貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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連載

153.気配

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見事に仕上がった書類を前に最後の一枚をクリスが仕上げる。

「はい!出来ました!」

バッと一番上に書き終えた書類を置くと

「わぁー!やっと終わった~」

「クリスくんのおかげだよ~ありがとう」

みんなが歓喜の声をあげる。

「そんなことありません、みんなさんのお力には及びませんし…」

「そんなの当たり前だ、我々は何年ここで務めていると思っている。それにしっかりとついてきた君の力があってこそ早く終わる事が出来たんだ」

「本当それです!スピアさんいい事言いますね!」

「私はいい事しか言わないぞ」

ふん!と鼻息あらくすると

「しかし予定より早く終わってよかった…」

スピアさんが笑うと…

「で、では姉に会いに行っても…」

クリスがぱぁーとスピアさんを見ると…

「さて今度はこれを封書にして各方面の配達員に振り分けるぞ!」

「えっ…」

「まだまだこれからだ!さぁみんなもうひと踏ん張り頑張ろう!」

「そ、そんなぁ~」

クリスはガックリと肩を落とした。

「クリス、姉君には言伝を頼んでおいてやるから、君の頑張りに期待してるぞ!」

「は、はいぃ…」

クリスはこくんと頷いた。


「クシュン!」

ローズはくしゃみをするとムズムズと鼻を動かす。

「なんだ?風邪か」

バルトが心配しながらローズのそばに寄ると

「ううん、大丈夫。なーんか今懐かしい匂いがした気がして…気のせいかな?」

くんくんと鼻を動かすと

「ローズ様明日はいよいよ剣舞のお披露目です、本当に風邪を引いてもいけませんし今日は早めにお休みになってください」

スチュアートさんがローズの為にひざ掛けを持って来るとそっとかける。

「ありがとうございます。でも今日全然体を動かしてないからかえって寝れないかも…今から少し走ってこようかな~」

「「いけません!」」

スチュアートさんとクレアさんから同時に怒られる。

「今は庭も兵士が多く巡回してますから変に見られてしまいますよ」

「それに怪我でもなさったらどうするのですか!ほら、もう今日はお風呂に入りましょう!長湯していつもより強めにマッサージしましょうね!そしたらぐっすりですよ」

クレアさんがゆびをポキポキと鳴らしてやる気を見せる。

「ひっ!お、お手柔らかにお願いします…」

「馬鹿だなぁローズは…」

バルトは呆れるととばっちりが来ないようにスっと気配をけした。

ローズはニコニコと笑うクレアさんに連行されるように浴槽へと連れていかれた…

ローズはマッサージの恐ろしさから懐かしい匂いの事などすっかり頭から消えてしまっていた。
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