貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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196.ジュリアとデート

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ローズからの(?)励みの言葉もあった事でロイは次の日になり、気合いを入れてジュリア嬢の待つ部屋へと向かった。

「はぁ…」

しかしいざ来ると思わず扉の前についてため息を漏らす。

そんなロイの様子に後ろでカイルが苦笑すると

「頑張れ!お前はロイ王子だろ」

ドンと気合いを入れる為背中を叩く!

「おう、そうだな俺は王子だ…よし、行くぞ」

ロイは勢いよく扉を開いた!

すると…

「ロイ王子!」

ジュリアがこちらを見てキラキラと笑いながらロイに向かってきた!

「おはよう、ジュリア嬢」

ロイはニコッとさわやかに挨拶をするとジュリアの手を取って軽くキスをする…

「まぁ…ロイ王子…」

ジュリアの頬が赤く染る。

「私今日はてっきりこのデートが中止になってしまうのではない気と気がきじゃありませんでした…」

ジュリアがしゅんとすると

「それはすまなかったね。でも大丈夫今日はお付き合いよろしく頼むよ」

ロイが微笑むと

「ええ、もちろんです!では早速行きましょう!」

ジュリアは時間が惜しいのかロイの腕を取るとすぐに部屋を出ていった。



「申し訳ございませんね…お二人をこんな事に付き合わせて…」

スチュアートさんが申し訳なさそうに眉を下げてローズとクリスを見つめる。

ロイ王子がジュリアとデートをしている頃、三人とバルトは城下を歩いていた…

「大丈夫ですよ、なーんにも予定ありませんでしたしこうやってクリスとスチュアートさんとバルトと出かけられるの嬉しいです」

ローズは隣を歩くクリスの腕を組んだ。

「姉さん!こんな所で駄目だよ…ほらちゃんと前見て歩いて!」

クリスがキョロキョロと周りを気にすると

「別に誰も見てないよ、それに今はご令嬢じゃないもん」

ローズがクリスにパチッとウインクすると

「あー!解放的!」

ローズが大きく伸びをする。

「ご令嬢じゃなくても女性はもっとお淑やかにあるべきなんじゃないの?」

クリスが姉の様子に苦笑すると

「あら、これでもここでスチュアートさんやクレアさんに揉まれてだいぶお淑やかになったんだけど」

ローズがシャンと背筋を伸ばすと、クリスがマジマジと見つめる。

「うーん…僕には今日の姉さんは変わらないように見えるかな…姉さんは普通にしてればいつでも素敵だしね」

真面目な顔で答えるクリスにローズは嬉しそうに笑った。

「もうクリスは可愛いな!」

ガバッと抱きつくと

「やっぱり変わってない!」

離れて~とローズを押しやった…

「なんだあの姉弟は…」

バルトがため息をつくと

「ほらほらお二人共、先程から目立っておりますよ。少し落ち着いてください」

スチュアートさんが幼い子を宥めるように言うと

「す、すみません」

クリスがペコッと頭を下げた。

「もう!姉さんのせいで怒られたじゃないか、真面目に探してよ」

「はい、はい」

ローズは笑うと、くんくんと鼻を動かす。

「うーん…なんか美味しそうな匂いがあっちから…こっちは…うわっ!なんか臭い!」

ローズが顔を顰めるて鼻を押さえる。

「大丈夫?」

クリスが心配そうに見ると

「ええ、今のところ変な匂いはないですね…」

「そうだね、街の人もそんな変な噂話はしてないみたいです。ただ…」

クリスがチラッとローズとスチュアートさんを見ると

「何か?」

スチュアートさんが顔を引き締める。

「あー…僕達かなり目立っているみたいです…」

気まずそうに街の人達の方を見るとサッと顔をそらされた。

「ああ、なるほど。確かにローズ様もクリス様も見目がよろしいですからね」

スチュアートさんににっこりと笑うとご年配のおばさん達の集まりからため息が漏れる…

姉さんだけじゃ無くてスチュアートさんもなんだけどなぁ…

クリスは苦笑すると…

「あの男の子素敵ね…」

「綺麗な顔、話しかけてみない?」

若い町娘達もこちらをチラチラと気にしている声が聞こえる…

スチュアートさん、あんな若い子にも人気なんだ!まぁかっこいいもんな…

クリスはチラッとスチュアートさんの横顔を盗み見ると…それに気がついてスチュアートさんから微笑まれる。

うん…男の僕から見てもかっこいいもんな!

一人納得していて、自分に向く視線に気づくことはなかった…
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