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234.カイルのターン

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「へっ…え?」

戸惑うローズをロイは笑ってカイルに手渡す…

ローズは気がつくとカイルの腕の中にいた。

「あ、あれ?」

ローズがカイルを見ると、ニコッと微笑む。

「よかった…本当によかった…」

カイルの安堵する声に

「うん、助けに来てくれてありがとう…」

ローズはお礼を言うと

「でも…その服のそれをやった奴の顔は覚えるか?」

カイルが聞くと

「ああ、それならあの部屋で伸びてた大男とボストンだよ。あいつら本当にキモイよな」

ガブリエルが答えるとローズが微かに震える。

「すまん…やはりしばらくは男は嫌だよな…」

カイルが少しローズとの間にすき間を開けると

「いえ…あの人達に触られた時は本当に嫌でしたけど…スチュアートさんやロイ王子やカイル様は……全然大丈夫なんです」

ローズが恥ずかしそうに答えると

「ローズ…」

カイルはギュッとローズとの間を埋めるように抱き寄せてその瞳を見つめていると…

「おい!」

ロイに頭を叩かれる。

「お前今何しようとしてた!」

「す、すまん…ついローズが凄いことを言うもんだから…」

カイルが謝るとローズは首を傾げる。

「凄い事…?ああ…本当にあの人達に足とか体を撫でられた時は鳥肌がたちました…剣さえあればあんな奴ら…次は切り刻んでやります!」

ローズが思い出し憤怒すると

「次は絶対にないから大丈夫だ…あいつらは二度とローズの前に出れない様にしておくからな…」

カイルはどうにか笑うがローズを抱く腕に思わず力が入る。

「そうですか…それなら、まぁよかった…です」

ローズのほっとする様子にやはり怖かったのだろうとカイルは優しく抱きしめると…

「大丈夫、ローズは強いからね…今度素手で倒す技を教えるよ」

「それは心強いです!お願いしますカイル様」

ローズはカイルの気遣いに笑うとカイルの笑顔をじっと見つめる。

何?とカイルはローズを見ると

「カイル様は本当によく笑いますよね…誰が笑わないなんて言ってましたが…やはり嘘ですね。カイル様の笑顔素敵ですから嫉妬したのかな?」

きっとそうだな、と一人納得しているローズに

「笑うのは…ローズの前だけだよ。それとさっきの気持ちも本当だ…何時でもローズを待ってるよ」

「えっ?」

驚くローズの頭にカイルはそっとキスをした…

「へ…」

二人からの攻撃に固まったローズは…

「あーあ、可哀想に…」

ガブリエルは苦笑すると

「どれ?じゃあ今度は俺が運ぼうか?」

ガブリエルが手を出すと

「なんでガブリエルさんが?それならまた俺が運ぼうか?」

ロイが手を差し出すと

「いえ、まだ全然大丈夫ですから。ローズなら一生抱いていられます」

カイルは渡さないとローズを自分の胸に引き寄せて隠すと…

「ローズ?」

反応のないローズに三人が顔を覗き込んだ…

そこにはキャパオーバーになって気を失ったローズが顔を赤くして湯だっていた…

「あはは!なんなのこの子、凄い面白いんだけど」

ガブリエルがローズの様子を見て笑うと

「面白くない!可愛いだろうが!」

「そうだ!こんな顔でも愛しくてしょうがない…」

カイルはうっとりとローズを見つめると

「だがこんな事があったらこの子もこの国に居ずらくなるだろうね…もし大変ならうちの国で引き取るよ」

ガブリエルが笑って言うと

「「結構だ!」」

ロイとカイルは絶対に渡すものかとローズを隠した。
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