貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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142.謁見

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バルトを見ていたローズは…

「はっ!そ、そう言えばバルトの事もどうしましょうか!?」

スチュアートさんとクレアさんを見ると

「もうお隠しする訳にはいきませんからこの際にお話致しましょう」

クレアさんが頷くと

「そうですね、実を見つけたのもバルトさんですからね。事情を聞けば納得されるでしょう」

「えっ…そうなんですか?バルトはいいかな?みんなに紹介しても」

ローズがバルトを見ると

「まぁ一度会ってるしな…いいんじゃないか?」

バルトの言葉にローズは首を傾げていると

「夜のつまみ食いの時に俺も行っただろ?」

「そうだ…バルトったら威嚇するから慌てて怒ったんだ…あー!さらに謝らないといけない事が増えたー!」

ローズは頭を抱えた。

そんなローズをなるようになりますとスチュアートもクレアも微笑ましく見つめていた。

陛下の従者が呼びに来ると、ローズはスチュアートさんクレアさんそしてバルトを連れて謁見の間へと連れていかれる。

いつも令嬢達といる場所とは別の王宮の方に連れていかれると…

「凄い…床がフカフカです…」

コソッと前を歩くスチュアートさんに話しかけると

「そうですか?」

スチュアートさんが足元を見る。

「はい…足音が一切しませんし、カーペットが2センチほど厚いです。凄い無駄遣いな気がします…」

ローズが真剣な顔で話していると…

「おっほん!」

従者が立ち止まりこちらをジロっと見ていた…

「す、すみません!」

ローズが謝ると

「でも確かに無駄かも知れませんね…」

スチュアートさんは気にする様子もなく床を踏みつける。

「ス、スチュアートさんまで…困ります…」

従者が困り顔を浮かべると

「あれ?スチュアートさんのお知り合いなんですか?」

ローズが親しげに話す従者を見ると

「いえ」

「はい!」

真逆の答えが返ってくる。

「えっ!えっ?」

ローズが戸惑っていると

「ひ、酷いですスチュアートさん。あんなに厳しくご教授いただいた日々を忘れた事はございません」

「もしかしてスチュアートさんがご教授した方なんですか?」

スチュアートさんに聞くとスチュアートさんが困った様に笑って仕方なく頷いた。

「少し、執事としてのイロハを教えただけです…」

「あれが少し…」

従者はゾッとすると

「それよりも早く案内をお願い出来ますか?もう陛下もお待ちでしょう?」

「も、申し訳ございません!すぐに!」

従者は頭を下げて先を急いだ…

部屋の前に来ると

「そちらの…ペットも連れていく気でしょうか?」

訝しげにローズのそばを優雅に歩くバルトを見ると

「この度の陛下からの話に無くてはならない存在ですのでこのまま連れていきたいのですが…」

「そうですか…では少しお待ちください」

従者は扉の前に立つ兵士達に合図すると中へと先に入って行った…

ローズは兵士達を見ると…

あっ…

鍛錬場で顔を合わせた事のある知った顔にびっくりする!

向こうもローズの顔を見て驚いていると

「あっ!」

一人の兵士が声を出してしまう!

「馬鹿!」

せっかく声を出さないで耐えていた兵士がたしなめると…

「どうかしましたか?」

スチュアートさんがにっこりと笑って二人に聞くと…

「い、いえ!なんでもございません!た、だそちらの猫を見た事があったもので!」

何とか誤魔化そうとすると

「そうですか…」

何となく納得いかないスチュアートさんだったがちょうど従者が、来た事もあり深くは掘り下げなかった…

バルトもそのまま一緒に入って良いと許可をもらい兵士達が開ける扉を通る…

ローズは二人にそっと笑いかけ頭を下げた。
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