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161.剣舞
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ローズが剣を構えると、バルトがスタッと地面に降り立つ。
二人が目を合わせると同時に動き出した!
二人は間合いを取って闘うように踊っている…
「カーバンクルが人と踊っている」
大臣達が驚いていると
「綺麗だわ…それに懐かしい」
王妃様が目を細めてローズを見つめた。
ローズがヒラヒラと舞う度にクレアさんのドレスが光の反射を受けて輝いている…破かれた裾がさらに広がり動きをつける…
その姿はまるで天女の様だった。
「ふふ…」
おもわずローズが笑うと
「なんだ?どうした」
バルトがローズを見つめる。
「楽しい…バルトとこうやって人の前で踊れる事が嬉しい」
バルトと踊りながらすれ違う度に視線を合わせる。
何度も何度も練習した動きにローズとバルトは自然と体が動く。
「まぁ悪くないかもな」
バルトが瞳を閉じて薄く笑う。
ローズはバルトと二人だけの空間を楽しんでいた。
「あれが剣舞…始めて見ました」
「ローズさん…まるで男性の様にも見えます…ちょっとかっこいいですね」
令嬢の一人が頬を染める。
令嬢達はうっとりとしながらローズの踊りを見つめている。
その後ろからジュリアは面白くなさそうにローズを睨みつけていた…
ローズの剣舞が終わると…会場がシーンと静まり返る。
汗を拭いローズが立ち上がると最初と同じように深々と頭を下げた。
ーパチッパチッ…
一番最初に王妃様が笑顔で拍手を送ると…ご婦人達がそれに続く。
「素晴らしかったわ!」
「ええ!もう一度観たいくらい」
するとボストン大臣が
「しかし…婚約者候補がする特技としてはどうなんでしょう?令嬢らしからぬと思いますが」
皮肉げに言うと
「ま、まぁ確かに…」
みなが拍手を止めだした…
「それに魔物を使うのもどうかと思うね!他の令嬢達は皆自分一人で披露してましたよ」
ローズに話しかけると
「しかし、事前にお聞きしましたが問題無いと…」
「そうやって言い訳をするのも相応しくないな~」
やれやれと大臣が肩をすぼめる。
ーパシンッ!
すると扇の閉じる音が会場に響いた…大臣が不機嫌そうに誰だと顔を向けると…
「王妃様…」
王妃が立ち上がりボストン大臣を見下ろす。
「剣舞とは、本来相手と戦いながら舞うものです。その相手が誰も務められないからそこの美しいカーバンクルが務めただけの事…ダンスだって相手がいなければ踊れないものです。それを剣舞の事を知りもしないのに能書きをたれないで頂きたいわ…」
軽蔑するようにボストン大臣を睨みつける。
「なるほど…確かに母上の言う通りですね!いや、私が踊れていたらと思うと…ローズ嬢申し訳ない…だがあんな素晴らしい舞は私には無理そうだ」
ロイが立ち上がりバルトに向かうと
「いまこの場でローズ嬢の相手が務まったのがバルト氏だっただけの事…魔物や人など関係ありませんよね、ボストン大臣」
ロイが笑いかけると…
「若造が…」
誰にも聞こえないように奥歯を噛み締めると…
「ボストン大臣、ロイ王子に向けるにはあまりに酷い顔ですよ…気をつけて頂きたい」
カイルがロイの傍らに控えてボストン大臣を睨みつける。
「こ、これで披露する方は最後だったな…なら私はもう失礼する」
ボストン大臣はキッと二人を睨むと足早に部屋を出ていった…
「あ、あの…」
ローズが気まずそうに立っていると…
「ごめんなさいね、思わずイラッとして口を出してしまいました。ローズさんとても素晴らしい演舞でした」
王妃様が微笑んで声をかけると
「ありがとう…ございます」
ローズはバルトと顔を合わせ嬉しいそうに笑った。
二人が目を合わせると同時に動き出した!
二人は間合いを取って闘うように踊っている…
「カーバンクルが人と踊っている」
大臣達が驚いていると
「綺麗だわ…それに懐かしい」
王妃様が目を細めてローズを見つめた。
ローズがヒラヒラと舞う度にクレアさんのドレスが光の反射を受けて輝いている…破かれた裾がさらに広がり動きをつける…
その姿はまるで天女の様だった。
「ふふ…」
おもわずローズが笑うと
「なんだ?どうした」
バルトがローズを見つめる。
「楽しい…バルトとこうやって人の前で踊れる事が嬉しい」
バルトと踊りながらすれ違う度に視線を合わせる。
何度も何度も練習した動きにローズとバルトは自然と体が動く。
「まぁ悪くないかもな」
バルトが瞳を閉じて薄く笑う。
ローズはバルトと二人だけの空間を楽しんでいた。
「あれが剣舞…始めて見ました」
「ローズさん…まるで男性の様にも見えます…ちょっとかっこいいですね」
令嬢の一人が頬を染める。
令嬢達はうっとりとしながらローズの踊りを見つめている。
その後ろからジュリアは面白くなさそうにローズを睨みつけていた…
ローズの剣舞が終わると…会場がシーンと静まり返る。
汗を拭いローズが立ち上がると最初と同じように深々と頭を下げた。
ーパチッパチッ…
一番最初に王妃様が笑顔で拍手を送ると…ご婦人達がそれに続く。
「素晴らしかったわ!」
「ええ!もう一度観たいくらい」
するとボストン大臣が
「しかし…婚約者候補がする特技としてはどうなんでしょう?令嬢らしからぬと思いますが」
皮肉げに言うと
「ま、まぁ確かに…」
みなが拍手を止めだした…
「それに魔物を使うのもどうかと思うね!他の令嬢達は皆自分一人で披露してましたよ」
ローズに話しかけると
「しかし、事前にお聞きしましたが問題無いと…」
「そうやって言い訳をするのも相応しくないな~」
やれやれと大臣が肩をすぼめる。
ーパシンッ!
すると扇の閉じる音が会場に響いた…大臣が不機嫌そうに誰だと顔を向けると…
「王妃様…」
王妃が立ち上がりボストン大臣を見下ろす。
「剣舞とは、本来相手と戦いながら舞うものです。その相手が誰も務められないからそこの美しいカーバンクルが務めただけの事…ダンスだって相手がいなければ踊れないものです。それを剣舞の事を知りもしないのに能書きをたれないで頂きたいわ…」
軽蔑するようにボストン大臣を睨みつける。
「なるほど…確かに母上の言う通りですね!いや、私が踊れていたらと思うと…ローズ嬢申し訳ない…だがあんな素晴らしい舞は私には無理そうだ」
ロイが立ち上がりバルトに向かうと
「いまこの場でローズ嬢の相手が務まったのがバルト氏だっただけの事…魔物や人など関係ありませんよね、ボストン大臣」
ロイが笑いかけると…
「若造が…」
誰にも聞こえないように奥歯を噛み締めると…
「ボストン大臣、ロイ王子に向けるにはあまりに酷い顔ですよ…気をつけて頂きたい」
カイルがロイの傍らに控えてボストン大臣を睨みつける。
「こ、これで披露する方は最後だったな…なら私はもう失礼する」
ボストン大臣はキッと二人を睨むと足早に部屋を出ていった…
「あ、あの…」
ローズが気まずそうに立っていると…
「ごめんなさいね、思わずイラッとして口を出してしまいました。ローズさんとても素晴らしい演舞でした」
王妃様が微笑んで声をかけると
「ありがとう…ございます」
ローズはバルトと顔を合わせ嬉しいそうに笑った。
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