貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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145.絆

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「確かにその容姿…カーバンクルのようですね…そう言えば怪我をしたとか言ってたがここの庭園で怪我をしたのか?」

レイン陛下がバルトに話しかけるがバルトは答えようとしない…

「バ、バルト!陛下が聞いてるよ!」

ローズが慌ててバルトに話しかけると

「なんでそんな事話さなきゃならん?俺はローズをいじめる奴らなどと話す気はない!」

すっかりご機嫌斜めのバルトにローズが困っていると…

「この化け猫め…皮をはいでやろうか…」

大臣の一人がバルトの態度に憤怒し物騒な事を言い出す。

「いい加減にしないか!」

するとレイン陛下が大臣を窘める!

「しかし!魔物の癖にあの態度…」

「魔物と話をできる機会などそうはない、私は彼と話がしたいのだ…」

「そいつが居なくなれば答えよう…」

バルトは先程からうるさい大臣を睨みつけると

「ボストン大臣…出ていってくれるか?」

レイン陛下が大臣に声をかける。

「私よりもその魔物の言う事を聞くのですか!?」

信じられないとボストン大臣がレイン陛下を見つめるがレイン陛下の考えは変わらない様子…じっと無言でボストン大臣が動くのを待っていた。

「失礼致しました…」

ボストン大臣はキッ!とバルトを睨みつけるとドスドスと足を鳴らして部屋を出ていった!

「さぁ…これで話してくれるかな?」

レイン陛下がバルトを見つめると

「そうだな…約束だ。守ろう、何が聞きたい?」

「そうだなぁ…まずは魔物ってのはみんな喋れるのかい?」

「いや、ほとんどの魔物は喋れない…長く生きている者や高位ランクの魔物だけだ」

「なるほど…」

「それでも人間と喋ろうとするやつはあまりいないと思うがな」

バルトが言うと

「では君はまれな方だと…」

「俺はローズに命を救われた。恩人に対して敬意を払っているだけだ」

ローズを見つめると

「ふーん…君の方がよっぽど人らしいね…」

苦笑いをしてバルトを見つめた。

「へ、陛下…魔物の話は置いておいて…果実の事を…」

魔物に興味津々の陛下に大臣が声をかけると

「ああ、そうだな。本題はそちらだった…しかしこっちも気になるなぁ…バルトくん良かったらこの後も少し話を聞かせてはくれないか?」

「いやだ、俺はローズの言う事しか聞かない」

「ではタウンゼント嬢に命令をすれば…」

大臣の一人がローズを見ると

「そんな事をするぐらいなら俺はローズの元を去る…そしてもう何も言うことはない!」

ギラッと大臣を睨みつけると

「バルト…」

ローズはバルトを撫でて落ち着かせると

「申し訳ございません…その命令には私も従えません。バルトの嫌がることを命令されるぐらいなら…処罰をしていただいて構いません」

ローズは悲しそうに笑って頭を下げる…もうこのまま連れていかれる覚悟をすると…

「そんな事をするつもりはない…そうだろ?クラフト大臣?」

陛下が大臣を見つめると

「そ、そうですね…」

気まずそうに顔を逸らした。

「まぁそこら辺の事はおいおい話をしていこう…とりあえずバルトくんが見つけたという果実の事を聞こうか?」

ローズは顔をあげてほっと息を吐くとこくんと頷いた。



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