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262.見送り

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チャートは馬に乗るとスチュアートさんがローズを抱き上げて馬の上のチャートに渡す。

ローズをしっかりと前で抱き支えると

「では、行ってきます」

「スチュアートさん、馬を貸していただきありがとうございます」

ローズがお礼を言うと

「待て!俺も行く!」

バルトがスチュアートさんの肩を足蹴にひょいとローズの膝に飛び乗った。

「バルト!」

いきなり飛んで来たバルトを慌てて抱きしめると

「森を通るなら俺もいた方がいいだろ」

「おお、これが話題のカーバンクルか?本当に美しい毛並みだな」

チャートがマジマジとバルトを見つめると、バルトは怯えるようにローズの腕に隠れた。

「どうしたの?」

ローズがバルトを撫でると

「よくそんな強そうなやつと一緒にいれるな…」

バルトはボソッと呟いた。

チャートはスチュアートさんに声をかけると馬を走らせた!

二人を乗せた馬は颯爽と森の中を駆けていく!

「さすがスチュアートさんの馬だな!馬力が違う!」

チャートが楽しそうにスピードをあげると

「お父さん!馬さんがバテちゃうよ!」

ローズはトントンと馬の首を撫でると

「お父さんに合わせなくていいからね、自分のペースでお願いね」

優しく鬣を撫で付けた。

馬は気持ちよさそうに鳴くがスピードを落とすことなく山を登った。

「ローズそろそろ着くぞ」

チャートがようやくスピードを落とした。

目の前に崖が見えると馬の上から下の道を眺める。

「お!見ろあそこにいるのが王子達じゃないか?」

下の林道をガブリエル達隣国の兵士達がゾロゾロと歩いている。

ガブリエルは馬に乗っており、隣にはロイ王子とカイルもいた。

「ガブリエル様~!」

ローズが大声を出すと、兵士達が何事かと剣を構えた。

ガブリエルやロイ達も剣に手にすると…

「あっ…ローズ…」

カイルが崖上で手を振っているローズに気がついた。

「よかった…元気そうだな」

カイルがローズの姿にほっとするが…

「なんでここに?」

見るとチャート様がローズを抱き上げている。

「ガブリエル様!お見送り出来なくてすみませんでした!この度はありがとうございました」

手を振ると

「ローズ…令嬢が大声で…」

ロイが顔を覆うと

「クックック…やっぱりローズって面白いな。次はもう少し話をしてみたいものだ」

「「次は無い!」」

ロイとカイルが同時に叫んだ。

「ローズ!見送りありがとう!今度是非お父上と俺の国に遊びに来てくれ!歓迎するぞ!」

ガブリエルはロイ達を無視してローズに大声で返事を返した。

ローズからは笑顔で手を振り返さる。

「あれは…了承ととっていいかな」

勝ち誇ったようにガブリエルはロイ達に笑顔を向けると、ロイ達は悔しそうに顔を顰めた。

「ローズが俺の国に来てくれたら…ローズが見た事も無いような宝石やドレスの店に連れてて、夜は毎日舞踏会をローズの為に開催するぞ」

ガブリエルの話にロイとカイルは顔を見合わせると吹き出した!

「ぶっ!まじかよ!なら安心だな」

「ですね、ああガブリエル様が普通の王子でよかった」

ロイとカイルは安心して笑っていると…

「ガブリエル様すみません!領土の仕事が忙しいので行けません!じゃあ道中お気をつけて!あっ!ついでにタウンゼントで町のみんなにあったら元気だって伝えて下さいねー」

ローズからの返事にガブリエルは馬から落ちそうになった。
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