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274.検証

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カイルはローズに目を逸らされてハッとするが…先程の行動はやはり納得出来ずにカイルもサッと視線をそらす。

喧嘩するローズとカイルをじっと見つめているスミスは二人を交互に見ると…

「なんでお互いが心配をしながら怒っているんだい?」

二人の喧嘩の意味がわからずに首を傾げる。

「そ、それは…ローズが心配をかけるから…」

「だから謝ったじゃないですか、それに私の事でそんなに怒る意味が分からない!」

ローズがカイルを見つめると

「そりゃカイルくんが君を好きだからじゃないの?」

スミスがあっさりと答えると…

「好き…?」

ローズが眉を顰めた…そしてカイルを見るとその頬は赤く染まっている。

ローズと目が合うとサッと目を逸らした…

「あれ…私…なんか前にも…」

ローズが胸を押さえるとドキドキと鼓動が早くなる。

「スミス!」

ロイがスミスを引っ張ると

「お前は余計な事を言うな!話は大樹の実の事だけに集中しろ!」

「えーなんでですか?そっちも気になるのにー」

スミスが不貞腐れると

ガラッ!

レイン陛下が従者や大臣達を引き連れ現れた。

「待たせたかな?」

中の様子を伺うと

「はい!じゃあすぐに検証しましょう!」

スミスが果実にまっしぐらに駆け寄った!

ローズは複雑な気持ちのまま椅子に座らされると

「ローズ嬢、怪我の具合はどうかな?」

レイン陛下が話しかけてきた。

「えっ…あっ!はい!大丈夫です!」

「ローズ…大丈夫じゃないから実を食うんだろ」

チャートが心配して顔を覗き込むと

「へ、平気よ!なんでもないわ…」

深く息を吸って呼吸を整えると…

「うん、大丈夫です」

落ち着きを取り戻した。

とりあえず今は果実の事に集中しよう…

ローズはレイン陛下を見ると

「ではこれより我ら立ち会いの下検証を始める、ローズは何かあれば些細なことでもすぐに言うこと…」

ローズはこくっと頷くと

「では他のもの達は少し離れて…スミス頼むぞ」

「はい、はーい!じゃあローズさんこの実を食べて下さい」

従者が切ってくれた果実を差し出されてローズは受け取るとみんなに見つめられ居心地悪い中…えいっと口に放り込んだ!

甘い香りが口いっぱいに広がる!噛む事に果汁が溢れ口の中に幸せが訪れる。

「うーん…美味しい…」

ローズは美味しさにうっとりとすると

「足は!?」

スミスはローズの足に集中する…じっと顔を近づけてローズの足を凝視していると…

「あんなに近づいて…」

カイルがソワソワとしだす…スミスの手がローズの足を触ろうとすると…

「くっ!」

スミスを睨みつけた。

「何か感じるかい?」

そんな視線をちっとも気にせずにスミスはローズの足に集中する。

「あっ…なんだが足が熱くなってきました…熱いと言うよりは…ポカポカ?」

自分の足を見ると…

「熱か…他には?」

「はい…痛みが引いていくような気がします…」

ローズの言葉にスミスはダンテ先生を呼ぶと

「怪我の様子を見てくれ」

ダンテは頷くとローズの足を掴んだ。

「これはどうだい?」

ローズの足を少し捻ってダンテが聞くと

「大丈夫です」

ローズの顔を見るが決して我慢をしているようには見えなかった。

「さっきはこれで痛いって言っていたが…確かに腫れが引いてるな…」

「凄い…こんなに即効性があるなんて…この果汁だけでも違うのかな…」

スミスは余った果実の果汁をひと舐めすると

「うん…本当に美味しいなぁ…それに体が確かに熱い…なんだこの感じ、まるで怪我してる場所を探しているようだ…」

スミスは自分の中を駆け巡る熱を感じた。
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