歩みを進めていた…ローズもボーッとその流れる景色を眺めていると
「待ってくれー!」
馬車を追いかけてくる人にチャートとスチュアートはやっとかとため息をついて振り返った。
「すみません!止まって下さい!」
そこにはカイルが馬に乗って追いかけてきた。
ローズはその声に慌てて馬車を止めさせた!
馬車が止まりローズは馬車から飛び出すと…
「カイル…様?」
そこにはいつもの近衛兵の制服ではなく、庶民の様な服装のカイルが馬から降りて立っていた。
「何かようかな?」
チャートはカイルに馬の上から冷たい視線を送ると…
「ローズと…お嬢様と少し話をさせて貰えませんか?」
カイルはチャートに頼みこんだ。
「うちの娘は王都にもう思い残す事は無いと言っていた…君の事も同様だろう」
チャートな突き放すと無視して馬を進めようとする。
「お父さん!」
ローズが思わず声をかけると…
「なんだいローズ?彼に何か話でもあるのかい?もういいって言ってなかったかな?」
そう言って笑うと…
「少しだけ…話をしてもいいかな?ここまで来てくれて追い返せないよ」
「好きにしなさい。私達は少し先で待ってるよ」
チャートはローズに笑いかけると、カイルをみる。
「娘を泣かせたらわかってるな」
「はい!」
カイルは感謝しますと頭を下げた。
スチュアートさんはおかしそうに笑うとチャートと共に馬車の方へと向かう。
「あんな意地悪をしなくても良かったのでは?」
スチュアートがチャートに話しかけると
「ローズの事だ…あそこで私が甘い事を言えばきっと反発して話すことなんて無いとか言い出すと思ってな…やはり娘の寂しそうな顔は見たくないが…くっ…どっちにしても寂しいもんだ…」
チャートは向かい合う二人を振り返って見つめるとガクッと肩を落とした…
スチュアートはチャートの肩を叩き励ましながら先へと馬を動かした。
チャートとスチュアートは単身馬に乗り馬車の護衛と誘導をする。
「じゃあ行こうか…」
御者が鞭で馬を動かそうとすると…
「ローズ!」
キャシーがロイと共に見送りに来た!
「もう!勝手出てって!なんで起こしてくれなかったの!」
キャシーには珍しく大きな声で怒っていた。
「ごめん!あんまり気持ちよさそうに寝てたから!でも最後じゃないもの…キャシーまたね!」
ローズは馬車から身を乗り出してキャシーに手を振ると…
「ロイ王子!ありがとうございました!キャシーを幸せにしてくださいね!」
「言われなくてもそうするつもりだ」
ロイが手をあげる!
ローズは二人を見つめると…そのまわりに誰かいないかと探した。
しかしいるのはキャシーのメイドやロイ王子の護衛の兵士達だけ…みんなも手を振ってくれるのでローズはそれに答えて手を振り返した。
「見送りに…来るわけないか…」
ローズは何を馬鹿な期待を…と自分を責める。
自分が付け放し振った癖に…自分の事ながら呆れた。
ストン…と椅子に座り込むとクレアさんが心配そうに声をかけてきた。
「ローズ様…大丈夫ですか?」
「大丈夫です!久しぶりにタウンゼントに帰れて嬉しいです」
当たり前の様に付いてきた隣に座るバルトを撫でると
「そんな泣きそうなツラして嬉しいもないだろ…」
ボソッと呟いた…
「行っちゃいましたね…」
キャシーが寂しそうにローズの乗った馬車を見つめるとロイはその手をそっと掴んだ。
「そうだな…」
「ロイ王子なんて親友も行ってしまいましたね…寂しくないですか?」
「うーん…まぁ寂しいけどそれよりも嬉しい方が強いかな。それに今は君がそばにいてくれるだろ?」
ロイはキャシーの手を掴んだままその手を口に近づける。
「しばらくはそばにいてくれるか?」
じっとキャシーを見つめると…
「あなたがそう望むなら…」
キャシーは嬉しそうに頬を染めた。
ローズ達の馬車は順調にタウンゼントへと歩みを進めていた…ローズもボーッとその流れる景色を眺めていると
「待ってくれー!」
馬車を追いかけてくる人にチャートとスチュアートはやっとかとため息をついて振り返った。
「すみません!止まって下さい!」
そこにはカイルが馬に乗って追いかけてきた。
ローズはその声に慌てて馬車を止めさせた!
馬車が止まりローズは馬車から飛び出すと…
「カイル…様?」
そこにはいつもの近衛兵の制服ではなく、庶民の様な服装のカイルが馬から降りて立っていた。
「何かようかな?」
チャートはカイルに馬の上から冷たい視線を送ると…
「ローズと…お嬢様と少し話をさせて貰えませんか?」
カイルはチャートに頼みこんだ。
「うちの娘は王都にもう思い残す事は無いと言っていた…君の事も同様だろう」
チャートな突き放すと無視して馬を進めようとする。
「お父さん!」
ローズが思わず声をかけると…
「なんだいローズ?彼に何か話でもあるのかい?もういいって言ってなかったかな?」
そう言って笑うと…
「少しだけ…話をしてもいいかな?ここまで来てくれて追い返せないよ」
「好きにしなさい。私達は少し先で待ってるよ」
チャートはローズに笑いかけると、カイルをみる。
「娘を泣かせたらわかってるな」
「はい!」
カイルは感謝しますと頭を下げた。
スチュアートさんはおかしそうに笑うとチャートと共に馬車の方へと向かう。
「あんな意地悪をしなくても良かったのでは?」
スチュアートがチャートに話しかけると
「ローズの事だ…あそこで私が甘い事を言えばきっと反発して話すことなんて無いとか言い出すと思ってな…やはり娘の寂しそうな顔は見たくないが…くっ…どっちにしても寂しいもんだ…」
チャートは向かい合う二人を振り返って見つめるとガクッと肩を落とした…
スチュアートはチャートの肩を叩き励ましながら先へと馬を動かした。
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