上 下
142 / 318
連載

201.怪しい影

しおりを挟む
ローズ達は路地に隠れてロイ王子達が入った宝石店を見つめる。

ロイ達が店に入った事で人も少し散ってしまった…近くには数人の固まりができているだけだった。

その中に一人怪しい男が路地に隠れるのを三人は見逃さなかった…

「あの人…男でしかも一人ですね」

ローズがチラッと視線を送るとすぐに逸らした。

「なんだかうっすらと嗅いだことない匂いが…あれ?それにこの匂い…」

ローズが振り返ると…

「こんな所で何してるんだ」

「カイル様!」

ロイの護衛としてついてきていたカイルがローズ達の後ろに回っていた…

「なんか変な気配がすると警戒して来てみたら…ローズ達か」

カイルがため息を着くと

「ここは俺がいますから、スチュアートさんはこの二人連れ帰ってくださいよ」

カイルが二人の後ろに着くスチュアートに声をかけると

「すみません…少しでもお役に立ちたいとお二人共言って下さいまして…それに今は堂々と動ける者がいませんからね…」

スチュアートさんが意味ありげに笑うと

「カイル様!それよりもあれ!」

ローズはカイルを引き寄せて路地に連れ込むと

「えっ」

カイルが驚いてローズのそばに立つ…

「あそこの角見てくださいよ!」

ローズが近づいて怪しい男がいた場所を指さすと

「ん?ああ…えっと…どこ…」

カイルがしどろもどろに答える。

「ちょっと!ちゃんと聞いてますか?」

ローズが振り返るとすぐ側にカイルの整った顔があり鼻先が触れそうになる。

「「あっ…」」

二人で固まっていると…

「姉さん!」

「カイル様!」

クリスとスチュアートさんが慌てて二人を離した!

「こんな公共の場で何してるんですか!」

「カイル様!お気を確かに!」

スチュアートがパチパチとカイルの頬を叩くと

「だ、大丈夫だ…」

カイルが汗を拭う、鍛錬でもこんなに汗をかいたことがないくらい手や顔を汗が滲む。

「すみません…カイル様。大丈夫ですか?」

調子が悪そうなカイルを心配してローズが声をかけた。

「すまない、ローズ驚かせて…もう大丈夫だから」

カイルがどうにか引きつった笑顔を浮かべると

「女性が苦手なの忘れてました…もうしわけありません」

ローズが頭を下げると

「ち、違う!ローズは悪くないんだ!いや…ローズのせいでもあるが…決してローズは悪くない!」

カイルが慌てて謝るローズの肩を掴むと上を向かせる。

「これは…ローズが近すぎて驚いただけだ…それにローズなら嫌ではない」

カイルが顔を赤くしながらそう言うとそっと目をそらす…

恥ずかしさのあまりローズを直視出来なくなっていた。

「えっ?」

ローズはカイルの言葉に目を見開き、顔を赤く染めるカイルを見つめていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。