上 下
160 / 318
連載

219.脱走

しおりを挟む
男が部屋から出ていくと…

「ローズ!あんなやつの言う事を素直に聞くなよ」

バルトが名前を教えた事を怒っている。

「うん…でもなんかあの人、悪い人じゃ無いような気がするんだよね」

ローズが男の出ていった扉を見つめると…おもむろに立ち上がり扉に近づくが…

ガチャン!

取っ手にあと少しで手が届きそうな所で足枷の鎖が邪魔をする。

「と、届かない…」

プルプルと手を伸ばすが指先が触れるか触れないかのギリギリだった。

バルトがその横をトコトコ歩くと扉に手をかける…

すると…キィーと扉が開いた!

「開いてる…」

バルトはすぐにローズの足枷をガリガリと噛むがビクともしない。

「バルト、やめて!バルトの歯が無くなっちゃう!私はいいからバルトは先に逃げて、あいつらの狙いはバルトなんだから!」

ローズはバルトを足枷から離すと扉に向かってバルトを放った!

「何をする!」

バルトはぐるっと向きを変えて着地すると

「行って!私は何とかする!バルトはみんなを…王子やカイル様にこの事を伝えて!」

「くそ…」

バルトはローズと一緒にいようかと迷っていると…誰かが近づく足音が聞こえてきた。

「早く!」

ローズが急かすと…

「待ってろよ!絶対に誰か連れてくるから!」

バルトは足音とは反対方向に駆け出した!

「うん、それでいい…」

ローズはほっと息をつくとドサッとベッドに座り込む。

その足からは血が滴り、立っているのも辛かった。

でもあそこで弱音をもらしたら絶対にバルトが逃げてくれないと思い踏ん張って我慢していた。

トントン…

軽く扉をノックする音にローズはビクッと跳ねると

「いたっ…」

足枷の付いた足を押さえる。

「大丈夫?」

そこにはガブリエルが何か食べ物を持って心配そうに立っていた。

「あれ?カーバンクルは?」

キョロキョロと姿の見えないカーバンクルを探し部屋を見回すと

「ちょ、ちょっと部屋の隅に…隠れてます」

目を泳がせながらローズが言うと

「あっそう?」

ガブリエルは気にした様子もなくローズに近づくと

「はい、少しだけど食べて」

食事を乗せたトレーをローズに渡す、そこにはスープと小さいパンと果物が一つ置いてあった。

ローズは反射的に受け取ると、ガブリエルはローズの足元にかがみ込む…

「えっ?」

ローズはしゃがんだガブリエルを見ると、ローズの怪我した足を確認していた…

「あーあ…無理したね。全くこんなの付けてるのに思いっきり引っ張ったでしょ?」

ガブリエルがローズの足をそっと触ると…

「いたーい!」

ローズが大きな声で叫び出した!

「ちょ!ちょっと!」

ガブリエルは思わずローズの口を押さえると…勢い余ってローズをベッドに押し倒す!

「なんの音だ!」

その様子に他の男達が様子を見に来ると…

「おいおい、何してるんだよ。そういうのは仕事が終わってからのお楽しみだろ…」

そうは言いながらもニヤニヤと笑って押し倒されいるローズを見下ろしている。

倒れた拍子にまくりあがったスカートからスラッとした足が顕になっていた。

男達はそっと近づくとローズの足を触ろうとすると…

バサッ!

ガブリエルが立ち上がりながらスカートを戻した。

「おい、まだ駄目だろ?」

ニコッと笑いながらもローズに近ずけさせまいと前に立つと

「自分だけ狡いぞ…こういうのはみんなで楽しむもんだろ…」

男達もガブリエルを睨みつける。

「俺は事故だよ。倒れただけだ、まだなんにもしちゃいないよ」

ガブリエルは両手をあげてアピールすると

「今はそれどころじゃないだろ?ほら、もう部屋から出よう…」

ガブリエルが男達を追い出す様に部屋から出すが、男は部屋を出る際にもう一度ベッドに座るローズを舐め回す様に見つめた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

舞台装置は壊れました。

ひづき
恋愛
公爵令嬢は予定通り婚約者から破棄を言い渡された。 婚約者の隣に平民上がりの聖女がいることも予定通り。 『お前は未来の国王と王妃を舞台に押し上げるための装置に過ぎん。それをゆめゆめ忘れるな』 全てはセイレーンの父と王妃の書いた台本の筋書き通り─── ※一部過激な単語や設定があるため、R15(保険)とさせて頂きます 2020/10/30 お気に入り登録者数50超え、ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o))) 2020/11/08 舞台装置は壊れました。の続編に当たる『不確定要素は壊れました。』を公開したので、そちらも宜しくお願いします。

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

旦那様に離婚を突きつけられて身を引きましたが妊娠していました。

ゆらゆらぎ
恋愛
ある日、平民出身である侯爵夫人カトリーナは辺境へ行って二ヶ月間会っていない夫、ランドロフから執事を通して離縁届を突きつけられる。元の身分の差を考え気持ちを残しながらも大人しく身を引いたカトリーナ。 実家に戻り、兄の隣国行きについていくことになったが隣国アスファルタ王国に向かう旅の途中、急激に体調を崩したカトリーナは医師の診察を受けることに。

年に一度の旦那様

五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして… しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…

【完結・全7話】妹などおりません。理由はご説明が必要ですか?お分かりいただけますでしょうか?

BBやっこ
恋愛
ナラライア・グスファースには、妹がいた。その存在を全否定したくなり、血の繋がりがある事が残念至極と思うくらいには嫌いになった。あの子が小さい頃は良かった。お腹が空けば泣き、おむつを変えて欲しければむずがる。あれが赤ん坊だ。その時まで可愛い子だった。 成長してからというもの。いつからあんな意味不明な人間、いやもう同じ令嬢というジャンルに入れたくない。男を誘い、お金をぶんどり。貢がせて人に罪を着せる。それがバレてもあの笑顔。もう妹というものじゃない。私の婚約者にも毒牙が…!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

縁談相手が愛しているのは私ではない別の女性

ララ
恋愛
「君のことは好きになれそうにない」 初めての顔合わせで、縁談相手は私に言う。 どうやら彼は他に想いを寄せている女性がいるみたいで……

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。