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180.伝わらない思い
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「ジュリア…なんだ、いきなり失礼だろう。いくら父親の部屋だからといって確認も無しに入ってはならない!」
レスターが厳しく注意すると
「別にいいじゃない…どうせ大した仕事もしてないくせに…」
ボソッと馬鹿にする様につぶやくが、聞こえていないレスター達は話を続ける。
「それで何の用だ」
スピアとクリスは大事な書類をサッと隠している間にレスターがジュリアの相手をする。
スティーブは皆といる時のだらしない顔をシャンとしてレスターのすぐ側に付いていた。
「そうそう!私お父様にお願いがあって…この度私、婚約者候補の最終審査まで残りましたのそれでお母様達からはお祝いをいただけたんです!ですからお父様からも頂きたいと思って…」
「……それで?」
レスターが呆れながらとりあえず先を聞くと
「そこのクリスをください」
「えっ」
「はっ?」
「クリス…?」
スピアとスティーブは予想もしない答えに思わず声が漏れる。
レスターも娘の言った事に聞き返すと
「ええ、クリスですそこにいる。彼を見た時から気に入っていたのです。是非とも彼を私の側近にしたくて…ねぇお父様いいでしょ?」
ジュリアが甘えるような声を出す。
「何言ってるんだ…あの人…」
クリスは顔を顰めてスピアを見つめると
「レスター様最大の汚点だよ…あの妻と娘は」
スピアが呆れる。
「僕、嫌ですよ!あんな人の下で働くの、それなら田舎に帰りますから」
ジュリアに聞こえないよにスピアに噛み付く!あんな人の下で働くなんてたまったもんじゃない!
そんなクリスの思いは知らずにレスターはジュリアに向き合うと
「クリスは確かに優秀だ…スピアの下につけてからみるみる成長している…」
「ええ、そんなに優秀なら尚更私の元に来るのが相応しいわ」
ジュリアが頷くと
「前にお前が欲しいと言ったメイドはどうした?姿が見えないが…」
レスターが急に話を変えた…
「えっ?誰の事でしょう?」
ジュリアがメイド達の顔を見るが誰が誰だかよく分からない…
「ちょっと思い出せないわ…」
うーんと考え込む振りをしていると…
「この前辞めさせたというハルジオンだよ」
レスターが名前をあげると
「そんなメイドいましたっけ?」
本当に思い出せないのか首を傾げる。
「あの娘は優秀な子だった…お前に付けてやれば少しは成長するのではないかと期待したが…」
レスターは悲しそうに首を振る…
「ええ!成長したでしょうね!そのメイドは」
ジュリアが自信満々に答えると
「はぁ…もうお前の言う事は聞けない…ジュリアお願いだ、自分の行いをよく考えてみてくれ。人の気持ちを考えられる人になってくれ…」
「何を言いたいのか分かりませんわ!クリスをくれないならもう用は無いです!」
ジュリアはキッとレスターを睨むと部屋を出ていった…
「レスター様…あそこまで言ってよろしかったのですか…」
スピアが心配そうに声をかけると
「陛下からは何も言うなと言われている…これはきっと命令違反だろうな…この事はお前達は聞かなかったことに…何かあれば罪は全部この私が負う」
スピアとスティーブは何も答えずに頭を下げた…
「クリスもすまなかったね、君はしばらくはスピアの下から動かすつもりは無いから安心して働いてくれ」
「は、はい…ありがとうございます」
クリスはレスターにお礼を言うと…
「すまない…しばらく1人で仕事をするよ、君達は戻ってくれ」
レスター様が部屋にこもってしまうとスピア達は冷めてしまったお茶を悔しそうに見つめていた…
レスターが厳しく注意すると
「別にいいじゃない…どうせ大した仕事もしてないくせに…」
ボソッと馬鹿にする様につぶやくが、聞こえていないレスター達は話を続ける。
「それで何の用だ」
スピアとクリスは大事な書類をサッと隠している間にレスターがジュリアの相手をする。
スティーブは皆といる時のだらしない顔をシャンとしてレスターのすぐ側に付いていた。
「そうそう!私お父様にお願いがあって…この度私、婚約者候補の最終審査まで残りましたのそれでお母様達からはお祝いをいただけたんです!ですからお父様からも頂きたいと思って…」
「……それで?」
レスターが呆れながらとりあえず先を聞くと
「そこのクリスをください」
「えっ」
「はっ?」
「クリス…?」
スピアとスティーブは予想もしない答えに思わず声が漏れる。
レスターも娘の言った事に聞き返すと
「ええ、クリスですそこにいる。彼を見た時から気に入っていたのです。是非とも彼を私の側近にしたくて…ねぇお父様いいでしょ?」
ジュリアが甘えるような声を出す。
「何言ってるんだ…あの人…」
クリスは顔を顰めてスピアを見つめると
「レスター様最大の汚点だよ…あの妻と娘は」
スピアが呆れる。
「僕、嫌ですよ!あんな人の下で働くの、それなら田舎に帰りますから」
ジュリアに聞こえないよにスピアに噛み付く!あんな人の下で働くなんてたまったもんじゃない!
そんなクリスの思いは知らずにレスターはジュリアに向き合うと
「クリスは確かに優秀だ…スピアの下につけてからみるみる成長している…」
「ええ、そんなに優秀なら尚更私の元に来るのが相応しいわ」
ジュリアが頷くと
「前にお前が欲しいと言ったメイドはどうした?姿が見えないが…」
レスターが急に話を変えた…
「えっ?誰の事でしょう?」
ジュリアがメイド達の顔を見るが誰が誰だかよく分からない…
「ちょっと思い出せないわ…」
うーんと考え込む振りをしていると…
「この前辞めさせたというハルジオンだよ」
レスターが名前をあげると
「そんなメイドいましたっけ?」
本当に思い出せないのか首を傾げる。
「あの娘は優秀な子だった…お前に付けてやれば少しは成長するのではないかと期待したが…」
レスターは悲しそうに首を振る…
「ええ!成長したでしょうね!そのメイドは」
ジュリアが自信満々に答えると
「はぁ…もうお前の言う事は聞けない…ジュリアお願いだ、自分の行いをよく考えてみてくれ。人の気持ちを考えられる人になってくれ…」
「何を言いたいのか分かりませんわ!クリスをくれないならもう用は無いです!」
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「レスター様…あそこまで言ってよろしかったのですか…」
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「陛下からは何も言うなと言われている…これはきっと命令違反だろうな…この事はお前達は聞かなかったことに…何かあれば罪は全部この私が負う」
スピアとスティーブは何も答えずに頭を下げた…
「クリスもすまなかったね、君はしばらくはスピアの下から動かすつもりは無いから安心して働いてくれ」
「は、はい…ありがとうございます」
クリスはレスターにお礼を言うと…
「すまない…しばらく1人で仕事をするよ、君達は戻ってくれ」
レスター様が部屋にこもってしまうとスピア達は冷めてしまったお茶を悔しそうに見つめていた…
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