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186.王子とデート

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「おはようございます」

朝になり、クレアさんがローズを起こしに来ると…

「おはよう…ございます…」

ローズが眠そうに体を起こすと

「今日はいよいよロイ様とデートですよ。綺麗におめかしを致しませんと…」

クレアさんが忙しそうにローズをお風呂場に連れて行くと

「なんで綺麗に?いつも通りで大丈夫ですよ~」

面倒でやる気がおきないでいると

「仮にも王子様ですよ!隣に立つのですからちゃんと着飾らないといけません!」

「はい…」

いつも通りされるがままに大人しくしていると、クレアさんの魔法のように令嬢が出来上がる。

「はぁ~いつ見てもクレアさんはすごいですね…」

ローズが自分の姿を鏡で見つめると

「それはローズ様がお綺麗だからですよ、私の力だけではここまでにはなりませんよ」

クレアさんが苦笑するがローズはクレアさんの腕に感心するばかりだった。


「おはようございます。ローズ様朝食の準備が出来ておりますよ」

「スチュアートさんおはようございます!」

ローズはパッと鏡から目を離すとご機嫌にスチュアートさんに近づくと…

「うーん、いい香りです!なんのスープですか!?」

ひょいとスープの中身を覗き込むと

「「ローズ様!」」

クレアさんとスチュアートさんが同時に注意する。

「ロイ様の前でそのような事をなさいませんようにお願いしますよ」

「えっ!だ、大丈夫ですよ~」

ローズが笑うと

「そんな事をすればロイ様に笑われそうですね、後で絶対話のネタにされそうですが…」

スチュアートさんが笑うと、ローズはロイ王子に笑われる事を想像する…

(あはは!さすがローズだな!期待を裏切らないなぁ!)

馬鹿にしたように笑う想像のロイ王子にムカッとすると…

「そうですね!馬鹿なされないようにしっかりとしないと」

ローズはしゃんと背筋を伸ばした。

「でも今はとりあえず朝食に集中します!」

サッと椅子に座りまずは腹ごしらえとスープに手を伸ばした。


時間になりローズはロイ王子との待ち合わせの部屋に向かおうとすると…

「バルトはどうする、一緒に行こうか?」

ローズがおいでと手を伸ばすと

「いや、今回は遠慮してやるよ」

バルトの言葉にローズは首を傾げる。

「遠慮?誰に?」

よく意味がわかっていないローズの表情にバルトは苦笑すると

「とりあえず今回はいいんだ」

バルトが再度断ると

「では、バルトさんは私といますか?少し王宮を歩き回る予定なのでこの機会に御一緒にどうですか?」

スチュアートさんがバルトを誘う。

バルトは少し思案すると…

「それもいいかもしれんな」

頷き同意した。

「スチュアートさんといてくれるなら安心だね。バルトいい子にね」

ローズがバルトの頭を撫でると恥ずかしそうに手を避ける。

「それはこっちのセリフだ。しっかりと相手をしてこいよ」

「相手?ロイ王子の?」

「ああ、デートってのは相手を楽しませるもんだろ?人間達がそう言っていたぞ」

「そうなんだ…私デートしたことないからなぁ」

ローズが呟くと

「ローズ様…ロイ王子が初めての相手になるのですか…」

「そうなりますね!では私も楽しんで来ます」

ローズは気にした様子も無くいつも通り部屋を出ていった…

「一応…お相手はこの国の王子なんですけどね…」

クレアさんが苦笑しながらローズを見送った。
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