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140.お茶とお菓子
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レスター様の話を聞きながらお茶を用意すると
「申し訳ございません、遅くなりまして…」
スピアがお茶を用意するとレスター様が椅子に座る…テーブルにお茶を置くと
「ん?いつものお茶じゃないな」
レスターがお茶の香りに気がついた
「こちら陛下からレスター様に飲ませるようにと預かってまいりました。あとフリード様からはお菓子も…」
一緒にクッキーとケーキを出すと
「これは…」
見覚えのあるクッキーに手を伸ばす…サクッと口にすると思い出が蘇って来るような味だった…
「これは…まさかマデリンが?」
「マデリン様?いえ…ジュリア様がお茶会で出したクッキーだとお聞きしましたが…一番美味しいお菓子をとフリード様の要望にジュリアお嬢様のシェフがこれを作ったとか…」
「シェフが?」
レスターはもう一口クッキーを食べると…やはりマデリンが昔自分が作ったと出したクッキーにそっくりだった…
「先程お聞きした様な素朴なクッキーのようですね。あれ…でも…マデリン様が作ったものをシェフが作るでしょうか?」
スティーブが首を傾げると…レスターの手が止まる。
いや…まさかな…
レスターは一瞬浮かんだ考えにゾッとする…
あれも全て嘘だったとは思えない…きっと何かの間違いか…私が懐かしさのあまり間違えたのだろう。
レスターはそう思うとクッキーを置いてお茶を飲んだ…すると鼻を通る香りと自分好みの味に目を見開く!
「こ、これは…このお茶は…」
「こちらの陛下からのお茶もあるご令嬢がレスター様の為に作ったお茶だとお聞きしました。せっかくだからと頂いて来たと」
「私の為?」
「レスター様の為と言うか…お茶会に来た皆様全員に別々に配合したお茶を出したとお聞きしましたよ」
「ほー!そんな事をする令嬢もいるんだな!しかし…それはどれだけ金がかかることやら…」
「そちらのケーキも召し上がって欲しいと仰っておりました…ついでになんの果実か当てて欲しいと…」
陛下から言われていた伝言を伝えると…
「果実?」
「タルトの上の果実ですね…うーん…なんでしょう?見た事がありませんねぇ…」
スティーブがタルトの上の果実を見ると
「そうなんですよね…私もさっぱりわかりませんでした。レスター様ならおわかりになりますか?」
レスターはタルトを食べてみると、なんの果実かわからないが凄い美味しい事だけはわかった…そして疲れていた体が軽くなっているのを感じる。
「なんだ…この果実は…」
果実だけを取ると…じっと美味そうだと見つめているスティーブと目が合った。
サッと目をそらすスティーブを笑うと…
「私の食べかけだが、食べてみるか?」
「いいのですか!」
スティーブの顔がパァーと輝く…ついでに検証したいことも合ったのでレスターは笑うとスティーブに皿を差し出した。
「そ、それでは失礼致します」
スティーブは大きな口で残りのタルトを全部食べると…あっ…とレスターが声を出した。
あんなに食べるとは思わなかったレスターはガックリと肩を落とす…
最後の残りは自分が食べようと思っていたようだ。
そんなレスター様の様子に気が付かずスティーブはあまりの美味しさに夢中になっている。
「凄く美味しいです!私はあまり甘い物は食べませんがこれならまた食いたいですね!」
嬉しそうに笑うスティーブの様子にレスターはしょうがないと微笑んだ。
「申し訳ございません、遅くなりまして…」
スピアがお茶を用意するとレスター様が椅子に座る…テーブルにお茶を置くと
「ん?いつものお茶じゃないな」
レスターがお茶の香りに気がついた
「こちら陛下からレスター様に飲ませるようにと預かってまいりました。あとフリード様からはお菓子も…」
一緒にクッキーとケーキを出すと
「これは…」
見覚えのあるクッキーに手を伸ばす…サクッと口にすると思い出が蘇って来るような味だった…
「これは…まさかマデリンが?」
「マデリン様?いえ…ジュリア様がお茶会で出したクッキーだとお聞きしましたが…一番美味しいお菓子をとフリード様の要望にジュリアお嬢様のシェフがこれを作ったとか…」
「シェフが?」
レスターはもう一口クッキーを食べると…やはりマデリンが昔自分が作ったと出したクッキーにそっくりだった…
「先程お聞きした様な素朴なクッキーのようですね。あれ…でも…マデリン様が作ったものをシェフが作るでしょうか?」
スティーブが首を傾げると…レスターの手が止まる。
いや…まさかな…
レスターは一瞬浮かんだ考えにゾッとする…
あれも全て嘘だったとは思えない…きっと何かの間違いか…私が懐かしさのあまり間違えたのだろう。
レスターはそう思うとクッキーを置いてお茶を飲んだ…すると鼻を通る香りと自分好みの味に目を見開く!
「こ、これは…このお茶は…」
「こちらの陛下からのお茶もあるご令嬢がレスター様の為に作ったお茶だとお聞きしました。せっかくだからと頂いて来たと」
「私の為?」
「レスター様の為と言うか…お茶会に来た皆様全員に別々に配合したお茶を出したとお聞きしましたよ」
「ほー!そんな事をする令嬢もいるんだな!しかし…それはどれだけ金がかかることやら…」
「そちらのケーキも召し上がって欲しいと仰っておりました…ついでになんの果実か当てて欲しいと…」
陛下から言われていた伝言を伝えると…
「果実?」
「タルトの上の果実ですね…うーん…なんでしょう?見た事がありませんねぇ…」
スティーブがタルトの上の果実を見ると
「そうなんですよね…私もさっぱりわかりませんでした。レスター様ならおわかりになりますか?」
レスターはタルトを食べてみると、なんの果実かわからないが凄い美味しい事だけはわかった…そして疲れていた体が軽くなっているのを感じる。
「なんだ…この果実は…」
果実だけを取ると…じっと美味そうだと見つめているスティーブと目が合った。
サッと目をそらすスティーブを笑うと…
「私の食べかけだが、食べてみるか?」
「いいのですか!」
スティーブの顔がパァーと輝く…ついでに検証したいことも合ったのでレスターは笑うとスティーブに皿を差し出した。
「そ、それでは失礼致します」
スティーブは大きな口で残りのタルトを全部食べると…あっ…とレスターが声を出した。
あんなに食べるとは思わなかったレスターはガックリと肩を落とす…
最後の残りは自分が食べようと思っていたようだ。
そんなレスター様の様子に気が付かずスティーブはあまりの美味しさに夢中になっている。
「凄く美味しいです!私はあまり甘い物は食べませんがこれならまた食いたいですね!」
嬉しそうに笑うスティーブの様子にレスターはしょうがないと微笑んだ。
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