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264.魔獣

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「怪しいな…」

チャートはこちらに向かおうとするロイ王子とカイルを睨むと

「すみませんがずっとここにいる訳には行きませんなぁ…ローズの具合もありますし先に進んでいますので追いついて下さい」

チャートはそう言って微笑むとくるっと馬の向きを変えた。

「「えっ…」」

ロイとカイルは唖然とすると

「では」

ローズとチャートの姿が消えた。

「カイル!急ぐぞ!」

「ああ!」

二人はすぐに馬に跨ると腹を蹴ってかけ出す!

「お、王子!」

警護に着いてきていた兵士達がロイ王子に声をかけると

「先に行く!お前らはあとからこい!」

ロイは声をかけるとローズ達の後を追った!


「お、お父さん…早くない!」

ローズは行きよりも早い馬の速度に父親の服にしがみつく。

しっかりと片腕で支えて貰っているが足に力が入らない今はこの速度は少し怖かった…

クンクン…

「あれ?この匂い…」

ローズは嗅いだことのある甘い匂いに気がついた。

「バルト!」

声をかけるとバルトも気がついたのか目がある場所を見ていた。

「お父さん止まって!」

ローズが大声を出すと

「なんだ!あいつらが追いついたのか!?」

チャートは剣に手をかけた。

「あいつらって誰よ、違うのほら私達が見つけた実の話があったでしょ!あの果実の匂いがする!」

「ああ、また実がなったようだ…あの実があればローズの怪我もすぐに治るんじゃ…」

バルトが言うと

「なんだと…よし!取りに行こう。どっちだローズ!バルトくん!」

チャートが聞くとローズとバルトは匂いの強い方を指さした。

チャートは馬の向きを変えてまた森の中を突き進むと…大きな大樹が見えてきた。

「あれよ!」

ローズが大樹を指さすと

「ん?なんか兵士達が集まってるな…」

大樹を警備していた兵士達が何やら揉めているのか集まって大声を出している。

「やばい…匂いにつられてあいつが出てきてる…」

バルトは兵士達と揉めてる物に顔を顰めた…

「あいつ?バルトの知り合い?」

ローズが聞くと

「知り合いなわけあるか!ありゃ魔獣だ!」

「じゃあバルトと同じじゃない」

「一緒にするな!あいつは脳ミソまで筋肉のただ本能のままに暴れ回る奴だ。同じ魔獣だからと言ってもあいつからしたら俺達魔獣なんてただの餌だ」

「えっ!魔獣同士なのに食べるの?」

「あいつからしたら動物も人間も魔獣も同じだ…食い物として見てるんだろ」

「じゃあ兵士達も危ないんじゃ…」

ローズが心配すると…

「ぎゃあああ!」

「こいつ強いぞ!一旦離れろ!」

兵士達が苦戦する声が聞こえる。

「しかしこのままでは、大樹を登ってしまいます!あんな巨体が登ったら…」

兵士達はどうにか魔獣を大樹に近寄らせないように剣を構えた。
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