貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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154.特技披露

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その日お茶会を終えた令嬢達は広間に集められていた…

広間には円卓が並べられお茶会で招いた審査員の大臣達やフリード様を初めて王妃様や大臣の奥方などが座っている。

「では皆さんはあちらの部屋で待機をお願い致します。一人一人出番になりましたらこちらの部屋にきて特技を披露していただきます。事前に言われておりました必要なものは私共で揃えてありますので…」

そう言って示す先には誰が使うのかオーケストラのような楽器隊が控えていた…

令嬢達は緊張した面持ちで部屋を移動すると…各自与えられた軽い仕切りのある小部屋へと通される。

「では狭くて申し訳ございませんが、自分の番が来るまでこちらでお待ちください…まずは最初のご令嬢は…」

大臣が名前を呼ぶと

「は、はい!」

声を裏返して名前を呼ばれたご令嬢が立ち上がる!

「そんなに緊張なさらないでください」

大臣が笑いかけるが令嬢は引きつった笑顔を見せて右手と右足を同時に出しながら大臣の後をついて行った…

「大丈夫かしら…」

隣の席に座るキャシーが呆れながら見ている。

「あれじゃあ実力を出し切れないよね…」

ローズも心配そうに見ていると

「確かあの方もダンスだったかしら?」

「そ、そうなんだ…」

ダンスと聞いて自分と一緒だとさらに心配になると

「確か今回のお披露目でダンスをすると相手はロイ王子がなさってくれるそうよ」

「そうなの!?」

「ええ、公平を期すために相手を同じにするの、婚約者候補の相手ですからねロイ王子が適任だわ」

「へー」

ローズが関心していると

「だから今回は特技をダンスにされた方が多いみたいよ」

キャシーがクスクスと笑う。

「えっ?なんで?ライバルが増えちゃうんじゃないの」

二人でコソコソと話していると

「でもこんな機会でもないと王子とダンスなんて出来ないでしょ?だからそれ目当ての方もいるみたい」

「そ、そうなんだ…皆さん色々と考えているんだね…」

自分もダンスだが踊るのに相手はいらないし…

「にゃ~」

バルトがローズのそばに来ると

「あら、ローズ可愛い猫ちゃん飼ってるのね」

キャシーがバルトに気がつくと

「うん、今回のお披露目はこの子とやるのだから連れてきたんだ」

ローズはバルトの頭を軽く撫でると…

「あら!あなた!それって…獣じゃないかしら!」

ローズを見つけたジュリアがバルトを見つめて近づいてきた!

「あ…ジュリア様…どうも…」

ローズは立ち上がって挨拶をしようとすると

「あっ!キャシー様今日はよろしくお願い致します」

ジュリアはローズを遮ってキャシーにだけ挨拶をする。

「ジュリアさん今日はよろしくお願い致します…ジュリアさんは目があんまりよろしくないみたいですね。若いのに大変ですね…」

キャシーが可哀想とため息をつくと

「そ、そんなことありませんわ…目は悪くないですけど…」

ジュリアが戸惑っていると

「だってジュリアさんローズの事が見えないみたいなんですもの~」

キャシーはローズの手をぎゅっとつかむと

「こんな可愛いローズが見えないなんて…一度調べてもなった方がよろしいんじゃありませんか?」

キャシーはジュリアの悔しそうな顔をじっと見つめた。
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