上 下
188 / 318
連載

249.チャート

しおりを挟む
ラーラ王妃の話を聞いていると廊下が騒がしくなった…

兵士達が慌てて姿勢を正すと扉が開き、噂のチャートが口を塞がれたマデリンを掴み引きずりながら姿をあらわした。

チャートはレインとラーラを見つけると懐かしそうに笑った。

「国王陛下、王妃様ご無沙汰しております…」

マデリンを兵士に預けると二人の前にいき手を胸に当てて頭を下げた。

「久しぶりだなぁ…クラウディアが亡くなった時に会った以来だな…」

レインも懐かしそうに笑いかける。

「久しぶりねチャートくん」

「ラーラ王妃様…くんって…もう俺は二人の子供がいるおじさんですよ…」

「私にとってはあなた達はずっとそうなのよ…」

ラーラは今は居ない隣に居るべきもう一人を思って寂しそうに笑った。

「そうそう、あれはここに来る途中でこの国から逃亡しようとしてた輩です、門番に渡したら一緒にここに連れて行って欲しいと…俺はローズとクリスの様子を見に来ただけなんだけどなぁ…」

チラッと後ろを見るとまさにその二人がいた。

「あれ!ローズ!クリス!なんでここに?え…まさか何か話してないですよね…」

チャートはレインとラーラの顔を見ると

「俺は話してないぞ!」

レインが首を振る。

「俺は?」

「私は少し話したわ!だって…ローズさんがあまりにもクラウディアに似てて…それにあなたの事を少し話したらみんなが聞きたがったんだもん」

「だもんじゃないですよ!全く昔っからラーラは…」

チャートは額を抑える。

「レインも奥さんの事ちゃんと見とけよ…」

ボソッとつぶやくと

「お前に言われたくないわ!クラウディアの尻に敷かれまくってただろうが!」

ローズとクリスは国王陛下と王妃と仲良さげに話す父親に唖然とする。

そんな二人にチャートは近づくと…

「ローズ!クリス!久しぶりだな!元気だったか?」

二人にガッシリと抱きついた!

「わっ!お父さん!ちょっと!」

「やめてよ!恥ずかしい!」

ローズとクリスが慌てて離れようとする。

「ん?あれ?お父さんなんか臭いです…まさかの!私が居ないのをいい事に洗濯サボってましたか!?」

ローズが父親を見つめると…

「あっ…いや…ちょっとだけだよ…ほんの二日ぐらい…」

チャートがローズから目をそらした。

「もう!だから私がいないと…!」

ローズが怒って立ち上がろうとして足に体重をかけてしまう…

「痛っ…」

顔を顰める椅子に座り込むローズを見てチャートの雰囲気が変わった…

「ローズ、どうした…その足…だから椅子に座っていたのか…」

スカートで隠れていた怪我をした足を見つめる。

「チャート様お久しぶりです。この度は私共の不注意で御息女ローズ様を怪我させてしまい…なんとお詫び申し上げれば…」

後ろで気配を消して控えていたスチュアートさんが頭を下げる。

「ローズが怪我…えっ!あなたスチュアートさんですか!?  何故ローズと?  なんなんだ!ローズ、クリスわかるように説明してくれ!」

チャートはあまりの情報量に頭を抱えた。
しおりを挟む
感想 1,399

あなたにおすすめの小説

収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです 無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す! 無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

継母の心得 〜 番外編 〜

トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。 【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】

卒業パーティーで魅了されている連中がいたから、助けてやった。えっ、どうやって?帝国真拳奥義を使ってな

しげむろ ゆうき
恋愛
 卒業パーティーに呼ばれた俺はピンク頭に魅了された連中に気づく  しかも、魅了された連中は令嬢に向かって婚約破棄をするだの色々と暴言を吐いたのだ  おそらく本意ではないのだろうと思った俺はそいつらを助けることにしたのだ

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。