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151.弟
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謁見の次の日は一日空いてのお披露目会でとなっていた…ローズも衣装や動きの最終チェックを終えてこの日はゆっくり休むように言われ部屋で大人しく過ごしていた…
その頃王宮の門番のところに一人の少年が王都にたどり着いていた。
「やっと着いた…姉さん大丈夫かな…」
クリスは大きな王宮を心配そうに見上げていた。
そんな不審な少年に門番は声をかけると
「ここを王宮と知って来ているか?」
怪訝な表情を浮かべて少年を見ると
「あっ申し訳ありません…大きな建物を前に唖然としてしまい…なんせ田舎の方から来ましたので…」
そういいながら書類を差し出すと
「この度王宮勤めの見習いとして参りました」
門番が書類を確認して顔をあげると、綺麗な顔立ちで人懐っこそうな笑顔を浮かべる少年を見つめる。
「どこかで…会ったかな?」
なんだか見覚えあるような笑顔に首を傾げると
「僕は王都に来たのは初めてなので…申し訳ございません…見覚えは…」
申し訳なさそうに眉毛を下げる。
「あっ!いやこちらの勘違いかもしれん。すまなかった」
慌てて門番が謝ると
「書類を確認した。このまま進んで王宮の中に入って右側の建物に入ってくれ。そこでまたこの書面を見せれば大丈夫だ」
門番の説明にクリスはにっこり笑って、
「ありがとうございます」
爽やかな笑顔を向けて頭を下げた。
クリスが歩いていくのを確認していると
「誰かに似てるんだけどなぁ…」
カールは思い出せずにモヤモヤとしながら首を傾げていた。
クリスは言われた通りに王宮の建物に入ると、忙しそうに歩いてる人に声をかける。
「すみません、尚書官の見習いとして来ました。この書類を持っているように言われましたが何処に行けばよろしいのでしょうか?」
「あー!今度新しく来るって言ってた子かな?じゃあ尚書官ならアンダーソン大臣の管轄だなぁ…」
男はキョロキョロと誰かを探すと…
「あっ!君!この子スピアさんのところに案内してあげてくれる?」
男は歩いてた人に声をかけるとじゃあと早足に手をあげて去っていく。
「あ、ありがとうございます!」
クリスは慌ててお礼を言うがあっという間に男は遠くに行ってしまっていた。
「王都の人は足が早いなぁ…」
驚いていると
「じゃ君、案内するから着いてきて」
クリスは返事をすると急いで後を追った。
早足に何とかついて行き部屋に到着すると
ートントン
扉をノックして声をかけると部屋へと入る…中には数名の人達が席に座り何か書類を大急ぎで書き写していた。
「スピアさん新しく入った尚書官見習いの子ですよ」
案内してくれた人が一際素早く書き上げている男性に声をかけると…
「わかった。君書類見せて」
スピアは書面から顔をあげることなく手を差し出す…クリスは慌ててその手に書類を渡すとチラッと書類を確認している。
「大丈夫そうだね、君文字は問題なくかけるよね?」
「は、はい!」
クリスは慌てて返事を返すと
「じゃあ来てすぐで悪いんだけど、この書面書き写してくれますか?」
そう言って一枚の紙を渡される。
「拝読しても?」
「もちろん」
その間手を止めることなくスピアさんは動いていると
「新しい条例ですね…カーバンクルかぁ王都では珍しいんですね」
内容を確認すると書類を返す。
「それは見本として渡して置くからそれを見て一語一句間違えないで書き写してくれ」
「わかりました。書類は大丈夫です、暗記しましたから」
クリスは笑うと
「ここの机をお借りしていいでしょうか?」
「ああ…えっ?暗記?」
スピアはクリスが部屋にきて初めて手を止めて顔を見た。
見た感じまだ幼さの残る男と言うよりは少年のような子を見つめると
「暗記は得意なんです」
にっこり笑いかけると紙とペンを借りてすぐに机に向かう。
「一枚かけたら持ってきてくれるかい、一応問題ないか確認するから」
「はい!」
クリスはすぐさま書面を書き写した。
その頃王宮の門番のところに一人の少年が王都にたどり着いていた。
「やっと着いた…姉さん大丈夫かな…」
クリスは大きな王宮を心配そうに見上げていた。
そんな不審な少年に門番は声をかけると
「ここを王宮と知って来ているか?」
怪訝な表情を浮かべて少年を見ると
「あっ申し訳ありません…大きな建物を前に唖然としてしまい…なんせ田舎の方から来ましたので…」
そういいながら書類を差し出すと
「この度王宮勤めの見習いとして参りました」
門番が書類を確認して顔をあげると、綺麗な顔立ちで人懐っこそうな笑顔を浮かべる少年を見つめる。
「どこかで…会ったかな?」
なんだか見覚えあるような笑顔に首を傾げると
「僕は王都に来たのは初めてなので…申し訳ございません…見覚えは…」
申し訳なさそうに眉毛を下げる。
「あっ!いやこちらの勘違いかもしれん。すまなかった」
慌てて門番が謝ると
「書類を確認した。このまま進んで王宮の中に入って右側の建物に入ってくれ。そこでまたこの書面を見せれば大丈夫だ」
門番の説明にクリスはにっこり笑って、
「ありがとうございます」
爽やかな笑顔を向けて頭を下げた。
クリスが歩いていくのを確認していると
「誰かに似てるんだけどなぁ…」
カールは思い出せずにモヤモヤとしながら首を傾げていた。
クリスは言われた通りに王宮の建物に入ると、忙しそうに歩いてる人に声をかける。
「すみません、尚書官の見習いとして来ました。この書類を持っているように言われましたが何処に行けばよろしいのでしょうか?」
「あー!今度新しく来るって言ってた子かな?じゃあ尚書官ならアンダーソン大臣の管轄だなぁ…」
男はキョロキョロと誰かを探すと…
「あっ!君!この子スピアさんのところに案内してあげてくれる?」
男は歩いてた人に声をかけるとじゃあと早足に手をあげて去っていく。
「あ、ありがとうございます!」
クリスは慌ててお礼を言うがあっという間に男は遠くに行ってしまっていた。
「王都の人は足が早いなぁ…」
驚いていると
「じゃ君、案内するから着いてきて」
クリスは返事をすると急いで後を追った。
早足に何とかついて行き部屋に到着すると
ートントン
扉をノックして声をかけると部屋へと入る…中には数名の人達が席に座り何か書類を大急ぎで書き写していた。
「スピアさん新しく入った尚書官見習いの子ですよ」
案内してくれた人が一際素早く書き上げている男性に声をかけると…
「わかった。君書類見せて」
スピアは書面から顔をあげることなく手を差し出す…クリスは慌ててその手に書類を渡すとチラッと書類を確認している。
「大丈夫そうだね、君文字は問題なくかけるよね?」
「は、はい!」
クリスは慌てて返事を返すと
「じゃあ来てすぐで悪いんだけど、この書面書き写してくれますか?」
そう言って一枚の紙を渡される。
「拝読しても?」
「もちろん」
その間手を止めることなくスピアさんは動いていると
「新しい条例ですね…カーバンクルかぁ王都では珍しいんですね」
内容を確認すると書類を返す。
「それは見本として渡して置くからそれを見て一語一句間違えないで書き写してくれ」
「わかりました。書類は大丈夫です、暗記しましたから」
クリスは笑うと
「ここの机をお借りしていいでしょうか?」
「ああ…えっ?暗記?」
スピアはクリスが部屋にきて初めて手を止めて顔を見た。
見た感じまだ幼さの残る男と言うよりは少年のような子を見つめると
「暗記は得意なんです」
にっこり笑いかけると紙とペンを借りてすぐに机に向かう。
「一枚かけたら持ってきてくれるかい、一応問題ないか確認するから」
「はい!」
クリスはすぐさま書面を書き写した。
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