貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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176.誤解

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カイルとクリスは剣を打ち合っていると

「なかなかやるな…本当に文官志望なのか?」

少しでも何か情報はないかとカイルが話しかけると

「はい、その方が姉さんの助けにもなると思いまして…」

カイルの剣に必死に食らいつきながらクリスが答えると…

「姉さん…姉のためにか」

カイルの顔が歪む…

「顔もよくて、頭もいい…しかも家族思いだと…クソッ…」

思わず力が入ると

「うわ!」

クリスが吹き飛ばされる!

「あっクリス!」

ローズが思わず駆け寄りクリスを抱き起こすと

「大丈夫?」

心配そうに顔を近づけて顔色を見る。

そんなローズの様子を直視出来なくてカイルは顔を逸らした…

「すまん…やりすぎた」

カイルが苦しそうに答えると

「なんでやられたクリスよりカイル様の方が辛そうなんですか?もしかして怪我でもされましたか?見てる感じクリスの攻撃が当たっている感じはありませんでしたが…」

ローズは少し心配になってカイルに近づくと

「失礼します」

カイルの体を確認する…

「あっ!いや!ロ、ローズ彼が驚いて見ているぞ!やめてくれ」

カイルが顔を赤くして叫ぶと

「彼?あっクリスの事ですか?クリスなら大丈夫よね?ちゃんと受け身取ってたしさっき見た感じ怪我も無いようでした」

「いや…それより姉さん…そんなカイル様と親しげなのにびっくりだよ…」

クリスが唖然と二人を見ると…

「姉さん?誰がだ?」

カイルが二人を交互に見つめる。

「えっ?私ですが?」

「ローズ?ローズが姉さん…」

「ええ、弟のクリスです」

ローズがクリスを紹介すると…

「姉のローズがお世話になっております。この度王都で文官見習いをする事になりました、クリス・タウンゼントです」

クリスは姿勢を正すとカイルに頭を下げた…

何も言ってこないカイルにクリスはちらっと顔をあげて見ると、カイルは口を開けて固まっている。

「ね、姉さん…カイル様どうしたの?」

「私にも分からない…カイル様?大丈夫ですか?」

ローズがカイル様の目の前で手を振ると…

「あっ!す、すまない…大丈夫だ…そうか姉弟か…」

「はい、自慢の弟です」

ローズが嬉しそうにクリスを紹介すると

「確かによく見ると似ているな…クリスだったな、腕も良かったぞ。いつでも鍛錬場に来るといい相手をしてやるからな」

「ありがとうございます!嬉しいな!」

クリスの嬉しそうな様子に…

「なんだ…まぁ兄の様に頼ってくれていいからな…」

カイルがボソッとつぶやくと…

「あっそれは大丈夫です!」

クリスはニコッと笑ってはっきりと断わると

「あっ…確かに姉弟だな…」

ガクッと肩を落とした…
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