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144.バルト

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大臣達はバルトを睨むと

「大体陛下の前にペットを連れてくるとは何事か!」

更にイラつく大臣に

「少し落ち着け、前もって聞いた話によるとそのペットが何か鍵を握っていると聞いたが?だから私が同伴する事を許したが何か問題でも?」

レイン陛下がうるさい大臣を睨みつけると

「い、いえ…陛下が許可なさっているのなら…」

大臣の声が小さくなると

「あと、いちいち声が大きくてうるさいぞ、私は話を聞きたいんだ少し黙っていろ。全部聞いた後に言いたいことを言え」

「申し訳…ございません」

大臣は頭を下げると口を噤んだ…

レイン陛下は頷くとローズに向き合い

「さぁ話を進めよ」

先を促した。

「は、はい!このバルトですけど…あっ名前がバルトって言います。バルトが森で怪我をしていまして…それを私が拾って保護しました…」

「怪我…」

バルトを見るが怪我をした様子などは全然見当たらない

「もう怪我はすっかりよくなって、それで一応申請をだしてペットとして飼うことに…」

「それが実となんの関係が?」

大臣が思わず声をかけると

「す、すみません…それで私が何かケーキに使える果物や木の実を探している時にバルトがいい果実がなってるのを知っていると…それで教えて貰ったのがあの大木の果実でして…登るなとも言われていなかったので…申し訳ございませんでした!」

ローズが再度頭を下げるがバルトはツーンと素知らぬ顔をしてそっぽを向いている。

「ま、まて…色々と腑に落ちない点があるぞ…」

レイン陛下が頭を抱えると

「まずは何故そのバルトは実の在処を知っていたのか…それとそれをどうやって君に伝えたんだ?」

「あっ…えっと…バルトですが…この子猫みたいに見えますが、魔物のカーバンクルらしいです」

「はっ?」

魔物と聞いて陛下の近衛兵達が剣を抜いて陛下を守るように構えると

「あっ!あの!人を襲ったりはしません!従魔?って言うんですか?アレです!」

ローズが慌てて唸るバルトを庇うように隠すと

「では何か命令してみよ」

従魔の証拠を見せよと言われる…

「じゃ、じゃあバルトおすわり?」

した事もない命令をしてみると、バルトはスっと優雅におすわりをする。

その美しい姿にローズは見とれると

「バルト可愛い…じゃ!じゃあ一回転!」

バルトは難なくヒラリと一回転すると猫の真似を解いた!その拍子に美しい毛並みがキラッと輝く…

「おお…」

大臣達もバルトの容姿が変わった事に驚く!
バルトは魔法で容姿を猫に見える様に変えていたのだった…

「確かに言う事を聞くようだな」

レイン陛下の言葉に兵士達は剣を収めるがいつでも取れるように剣に手を置いて陛下の近くにいる。

ローズは何となく一歩下がると…

「バルト…絶対襲いかかったりしないでね…」

思わずそんな事を言ってしまうと…

「なんだそりゃ?ふりか?」

バルトが喋り返す。

「「「「なっ!」」」」

「今!その魔物喋ったのか!?」

大臣達が慌てると…

「あ…はい喋りますけど…だってそれで実の事を聞いたし…あっ!聞きましたので!」

思わず口調が崩れて言い直すが、誰もそんな事に構っている様子はない!

「魔物が喋るなど…」

大臣達は果実の前に目の前のカーバンクルから目を離せずにいた。
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