上 下
158 / 318
連載

217.捜索

しおりを挟む
「どうしました?」

カイルの様子にクリスが声をかけると

「いや…ロイがやけに大人しく言う事を聞いたと思ってな…」

「ロイ様も王子としての自覚が出てきたのかも知れません…しかし今はそれよりもローズ様とバルトさんの探索を…」

「そうだな、では俺は探索に向かってる兵士達と合流してくる…スチュアートさん、クリスをよろしくお願い致します」

「おまかせください。クリス様になにかあればローズ様に顔向けできませんから」

スチュアートはしっかりと頷き返した。

三人は別れるとカイルは庭園へと向かう…そこでは既に兵士達が森の中を隈無く捜索していた。

カイルは近くにいた兵士に声をかけると

「どうだ?何か見つかったか?」

「あっ、隊長…いえ今のところ斥候の目撃は何も…足取りは掴めません」

「そうか…実は…」

カイルはローズが行方不明になっている事を皆に伝えると…

「ローズ様が!?」

兵士達にどよめきが起きる!

「今回の斥候の事とローズ様の行方不明は何か関係があるのですか?」

「ここだけの話、そう睨んでいる…斥候を見つければローズの行方もわかるかもしれない…皆悪いがその事を頭に入れてもう少し探してくれ」

カイルが部下に頭を下げると

「やめて下さい!隊長は俺達に命令してくれればいいんですよ!」

「そうです!まぁ命令されなくても探しますけどね」

「ローズ様…今頃怯えて震えているかも…」

兵士の言葉にローズの怯える姿を想像するが…

「あれ?ローズ様がやり返す姿しか浮かばない…」

兵士の言葉に皆頷く…

「ローズ様ならきっと大丈夫ですよ!相手を戦闘不能にしないうちに見つけて差し上げないと…」

「きっと今頃、どう逃げだそうか考えているかも知れません」

兵士達はカイル隊長を気遣う。

「そうですね!やっぱりあの笑顔が見れないのは嫌です!隊長の為にも早く見つけ出しましょう!」

「お、俺の為?」

カイルが動揺すると

「カイル様の気持ちに俺達が気がついてないとでも?」

兵士達がニヤッと笑うと

「あんなあからさまな態度でいたら誰でもわかりますよ」

皆がうんうんと頷く。

「女性にニコリとも笑わない隊長がローズ様にはニコニコ微笑んでますからね…」

部下の言葉にカイルはバッと顔を隠すと

「そ、そんなにか?」

意識していなかったのか…顔が赤くなる。

「まぁ、気づいて欲しい本人が一番気がついてないですけどね…カイル隊長頑張って下さいよ、ローズ様は手強いですよ」

兵士達は苦笑してカイルの肩を叩くとキッと気合いを入れて探索に向かった!

そこに数名の兵士があらわれる…

兜を被り重装備で来ると馬から降りて一人がカイルに頭を下げて話しかける。

「スチュアートさんに言われて増援で来ました!指示をお願い致します」

「そうかありがたい。ここから南に向かってる隈無く探して行く、人が数名は隠れられる様な場所がないか特に注意してくれ」

「わかりました」

「あと必ず数名で行動しろ、決して一人で突っ走ったりしないように頼む」

「はい」

兵士達は頷くと他の兵士達の元に向かっていった…

カイルはその中の一人をじっと見つめていた…。

しおりを挟む
感想 1,399

あなたにおすすめの小説

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです 無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す! 無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私の部屋で兄と不倫相手の女が寝ていた。

ほったげな
恋愛
私が家に帰ってきたら、私の部屋のベッドで兄と不倫相手の女が寝ていた。私は不倫の証拠を見つけ、両親と兄嫁に話すと…?!

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

メイドから家庭教師にジョブチェンジ~特殊能力持ち貧乏伯爵令嬢の話~

Na20
恋愛
ローガン公爵家でメイドとして働いているイリア。今日も洗濯物を干しに行こうと歩いていると茂みからこどもの泣き声が聞こえてきた。なんだかんだでほっとけないイリアによる秘密の特訓が始まるのだった。そしてそれが公爵様にバレてメイドをクビになりそうになったが… ※恋愛要素ほぼないです。続きが書ければ恋愛要素があるはずなので恋愛ジャンルになっています。 ※設定はふんわり、ご都合主義です 小説家になろう様でも掲載しています

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。