170 / 318
連載
229.自責の念
しおりを挟む
スチュアートはとりあえず外に連れ出すと適当な場所を見つけてローズを座らせた…
「ローズ様…大変申し訳ございませんでした。やはりあそこでローズ様から離れるべきではありませんでした」
スチュアートはローズの足元に膝を付いて頭を垂れた。
「ローズ様にこのような思いをさせて…」
ワナワナと両手を握りしめて震える…いつものスチュアートさんからは想像も出来ない事だった。
ローズはその手をそっと上から包み込むと
「ええ、凄く恐ろしくて…私、初めて男の人を怖いと思いました…」
ローズの言葉にスチュアートは顔を上げられずにその手を見つめる。
どんな言葉をかけられようともそれを受け入れようと思っていると
「でも、もう諦めようかと思ってた時にスチュアートさんやロイ王子やカイル様が駆けつけてくださいました…あの時三人が白馬に乗った王子様のように感じました…あっ、もちろんバルトもよ」
スチュアートはローズの顔を見上げた…その顔は慈愛に満ちており、自分の事を露ほども恨んではいなかった…
「スチュアートさんありがとうございます。スチュアートさんはちゃんと私をいつも守ってくれましたよ。だからそんな顔しないでください」
スチュアートは恐る恐るローズの赤く腫れた頬にそっと触れた。
「ローズ様…ありがとうございます」
スチュアートはローズの優しい心に感謝すると微笑んでお礼を言った。
「先程のお言葉、是非ロイ様やカイル様に聞かせてあげてくださいね」
「えっ…そ、それは…」
ローズが気まずそうに顔を逸らすと
「どうされましたか?」
「い、いえ…なんか二人とも、かっこよくて…そんな事言えそうにありません…」
ローズが頬を染めると
「そこはローズ様の思う通りで大丈夫ですよ」
スチュアートは微笑ましくローズを見つめていると…
「いたっ…」
動かした足に痛みが走った。
「ローズ…見せてみろ、外傷なら魔法で多少なら回復してやれる」
バルトがローズの顔を労わるように舐めると
「ありがとう、一番痛いのは…やっぱり足かな?」
ローズが足を見せると…
ザワッ…
ローズを心配そうに遠巻きに見ていた兵士達がざわついた。
「あなた達…ローズ様の足を見る暇があるなら早くそのゴミを牢屋に運びなさい」
スチュアートはローズの前に立つとボストンを見て兵士達に笑いかけた。
「は、はい!ローズ様…無事でよかったです」
「元気になったら…また剣の打ち合い…してくれますか?」
スチュアートさんに怯えながらもボロボロのローズに兵士達が伺うように声をかける。
兵士達の気遣う優しさにローズは目頭が熱くなった。
「はい…またお願いしますね」
ローズは涙を拭って笑顔を見せた。
兵士達はローズの笑顔を見れてほっとするとボストンやローズの誘拐に関わった男達を引きずりながら王宮へと向かった。
ローズはバルトに足に回復魔法をかけて貰うが傷が酷すぎて全てを治すことは出来なかった…
魔力を使ってぐったりとしているバルトを心配そうに抱いていると
「ローズ…」
「大丈夫か?」
誘拐犯達の住処を調べていたロイとカイル、そしてガブリエルが出てきた。
「ローズ様…大変申し訳ございませんでした。やはりあそこでローズ様から離れるべきではありませんでした」
スチュアートはローズの足元に膝を付いて頭を垂れた。
「ローズ様にこのような思いをさせて…」
ワナワナと両手を握りしめて震える…いつものスチュアートさんからは想像も出来ない事だった。
ローズはその手をそっと上から包み込むと
「ええ、凄く恐ろしくて…私、初めて男の人を怖いと思いました…」
ローズの言葉にスチュアートは顔を上げられずにその手を見つめる。
どんな言葉をかけられようともそれを受け入れようと思っていると
「でも、もう諦めようかと思ってた時にスチュアートさんやロイ王子やカイル様が駆けつけてくださいました…あの時三人が白馬に乗った王子様のように感じました…あっ、もちろんバルトもよ」
スチュアートはローズの顔を見上げた…その顔は慈愛に満ちており、自分の事を露ほども恨んではいなかった…
「スチュアートさんありがとうございます。スチュアートさんはちゃんと私をいつも守ってくれましたよ。だからそんな顔しないでください」
スチュアートは恐る恐るローズの赤く腫れた頬にそっと触れた。
「ローズ様…ありがとうございます」
スチュアートはローズの優しい心に感謝すると微笑んでお礼を言った。
「先程のお言葉、是非ロイ様やカイル様に聞かせてあげてくださいね」
「えっ…そ、それは…」
ローズが気まずそうに顔を逸らすと
「どうされましたか?」
「い、いえ…なんか二人とも、かっこよくて…そんな事言えそうにありません…」
ローズが頬を染めると
「そこはローズ様の思う通りで大丈夫ですよ」
スチュアートは微笑ましくローズを見つめていると…
「いたっ…」
動かした足に痛みが走った。
「ローズ…見せてみろ、外傷なら魔法で多少なら回復してやれる」
バルトがローズの顔を労わるように舐めると
「ありがとう、一番痛いのは…やっぱり足かな?」
ローズが足を見せると…
ザワッ…
ローズを心配そうに遠巻きに見ていた兵士達がざわついた。
「あなた達…ローズ様の足を見る暇があるなら早くそのゴミを牢屋に運びなさい」
スチュアートはローズの前に立つとボストンを見て兵士達に笑いかけた。
「は、はい!ローズ様…無事でよかったです」
「元気になったら…また剣の打ち合い…してくれますか?」
スチュアートさんに怯えながらもボロボロのローズに兵士達が伺うように声をかける。
兵士達の気遣う優しさにローズは目頭が熱くなった。
「はい…またお願いしますね」
ローズは涙を拭って笑顔を見せた。
兵士達はローズの笑顔を見れてほっとするとボストンやローズの誘拐に関わった男達を引きずりながら王宮へと向かった。
ローズはバルトに足に回復魔法をかけて貰うが傷が酷すぎて全てを治すことは出来なかった…
魔力を使ってぐったりとしているバルトを心配そうに抱いていると
「ローズ…」
「大丈夫か?」
誘拐犯達の住処を調べていたロイとカイル、そしてガブリエルが出てきた。
286
お気に入りに追加
8,938
あなたにおすすめの小説
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。