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233.ロイのターン

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「よかった…」

「本当によかった…ローズが傷ついていなくて」

二人の心底ほっとする声にローズはそっと顔を上げて様子を見る、
ロイとカイルは決してふざけている様子ではなくう嬉しそうにお互いに頷きあい微笑んでいた。

「ですからお二人共責任を取っていただく必要はございませんから…」

ローズは顔をちらっと覗かせて二人を見ると、またサッと顔を隠した。

「あっ…」

「あれはずるい…」

ローズの恥じらう顔にロイとカイルは頬を染めて顔を逸らした。

「ですが傷があるのも確かですから急いでダンテ先生のところに行きましょう…このままお連れしますね」

スチュアートさんが歩き出すと

「スチュアート…お前も疲れただろ?変わるよ」

ロイが笑ってスチュアートに寄越せと手を差し出すと…

「そうですね…ではローズ様少しロイ様に運んでいただきましょうか?」

「えっ?な、なんで…あっでもそうですよね…スチュアートさんにずっと抱っこされてる訳にも…私…支えていただければ歩きますけど…」

ローズが立ち上がろうとすると

「「駄目だ!」」

「それは許可できませんね。ローズ様が歩くと言うなら私この足を切ってローズ様に捧げますが?」

スチュアートさんがにっこりと笑う…その顔は笑っているが本気でやりそうにローズは感じた。

「す、すみません…ロイ王子よろしくお願いいたします」

ローズは諦めてペコッと頭を下げた。

スチュアートさんは優しくローズをロイ王子の腕に渡すと…ロイはローズをギュッと抱きしめた…

「ロ、ロイ王子…もう少し力を抜いて頂いて大丈夫です…」

ローズはロイ王子の体にピッタリとくっつけられて頬を染めていると

「あっ、すまん。落としたら大変だと思って…」

「て言うか王子…こんな所来て大丈夫だったんですか?本来なら守られる立場ですよね?」

ローズが回りを確認しながら聞く。

「ローズが俺のせいで大変な時にじっとなんてしていられなかったからな…カイル達には戻れと言われたが他の部下に命令して甲冑を着て兜被って誤魔化して探してた」

ロイ王子が得意げに言うと

「あの変装すぐにバレていましたよ」

カイルが横から口を挟む。

「えっ!?嘘まじ?」

「あんなところに兜被って来る兵士なんていませんからね…それに歩き方と後ろ姿ですぐにわかりました」

カイルがため息をつくと

「マジか…絶対バレてないと思ったのに…」

ロイがガックリしていると

クスクス…

ローズが可笑しそうに笑っている。

「なんだよ、ローズまで酷いな」

そうは言いながらもロイはローズの笑顔を嬉しそうに見つめた。

途中まで来ると…

「ロイ様、そろそろ変わりますよ」

カイルが堪らずに声をかけてきた。

「いや、ローズは軽いから全然大丈夫だ。このまま王宮まで行けるぞ。なんなら遠回りしてもいいくらいだ」

「ロイ…」

カイルはロイを睨みつけると

「はいはい、わかったよ。ローズ…さっき言った言葉は嘘じゃないからな…本気で考えておいてくれ」

ロイはローズの耳元でそっとつぶやくと

「ごめん…」

離れる際にそっと頬にキスをした。
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