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208.スチュアートとカイル

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「まさか…ジュリアとのデートを見られていたとかないよな?」

「えーと…」

兵士の戸惑う姿はまさに見ていたと言っているようなものだった…

「なんで一番見られたくない相手に…」

ロイはガックリと肩を落とすと

「ジュリア嬢に嘘を付いた罰かもしれませんね…」

「人に薬を盛るような人間だぞ、しかもカーバンクルの皮を欲しいあまりに王宮にハンターを放つような奴だ、それだけでも幽閉するには十分だと思うけどな…」

「ごもっともです」

兵士が苦笑する。

「それで?ローズの様子はどうだった?」

「すみません…そこまでは私はその場にと言う報告しか聞いていませんので」

「ああ、カイルが向かったんだもんな…まぁ帰ってきたら報告と一緒に聞いてみるか…」

ロイはどっと疲れが押し寄せて来ると…

「とりあえず今は休みたい…部屋に戻ろう」

ロイの言葉に兵士は苦笑する。

「はい、ローズ様から頂いたお茶をご用意させますね」

兵士の気遣いにロイは少し疲れが取れた気がした。


少し遡って、不審者を追っていたカイル達は…

「なんか様子がおかしくありませんか?」

カイルは男を追いかけながらスチュアートに話しかける。

「ええ、逃げる…と言うよりはなんだか誘導されているようなきが致します」

スチュアートが頷く。

カイル達は城下を抜けて治安の悪い町外れの方に来ていた…

コソコソと先を急いでいた男が1軒のオンボロの小屋に入ると…

「うーん…なんだか嫌な予感が致します」

スチュアートが眉を顰める。

「こんなところなのに人の気配が数人いますよね…待ち伏せでしょうか?」

「そうでしょう…私達はまんまとここに連れてこられてしまったようですね…これだから、年をとるのは嫌ですね」

スチュアートがはぁとため息をつく。

「どうしますか?一度戻って応援を呼びますか?」

カイルが伺うように聞くと

「いえ…まぁ何とかなる人数でしょう。このまま手ぶらで帰る訳にはいきませんからね、とりあえずここにいる方たちは一人残らず捕まえましょう。何かしら情報を持っている事を期待して…」

「はい」

カイルは頷くと

「私が行きましょうか?」

スチュアートがカイルに聞くと

「いえ、私からサポートの方をよろしくお願いします!」

「はい」

スチュアートは微笑んで頷く。

カイルはスチュアートと顔を合わせると小屋に飛び込んで行った!

ドカッ!

扉を蹴破って中に入ると、数人の男達が顔を隠して武器を手に待ち構えていた。

「あはは!まんまと着いてきやがった!」

男達のうっすらと見えている口元がニヤニヤと笑うと

「お前達に聞きたいことがある、大人しく捕まれば手加減してやるぞ」

カイルが剣を構えると…

「はぁ?この人数が見えねぇのか?どう見ても手加減してやるのはこっちだろうが!」

「全く顔も甘けりゃ考えも甘いのかよ!こんな優男が俺達にかなうと思ってるのか?」

男の言葉に周りにいたヤツらも笑い出す。

「相手は優男にジジイ一人だ…死なない程度に痛めつけろ!」

一人の男が叫ぶと男達は一斉に襲いかかってきた!

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