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228.怒り

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「遅いんだよ、君達…本当にこの娘が大事ならもっと早く来てくれよ、なぁ?」

ガブリエルはニヤッと振り返ってローズに笑いかけた。

「ガブリエルさん…王子達とお知り合いで?」

ローズが聞くと

「まぁね、じゃあ改めて挨拶を…私はガブリエル・ロンバート、隣国のロンバート国の第七王子だ」

「王子!?」

「ロンバート国の王子だと!」

ローズとボストンはわけがわからずに声をあげると、ガブリエルが二人の反応に笑った。

「ボストン、あんたの企みは国にバレてるよ。あんたがうちにこの情報を持ってきたけどうちの国はあんたと手を組むよりもこの情報を報告してクロフォード国との絆をもっと強めたいと考えたんだ」

「馬鹿な事を…私と組めばこの大樹の力を独り占め出来るものを…」

「そこもちゃんと調べたさ、でも今までずっと反応がなかった大樹の実の出現、これには何か理由があると思ってね…それでこっそりと裏で国同士連絡を取り合ってたんだ。この大樹の事が公になれば戦争になりかねない…隣国に挟まれる我が国もそれは望む事ではないからね」

ガブリエルはロイを見ると頷き合う。

「それにこの国の国境にはどうしても越えられない壁があるんだよね…」

ガブリエルが苦笑する…

「壁?そんなモノ無いはずだが…」

「タウンゼント領土を知ってるか?あの山を越えるのがこの国に入る一番の道なんだが…我が国であそこの山を越えた者はいない」

「タウンゼントだと!?」

「あれ?」

ローズはいきなり自分の名前が出てきて首を傾げる。

「あそこには魔物よりも恐ろしい門番達がいるって噂でね…そんなのを敵にはまわしたくないからね」

「お父様…達の事かしら?」

ローズはうーんと考えていると

「王子!ご無事ですか!?」

遅れて到着した兵士達が部屋になだれ込んできた…

「ま、待て!お前達部屋に入るな!」

ロイとカイルが慌てて兵士達に声をかけると

「ローズ様…」

スチュアートさんがサッとシーツでその姿を隠す。

抱きあげようとすると…

「いたっ…」

足枷がガチャと鳴った…

スチュアートはそれを見るとおもむろに足枷の鎖を手に取り…

ボキッボキッ!

片手で鎖を粉々にした…バルトとローズは口を開けてそれを見ていると、スチュアートは唖然と固まるローズを抱き上げた。

ロイとカイルはローズの乱れた姿が隠れてほっとすると…

「そこのクソ男を連れていけ!絶対に死なせるなよ…こいつには聞きたいことが山ほどあるからな!」

ロイはボストンの首元を掴むとギュッと締め上げる。

「ローズに手を出しやがって…本当はここで今すぐ殺してやりたいが…」

ロイはフーっと深呼吸して怒りを鎮めるとボストンを捨てるように投げつけた。

ガンッ!

カイルが落ちてきたそれを足蹴にすると

「グッヴォ!」

ボストンは床に足で押さえつけられる。

「逃げたら困るからな…足と腕を折っておこう」

カイルがボソッとボストンに呟くと足の膝を思いっきり踏みつけた。

ゴキッ!

「ぎゃあああ!!」

「反対側も…」

叫び声と共に骨の折れる音が鳴る。

「カイル様、気持ちは分かりますがローズ様に嫌な音を聞かせないで下さいませ」

スチュアートは顔を顰めるとローズにそっと声をかけた。

「ローズ様少し耳を塞いでおいて頂けますか?」

「えっ?あっはい…」

ローズは素直に耳を塞ぐと…

「では先に外に出ております」

スチュアートはローズを抱き上げたまま皆の間を抜けながら…

ボキッ!

ボストンの腕の上を通って扉を出て行った…
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