貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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220.怪我

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気持ち悪い視線にローズはぶるっと体が震える…

しかも倒れた際にまた足を引いてしまい、足枷の付いた足がズキズキと痛み出した。

「あーあ…」

見ると足が青く腫れ上がっている…これは下手するとヒビが入ったか最悪折れているかもしれない…

隙を見て走って逃げるのは無理かも…

ローズはため息をつくと…

トントン…

また扉をノックする音がする。

ジャラ…

足枷を引きずりどうにか逃げるか隠れようとするがそんな場所は無い、近くにあったクッションを持って待ち構えているとガブリエルが顔を出した。

「そんな顔するなよ、怪我の治療に来た」

ガブリエルは警戒するローズを見ると苦笑する。

「まぁ信じないだろうが、ここにいる間は、ローズに手出しはさせないよ」

ガブリエルはなるべく離れてローズのそばに近づくと怪我した足を確認する。

「あーあ…こりゃ酷いな、痛くないのか?」

「痛いに決まってますよね!」

ローズはぎゅっとクッションを握りつぶすと

「にしちゃ痛いって泣かないな?」

そっと腫れた足に塗れたタオルを当てると

「いっ…たいなんて泣いたって、あなた達を喜ばせるだけでしょ…絶対に泣いてなんかやるもんか…」

目を潤ませながらキッとローズがガブリエルを睨みつける。

そんなローズの反応にガブリエルは驚いた顔でローズを見つめて固まっている。

「な、なんですか?」

ガブリエルの反応にローズが不安になって声をかける。

「いや…変わった令嬢だと思っていたが…こりゃ相当だな」

「ん?それって…褒めてませんよね?」

ローズがジロっと目を細めると

「とりあえず治療が先な、少し触るが我慢しろよ。まぁ泣いてもいいけどな」

ガブリエルがニヤリと笑うとローズはムカッと歯を食いしばった!

「このくらい平気です!」

ローズはサッと足を引くと…

「うっ…」

足を押さえてうずくまる。

「ほら、無理するな。固定するだけでも違うだろ…」

ガブリエルは鍵を用意すると…

「足枷を反対の足に付け替える、もう無理すなよ」

ガチャ…鍵で外して反対側に付けるその際に足枷に布を噛ませてやる。

「あ、ありがとう」

直接足枷が触れるよりだいぶ楽になった。

「じゃあ次は足を固定するぞ、少し…いやだいぶ痛むと思うが我慢しろよ」

ローズを見ると、ローズはコクンと頷くとギュッとクッションを握る。

「お願いします…」

ローズは覚悟を決めてガブリエルを見つめた…


「ふぅ…まぁコレでどうにか足を支えられるだろ」

ガブリエルは足を固定している間一度も声を出さなかったローズを見ると、ローズは油汗を流して真っ青な顔でじっとしていた…

「お、おい。大丈夫か?」

ガブリエルは心配になって声をかけると

「だ、大丈夫…少し…ジンジンしてるけど…」

ふーっと深く息を吐く…

「お前凄いな、こんなの兵士だって叫び声をあげるぜ」

「うちの兵士達はこんな事で叫ぶほどヤワじゃ無いですよ…ガブリエルさんもこんな事は諦めて私を解放してください」

「そうは言っても、ローズがカーバンクルを逃がしちゃったろ?だからやっぱりまだ逃がす訳にはいかないよ。でも悪いようにはしないから…大人しくしてるんだ」

「えっ!」

ローズがビクッと肩を揺らすと

「気づかないわけないだろ?さっきまで守るようにそばにいたやつが隠れてるなんてわけないからな…まぁさっき開けっ放しにした時に外に飛び出したんだろ?」

ガブリエルは笑っている…ローズはガブリエルの考えがわからずに困惑するしか無かった…
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