109 / 318
連載
168.悪の種
しおりを挟む
執事がサッと目をそらすと…
「それと…」
レスターが続ける。
まだ何かあるのかと、執事が顔を上げてレスターを見るとある部屋をじっと見ている。
「な、何か…」
「あそこの部屋にいる子を連れてきなさい」
「えっ…」
執事が思わず聞き返すと
「一度で聞いてくれると助かるんだけどなぁ…もう一度しか言わないよ。あの部屋にいる怪我をしてる子を連れてきなさい」
落ち着いているが怒気をはらんだレスターの言葉に執事は急いでメイドを連れてくる。
「ありがとう、この事はお互い秘密にしておいた方がいいと思うんだよ」
レスターは顔を腫らし、傷付き気を失っているメイドを抱き上げると…
「それじゃあ…」
部屋を出ていく。
「あっ…そうだ」
扉をでて振り返ると、執事はビクッと肩を揺らす…
「君も自分の身の振り方を考えた方がいいよ…これは最後の忠告だ」
レスターはそれだけ言うと部屋を出ていった、執事は全身の力が抜けてドサッと床に座り込む…そして自分の手を見るとびっしょりと汗をかき小刻みに震えていた。
レスターはメイドの子を医務室に連れていくと…
「おや?レスター大臣こんな時間にどうしました?」
医師のダンテさんが珍しい人に声をかけてその腕にぐったりとしている人を見ると…
「ハルジオン…どしたのですか!」
見た顔のメイドの姿に驚いていると
「怪我をしていた…どうにか助けてやってくれ」
レスターが痛々しげに顔を歪めると
「すぐに、ここに寝かせて頂けますか」
ダンテがベッドを開けるとレスターがハルジオンを寝かせる。
「この子の事はスチュアートに任せてやってくれ」
「えっ?スチュアートさん?彼女確かレスター様のお嬢様のジュリア様のメイドでしたよね?」
「彼女はもう辞めたんだ、マデリンやジュリアには伝えなくていい…それと…」
レスターはいっそう声を落とすと
「ボストン大臣が何か聞きに来ても私の事は言わないでくれ」
レスターの真剣な顔にダンテはコクリと頷く…
「何か考えがあるのですね」
ダンテが聞くと
「あなたは知らない方がいい…ではすまないがよろしく頼むよ」
レスターは疲れたように笑うと部屋を出ていった…
ダンテはとりあえずハルジオンの治療に専念した。
マデリンはボストンの元から帰ってくると行きと同じように頭から被っていたフードを取って部屋の中へと入ると…
「おかえり…なさいませ…」
執事が待っていた…
「え、ええ…それで?終わったかしら」
女の匂いをプンプンとさせながらマデリンは服を脱いでいくと
「はい…それと奥様…お話が」
執事がマデリンの脱いだ服を片付けながら声をかけると
「何かしら?」
「…実は…私の母が病気になりまして…大変申し訳ございませんがここでの仕事が難しく…」
執事が下を向きながら答えると…
「あらそう?ならどっかの病院にでも入れちゃえば?」
マデリンがあっさりと言うと
「えっ…」
「だってあなたには私のお世話をするという名誉ある仕事があるんだもの。その為なら親の1人や2人どってことないでしょ?」
マデリンは当たり前のように言うと
「……」
執事は言葉を失う…
「はぁ…眠い…あの人本当に執拗いんだから…」
マデリンはネグリジェを羽織るとベッドに入る…いつまでも立ち尽くしている執事に
「いつまでそこにいるのよ、私は寝るからサッサと出ていってくれる」
「は、はい…」
執事はそっと扉に手をかけて
「大変お世話になりました…失礼致します」
消え入る声でつぶやきそっと頭を下げると扉を閉めた。
「それと…」
レスターが続ける。
まだ何かあるのかと、執事が顔を上げてレスターを見るとある部屋をじっと見ている。
「な、何か…」
「あそこの部屋にいる子を連れてきなさい」
「えっ…」
執事が思わず聞き返すと
「一度で聞いてくれると助かるんだけどなぁ…もう一度しか言わないよ。あの部屋にいる怪我をしてる子を連れてきなさい」
落ち着いているが怒気をはらんだレスターの言葉に執事は急いでメイドを連れてくる。
「ありがとう、この事はお互い秘密にしておいた方がいいと思うんだよ」
レスターは顔を腫らし、傷付き気を失っているメイドを抱き上げると…
「それじゃあ…」
部屋を出ていく。
「あっ…そうだ」
扉をでて振り返ると、執事はビクッと肩を揺らす…
「君も自分の身の振り方を考えた方がいいよ…これは最後の忠告だ」
レスターはそれだけ言うと部屋を出ていった、執事は全身の力が抜けてドサッと床に座り込む…そして自分の手を見るとびっしょりと汗をかき小刻みに震えていた。
レスターはメイドの子を医務室に連れていくと…
「おや?レスター大臣こんな時間にどうしました?」
医師のダンテさんが珍しい人に声をかけてその腕にぐったりとしている人を見ると…
「ハルジオン…どしたのですか!」
見た顔のメイドの姿に驚いていると
「怪我をしていた…どうにか助けてやってくれ」
レスターが痛々しげに顔を歪めると
「すぐに、ここに寝かせて頂けますか」
ダンテがベッドを開けるとレスターがハルジオンを寝かせる。
「この子の事はスチュアートに任せてやってくれ」
「えっ?スチュアートさん?彼女確かレスター様のお嬢様のジュリア様のメイドでしたよね?」
「彼女はもう辞めたんだ、マデリンやジュリアには伝えなくていい…それと…」
レスターはいっそう声を落とすと
「ボストン大臣が何か聞きに来ても私の事は言わないでくれ」
レスターの真剣な顔にダンテはコクリと頷く…
「何か考えがあるのですね」
ダンテが聞くと
「あなたは知らない方がいい…ではすまないがよろしく頼むよ」
レスターは疲れたように笑うと部屋を出ていった…
ダンテはとりあえずハルジオンの治療に専念した。
マデリンはボストンの元から帰ってくると行きと同じように頭から被っていたフードを取って部屋の中へと入ると…
「おかえり…なさいませ…」
執事が待っていた…
「え、ええ…それで?終わったかしら」
女の匂いをプンプンとさせながらマデリンは服を脱いでいくと
「はい…それと奥様…お話が」
執事がマデリンの脱いだ服を片付けながら声をかけると
「何かしら?」
「…実は…私の母が病気になりまして…大変申し訳ございませんがここでの仕事が難しく…」
執事が下を向きながら答えると…
「あらそう?ならどっかの病院にでも入れちゃえば?」
マデリンがあっさりと言うと
「えっ…」
「だってあなたには私のお世話をするという名誉ある仕事があるんだもの。その為なら親の1人や2人どってことないでしょ?」
マデリンは当たり前のように言うと
「……」
執事は言葉を失う…
「はぁ…眠い…あの人本当に執拗いんだから…」
マデリンはネグリジェを羽織るとベッドに入る…いつまでも立ち尽くしている執事に
「いつまでそこにいるのよ、私は寝るからサッサと出ていってくれる」
「は、はい…」
執事はそっと扉に手をかけて
「大変お世話になりました…失礼致します」
消え入る声でつぶやきそっと頭を下げると扉を閉めた。
282
お気に入りに追加
8,938
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。