上 下
112 / 318
連載

171.姉弟

しおりを挟む
「スティーブさん、それ本当ですか?」

一緒に来た兵士にクリスが聞き返すと…

コクコク…

口を押さえて黙って頷く。

「スティーブ…話しても良いですよ…」

スチュアートさんが呆れるように声をかけると

「申し訳ございません…つい…」

やっちまったと頭をかいている。

「こちらはスティーブさんです。今回僕はスピアさんの下で働かせて貰っているんです、スピアさんはレスター大臣の側近でスティーブさんはレスター大臣の警護を担当しているんだよ」

「レスター大臣?あれ…何処かで…」

ローズは記憶を呼び起こすと…

「あっ!お茶会で欠席なさった方ですね」

「ええ、そしてジュリア様のお父様でもございます」

「ジュリア様の?」

ローズがレスター大臣の名前を思い出すと…

「あっ…一緒だ…」

心配そうにクリスを見ると

「まぁレスター様とはほとんど会うことも無いけどね」

「そうなの…でも何かあったらすぐに知らせてね。いつでも駆けつけるから」

クリスの腕をギュッと掴むと

「姉さんは相変らず心配性だな、僕だって父さんの息子だよ…姉さんには敵わないけどある程度は戦えるよ」

「クリスはしっかりしているし、頭がいいけど、まだまだ子供よ…いつまでたっても姉として心配だわ…」

「もう!だったら久しぶりに打ち合いでもどう?今日は一日お休みを頂いてるんだ!」

クリスが腕を見せて笑いかけると

「いいわね!」

ローズが嬉しそうに頷いた。

「クリスさんも剣をたしなんでおいでですか?」

スチュアートさんが興味深げに聞いてくる。

「はい、父にある程度戦えるようにしつけられました…でも姉を見て自分には才能が無いとわかりましたので僕は勉学の方に切り替えました」

「そんななことないわ!クリスだってあのまま続けて入れば絶対に私より強くなっていたわ」

ローズがもったいないと首をふる。

「まぁでもどんなクリスでも自慢の弟だわ」

「ありがとう…でもここまで勉強させて貰えたのも姉さんのおかげだよ…本当に感謝してるんだ。だから今回も僕らの為にもしかしら自分を犠牲にしてるんじゃ無いかと心配で…」

ローズの事をじっと見つめると

「ありがとう…でも無理なんかした事無いわ、ここでもクレアさんとスチュアートさんには本当にお世話になって…」

ローズの楽しそうに話す姿にクリスはほっと肩を下ろす。

「よかった…姉さんがいきなり王子の婚約者候補を目指すなんて聞いたから…やっぱり僕のかん違いだったんですね」

クリスの言葉にローズはあれ?…っと首を傾げた…

「あっ…そうだよね…私婚約者候補だもんね…」

ローズはあはは…と軽く笑うと

「姉さん…まさかそこまで考えて無いとか無いよね?ロイ王子が好きで婚約者候補になったんだよね?」

「あーえっと…とりあえず辞退が出来ない状態だったから…それでクレアさん達が教育係になって…」

ローズがゴニョゴニョと言葉を濁すと…

「やってるうちに婚約者決めのテストが楽しくなった…ってわけ?」

「えへっ」

ローズは誤魔化す様に笑うと…

「もう…」

クリスは深いため息をついた…
しおりを挟む
感想 1,399

あなたにおすすめの小説

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです 無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す! 無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私の部屋で兄と不倫相手の女が寝ていた。

ほったげな
恋愛
私が家に帰ってきたら、私の部屋のベッドで兄と不倫相手の女が寝ていた。私は不倫の証拠を見つけ、両親と兄嫁に話すと…?!

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

メイドから家庭教師にジョブチェンジ~特殊能力持ち貧乏伯爵令嬢の話~

Na20
恋愛
ローガン公爵家でメイドとして働いているイリア。今日も洗濯物を干しに行こうと歩いていると茂みからこどもの泣き声が聞こえてきた。なんだかんだでほっとけないイリアによる秘密の特訓が始まるのだった。そしてそれが公爵様にバレてメイドをクビになりそうになったが… ※恋愛要素ほぼないです。続きが書ければ恋愛要素があるはずなので恋愛ジャンルになっています。 ※設定はふんわり、ご都合主義です 小説家になろう様でも掲載しています

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。