貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

文字の大きさ
上 下
230 / 318
連載

291.最後の挨拶

しおりを挟む
「ロイ王子!」

ローズがロイの姿に席を立つと…

「やぁ」

ロイが二人に笑いかけた。

「この度のことキャシー様から聞きました。おめでとうございます」

ロイに笑いかけると

「ありがとう」

ロイが頷く。

「キャシーを…私の大切な友人を幸せにしてください…では私は失礼します」

ローズが二人にしてあげようと部屋を出ようとすると…

「俺はローズと話がしたくて来たんだ」

「私と?」

ローズが怪訝な顔をしてロイとキャシーを見ると…

「そうだ…私ローズに渡すものがあった!ちょっと用意してくるからここで待ってて…」

キャシーはそういうとメイド達を連れて部屋を出ていった。

「キャシー…」

ローズはキャシーが出ていった扉を見つめる。

「本当に何処までも気が利く子だよな」

ロイが苦笑する。

「はい…それにとっても優しくて暖かい方です」

「そうだな」

ロイが同意すると

「ローズは明日王都を発つんだよな?」

ロイが口調を砕いてローズに話しかける。

「はい、契約も終了しましたし。候補者決めもキャシーに決まりました。私がここにいる理由もありませんから…それにタウンゼントでみんなが待ってますからね」

ローズが笑うと

「カイルは?」

「カイル様とも…お別れをしました。もうお会いすることもないかと…そもそも私がロイ王子やカイル様と知り合えた事がありえないことだったんです」

「なんだそれ?ローズらしくもない」

ロイは鼻で笑うと

「ローズがそんな事気にするとは思えなかったけどなぁ…王都に居すぎてそこら辺の令嬢と同じになったのか?」

ロイが馬鹿にするように笑うと

「それ…どういう意味ですか?」

ローズがちらっとロイを見つめる。

「いや別に…前のローズならそんな事気にせずに好きなものは好き嫌いなものは嫌い!ってはっきり言いそうだと思ってなぁ」

「……」

ロイの言葉にローズが黙り込むと

「あれ?図星?」

ロイがニヤリと笑う。

「まぁそんなローズならカイルもあっさりと諦められるかもな。女性も苦手じゃ無くなったみたいだし、今頃他の奴らと婚約者でも見つけに行ってるかもな~」

「カイル様はそんな事…しません…」

ローズがぼそと呟くがロイは無視してさらに話し出す。

「あのルックスだし狙ってた令嬢は沢山いるからなぁ~今頃屋敷に両手で抱えきれない程の見合い写真が届いてるかもしれないなぁ」

ロイがきっとそうだと頷くと

バキッ!

ローズの持っていたカップにヒビが入った…

「怖っ…」

ロイがカップを見て引くと…

「壊れて…いたみたい」

そっとカップをおくと

「そんな訳あるか!そんなに怒るほどカイルが好きなのになんで振ったりしたんだよ!」

ロイがつっこむと

「だって私じゃカイル様を幸せにしてあげられない!私にはなんにもないんだもん!」

ローズは王子ということも忘れてロイを睨みつけた。
しおりを挟む
感想 1,399

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】結婚初夜。離縁されたらおしまいなのに、夫が来る前に寝落ちしてしまいました

Kei.S
恋愛
結婚で王宮から逃げ出すことに成功した第五王女のシーラ。もし離縁されたら腹違いのお姉様たちに虐げられる生活に逆戻り……な状況で、夫が来る前にうっかり寝落ちしてしまった結婚初夜のお話

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。